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第13回「そいつ」12月❺

週一で、同じ映画を見る。ただそれだけ。
観る映画は「遊星からの物体X」、つまり「THE THING」です。

ルール

  1. 毎週1回「遊星からの物体X」をみる

  2. 毎週1回みて、気づいたことを書く

  3. 木曜または金曜の通勤時間で見る

  4. ネタバレとかは気にせず書く


基本は通勤中のiPhone se(3G)。
イヤホンはAppleの有線イヤホン。
ということだったが、最近はもう気にせず休みの日に家で見ることも増えてきた。気にせず楽しみながら観る。

第13回目 12/31

前回からの道のり

(前回の記録からわたし自身の変化)

12/23(土)
先週に続き、フドイナザーロフの「ルナパパ」を鑑賞。すんばらしい映画。
動き回ること、それを撮り続けることの魔法にかけられてる。車も飛行機も船もぐらっぐらで、その弾みで動き出す。動かない、と決め込んだ大地に、境目を引いて胡座を描く人間たちもなんのその。走り出して踊り出して止まらない。こういう映画好きだ。

友達と酒を飲むも、酔っ払いすぎて、眠くて帰りたがる。友人や妻に迷惑をかけたので、反省する。悲しすぎたり楽しすぎたりして酒を飲みたくなる時の他の逃げ道を見つけたい。

12/24(日)
M-1。敗者復活戦が始まれば、何もできなくなるので早めに晩飯作り。
書きたいこと沢山あるけど、ヤーレンズを応援してきて良かった。ファーストステージのヤーレンズを見て、ソファで泣いた。
夢の中で、ヤーレンズに会い、ずっと応援してきて良かったです、と伝えた。

12/25(月)
帰ってからクリスマスなので「バイオレントナイト」を観る。タイトルにするだけあって、暴力センスが高い。オマージュ等の乱用が面白い。
ひとつ不思議な印象を受けたのは寒色系のライト。舞台がずっと夜なので、暴力的なことが屋外で起きる時は、青白い光が当たることが多い。後半に夫婦仲直りするのを嬉しそうに見守る娘のシーン、ここも青かった。周りにはクリスマスの厩戸オブジェがあり、そこのライトなど暖色系だった気がした。
この映画のテーマの一つである家族の和解がまさに表れるシーンな気がするので、もっとコテコテに暖色にしないんだなとか思った。


12/26(火)〜27(水)
仕事and勉強

12/28(木)
グランパスのドキュメンタリー映画を観る。
まったく観たことないジャンルだったの、体験として面白かった。肝心なのは「来年もスポンサーも選手もスタッフもタイトルを目指すのだ」という盛り上げ映画ということ。
サッカーを全然知らない私が鑑賞。
思ったのは、スポーツのドキュメンタリー映画をおもしろく成立させるためには、「調子が悪い時ほど、どう面白く映すか?」が重要だということ。正直、それに成功してるとは思えなかった。
マテウスの欠員という大損失を軽く描いてしまって、後半のチームの踠いてる感じが伝わってこなかった。
神戸の優勝確定を悔しそうに目に焼き付けるシーン、最後のスピーチまでをメインディッシュとして繋いだ方が良さそう。
同行した後輩に、若くてイケメンの選手なのにヴィトンのリュックなのが違和感と伝えたら、わりと良くあるといわれ、カルチャーショック。

12/29(金)
親友とケリーライカートの「ファーストカウ」を見る。面白い。ケリーライカート好きだな。真っ暗闇で、それがとても魅力的な映画、久しぶりでした。
散歩しながら、友達と酒を飲んだけど、こういうことがもっと増えて欲しいのにな、と思う。

12/30(土)
「あきれたあきれた大作戦」を再見。
ピーターフォークとアランアーキンのコンビはこんなにも相性いいんだな。
人やモノが滞りなく進んだり、立ち止まっては無駄話をしたり、目と心に楽しい。
ジグザグダッシュのシーンは名場面だな

12/31
年末、手に入れた蟹を食べる。バキバキとハサミを入れる。これ食ってから観るのか。

飲んだり食ったり

毎週、なにかしら決め込んで遊星からの物体Xをみたし、年末くらいぼーっと観ながら面白いところをメモでもしてみる。
こんだけ見てても面白がれるんかなと思いながら始まり、酒を飲みながら観る。犬が走ってる姿、おもしれー…
マクレディが酒を飲んでる姿みて、酒がかなり出てくる映画だし、飲んだり食ったりしてる部分を書いてみるか。

