双樹

ニッキニキ

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ディオールを存分に浴びた3時間

女性らしさって何だろう、男の僕はときたま考えたりする。この何でもないような疑問が、朝から午後にかけて、ずっと気になることがある。グレース・ケリーみたく気品に満ちたクール・ビューティー、あるいはアンナ・カリーナのように乙女チックな可愛らしさ。そんなふうにゴダールは言っていなかったか。 いずれも、男の女々しい支配欲を叙情的な風味で押し付けたものが、女性らしさってことなんだろう、卑怯なやり方である。これもゴダールが言ったのか、言っていなくても別に構わない。それくらいゴダールはすご

    • つげ義春の「原画」から匂いがして、紅い鼻

      1月某日未明、「マンガ家・つげ義春と調布」展を、観に行こうと決めた。かねがね、つげ漫画の原画を目にする機会をうかがっていたからだ。 新宿から調布へは、京王線の特急で4駅、17分だ。しかし、つげ義春の得意な「旅もの」に習い、ここは時間をかけて、各駅停車で行くとする(各停は18駅)。 八幡山駅を過ぎたあたりから風景は、のどかになった。調布は、つげ義春が50年以上住んでいた、ゆかりのある街。「ねじ式」、「ゲンセンカン主人」、「リアリズムの宿」などの作品を調布で描いた。それを月刊

      • 「ケイコ」に習い、僕ら目を澄ませよ。

        それは11月末のことだった。やや収集癖のある我が父が、家に持ち帰り、レコード収納(あるいは収集)箱の上にふわりと、1枚のチラシ置いたのが始まりだった。そのチラシを手にとり眺めると、女の子がいる、そして左端に「逃げ出したい、でも諦めたくない」とあるではないか。うん、わかる、わかる、アイ・アンダスタンド、ザッツライト、というか全部そう。 女の子は顔を歪めているのか、ふてくされているのか、いや少しケガをしている。大きな明朝体活字で「ケイコ・目を澄ませて」と書かれた映画タイトル。こ

      ディオールを存分に浴びた3時間