ひとりで飲む酒が最高

最初はマクレディが酒飲んでるシーンが印象的だけど、実はその前に娯楽室での皆を映してるシーンでも。
ベニングスがマグカップでコーヒー?、ギャリーが瓶ビールっぽいものを飲んでる。
マクレディのシーンに変わると、J&Bのウイスキーをロックで呑んでる。氷をワシっとつかみ、グラスに移して酒を入れる。余裕かましてニヤニヤしてた手が止まり、その呑んでる酒をPCのチェスゲームにぶち撒けて炎上する。人ではないモノに、酒(酒瓶)をつかって炎に包み込むというラストを匂わすシーン。最初に映画のテーマを説明するというのはジョンカペっぽいなーと思う。
同時に、みんなは娯楽室で呑んでるのに、マクレディだけは1人飲みをかますという「一匹狼」キャラの演出。昼間からゲームしながら呑んでて、ゲームにキレる、このどうしようもない人間に、画面3分の2を締めるほどのクローズアップで画面の責任を任せてる。
この呑んだくれに画面を任せた以上、僕たちも結末をこの呑んだくれに任せなきゃいけないわけだ。
J&Bって飲んだことないからさっぱりわからない。

モクモクと燻らせて

呑むというと合わせて出てくるのはタバコ。今どきタバコを呑むって表現する人はあまり見ないけど、体に取り入れるモノというと喫煙も今回のテーマに合う。
実はタバコを吸う人間は結構少ない。パーマーとチャイルズ、ベニングスとギャリーくらいだと思う。
最初にタバコを吸ってるシーンは、ギャリーに殺されたノルウェー人をビリヤード台に乗せ皆で相談するシーン。ノウルズに馬鹿にされるパーマーが一人タバコ吸ってる。
その後、マクレディたちがノルウェー基地に行ってる間、パーマーとチャイルズは自分の寝室で録画したテレビ(モンティホール)を見ながらタバコ、というかマリファナを吸ってる。
その裏では娯楽室でカードゲームをやるベニングスとギャリーもタバコを吸ってる。彼らはビールを飲みながらカードゲームをしてる。
そのあとはUFOを見て帰ってきたマクレディたちに、娯楽室で詰め寄るシーン。みんなはUFOの素材を触ったりしてるが、パーマーだけパイプを吸ってる。これもマリファナとかなのかな?
パーマーは、パンクスっぽい雰囲気だけど、古代文明やUFOを信じてる感じでいくと、ヒッピーとかドラッグカルチャーとかの集団を生きてきた人間だと思う。(1982年にもなれば)政治思想とかそんなものは何も残ってなくて、快楽主義的なものばかりが残った感じ。
そう思うとパーマーはあんまり酒を飲む瞬間がなく、喫煙こそが象徴的だ。
ダイナマイトで立てこもるマクレディを見て、パーマーは「リラックスしろよ」と宥める。宥め方すら70年代の頭なのか。

何も信じなくて済むから

全体を通して酒を飲んでいる印象が強いのはマクレディ。前述のとおり、冒頭から飲んでいるが、なにか不安な雰囲気になると酒を飲んでいる。一度だけ犬THINGの戦い前に冷蔵庫まで缶ビールを取りにきているが、基本的にはJ&Bを飲んでいる。
UFO後に、みんなから信じてもらえないと、一人でJ&Bを瓶ごと飲んでいる。フュークスに時間をくれと言われてと、酒を飲んでたいから勘弁してくれよとなる。マジな話に付き合ってられんのだわ…という感じ。
そんな彼だからこそ、偏執狂的に狂ってしまったブレアにたいして、信じられるのは神様くらいだ、と酒瓶を渡す。
ここで渡すのは、スミノフ。青い瓶で、ブレアの部屋にあったもの。

ブレアがPCの研究結果を眺め、拳銃を取り出す時に、一瞬スミノフが映る。
ブレアのように、誰も何もかも信じられず、ヤラなきゃヤラれる世界の到来を感じた以上は、拳銃を取るしかない。でも、マクレディはまあちょっと落ち着けや…と酒瓶を渡す。これはもともとブレアの机の上にあった選択肢であり、もう一度ブレアに思い出させようとしてる。
酒は、「到来する危険、責任感、不安、退屈を忘れる」ためのものでもあり、「非人間を燃やす」ためのものでもあり、「なにもしないでただ待つ」ためのものでもある。
エンディングシーンにて、チャイルズにたいして酒を差し出す時も、マクレディは同様のことを口にする。なにも根本的な解決には繋がらないし、腹の足しにもならない
生物として、生き残るためにはひどく不必要で無駄な行為で、でもどうやら人間様には必要なことらしい。

体内に打込まれるモノ

酒を飲む、タバコを呑むというものと比べて、体内に入れるという点で同様な行為。麻酔の注射も少しだけ出てくる。
倉庫に閉じ込められたブレア、物体Xと疑われたコッパー、ギャリー、クラークが注射されてる。あ、あと生き残った犬か!体内に取り込むもののなかで唯一、イヤイヤ摂取させられてる。
酒やタバコとも違う、強制リラックス。人間関係が崩れつつある中では、感情的な人間は有害と看做される。頭に血が上った人間を見たら、パーマーならこう言うだろう。「リラックスしろよ。」
酒を飲むかタバコを吸うか、その余裕がなくてはな。いまにも何をしでかすかわからないやつは、強制リラックスの刑です。

誰がためにシェフは働く

と、ここまで書いていくと本当に面白いのは、この映画で食事をするシーンがほとんどないこと。
料理人であるノウルズが、キッチンで食事の準備をするシーンも映っている。
フュークスが「少しの液体でも危ないから、食事も缶詰にしないと」とマクレディに忠告もするのに。
決して食べるモノがないわけではない。
現に、缶詰で食事をしている奴が一人だけいる。倉庫に閉じ込められたブレアだ。
「フュークスを見なかったか?」とマクレディに聞かれた彼は、缶詰をモグモグと食べながらここから出してくれ、と懇願する。なにかを食べている数少ないシーン。
そのほかで何かを食べる…というと、そう、もはや物体Xが人間や犬を取り込んで食べているシーンだけだろう。コッパーの両腕を、ウインドウスの頭を、その大きな大きな口と鋭い歯と触手で、噛みついて飲み込んで取り込んで。
つまり、この映画で「食べる」役割を担うのは、常に物体Xでしかない。前述のブレアも既に物体Xになっているのは言うまでもない。彼はパラノイア状態から首吊り自殺をしようとしたのに、それを途中で止めて、缶詰の食事をしている。物体Xとなったブレアはもはや、この映画の中で食べることが許された数少ない存在となったわけだ。

食べる、取り込む ≠  飲む、呑む

もちろん、食べ物がある基地であり、シェフもいたのだから、隊員たちは食事はしていたはずだろう。ほんとうに何も食べていないなんて僕も思っていない。
ただ本作のなかでは、画面の中で食べる役割を担えるのは物体Xだけだ。
生き延びて、増え続けるだけの生命体。そのためには物体Xは、取り込んで食べ続けなければいけない。
その反対に、人間たちは飲むことだけは許されている。酒もタバコもマリファナも、生き延びるためにはなんら不必要だ。生産、または創造とは程遠い。
火炎瓶として破壊の役割にもなれば、もはやどうでもいいやと諦観して行動を止めさせることもある。ソイツらの「食べる」とは全くの反対だ。
1982年という時代(という映画)に残されたアメリカ人たちには、飲むことだけが救いなのか?それとも何もどうせ出来ないという教訓なのか。
いずれにせよ、ラストシーンで差し出された酒を飲み、へっと笑うマクレディは何を思ったのか、少しわかってきたのかも。

来週に向けて


だんだん、記録を書くことに疲れてきた。
なんなら3ヶ月頑張ったしら映画を変えてしまうのもアリかもな、あまり拘りすぎないのが面白がれる秘訣かも。
いつも通り、アイデアだけは残しておこうかな。

  • 音無し鑑賞

  • 光のことをもっと考える

  • 顔、そして視線

  • マップ使いながら視聴

  • カメラの位置

  • BGMの特定

  • 別の言語の字幕/吹替

  • そろそろ原作読む。

無理だったら普通に楽しむ。好きな映画のいいところは、普通に楽しめるこ

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