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岡田悠さんと0メートルの旅


岡田悠さんの熱烈なファンだ。



約2年前。電車でバイト先に向かってた時にTwitterを見ていた時のこと。トレンドのところで奇妙な項目を目にした。



経済制裁下のイラン」。なんだこれ。イランがトレンドにあがることはこれまでなかったし、これだけを見ても何のことか全く見当がつかない。調べると、そこには岡田さんのイランでの旅行記が載っていた。これが岡田さんを最初に知ったきっかけである。


初めて目にした岡田さんの文章。それは瞬きも許さないくらいに僕を引き込んでいった。一文読むとその続きが気になる。無意識のうちに、あたかも自分がその場にいるかのような錯覚に陥っていた。想像力がかき立てられ、こんなにも旅行記を読むのが楽しいと思えたのは初めてだった。


そして結末は予想だにしない展開で、満員電車の中で思わず声を漏らして笑った。このイランの旅行記をきっかけに、他のストーリーも気になり、可能な限り追い求めた。


「すごい!」。言葉遣い、想像力を掻き立てるような表現、物語の運び方、予想外の展開を目にするたびにこの言葉を無意識のうちに発している自分の姿があった。気つけば、岡田さんの記事を読むのが毎日の楽しみになり、「更新しました」というツイートが待ち遠しかった。もう完全に虜になっていた。


 ある時、岡田さんの講演会が行われるという知らせを目にした。この機会を逃すわけにはいかない。岡田さんに会えるチャンスなのだから。


日時は週末、問題ない。講演内容、問題ない。場所は東京、大問題。大阪からは近くない。週明けは学校があるし、論文作成で忙しいし、フッ軽な自分もさすがに諦めるか...


とはならなかった。



「よし、行くか!」一切の迷いはなく速攻で夜行バスを予約した。完全プライベートで向かう東京は初めてだったので、楽しみで心が踊っていた。


無事に当日を迎え、講演会に参加できたことはもちろん、挨拶を交わすことができた。わずかな時間ではあったが、「行ってよかったな」と思えた瞬間だった。そして、「やはり」出身が同じで、驚いたことになんと同じ高校の先輩だったのである。


「やはり」といったのは、イベントの前に岡田さんが地元の祭りに関するツイートをしていたので、「もしかして」と思い気になっていたからだ。訊いてみると、その「もしかして」が見事に的中した。その時の岡田さんの驚きはすごかったのを覚えている。それもそのはず、人口たった4万人の地域なのだから、驚くのも無理はない。


いつか地元でお会いし、お話ができますように。


 講演会から約1年後の昨年12月に、待望の著書が出版された。「早く岡田さんの旅行記を1冊の本にまとめて欲しいな」とずっと願ってた自分には胸がはちきれそうなくらい嬉しい知らせだった。即アマゾンで予約した。


到着してすぐに読んだ。


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 予想を遥かに上回るおもしろさだった。ゆっくりと一文字一文字を五感のすべてを使って味わい、魅きつけられた文を見つけては何度も読み返した。「へぇー、こんな言い方があるんだ」、「この表現すごくいいなぁ」独り言が絶え間なく部屋中に響いていた。


読み進めているうちに、「ページを捲って早く続きを読みたい」という思いと、「捲ることで終わりが近づくのがわかるからページを捲りたくない」という相反する思いが心の中で交錯していた。要するに新しいストーリーを読むという楽しみと岡田さんの旅行記を読むという習慣を失いたくなかったのだ。


初めてだ、「終わりを迎えるのが嫌でページを進めたくない」なんて思ったのは。決して誇張しているわけではない。不思議な感覚で自分でもどうすればいいのかわからなかった。


 読み終えて一番強く思ったのは、旅の充実度は決して距離ではないこと。家から一番遠いところでも旅はできるし、家(0メートル)でも旅はできるということ。「なるべく遠くに、そして言葉や文化の異なるところに行ったほうが旅はより濃いものになるんじゃないか」という考えは一蹴され、「自分が『旅』だと思えばいつでもどこでも旅は創れる」ことを教わった。


そして、過去の自分がしてきた旅を思い出しながら「旅とは何か」という問いにも少し考えてみた。


自分の思う旅とは、「生命を存分に享受している瞬間」である。旅をしている時の自分を振り返ると、嬉しいことがあった時も困難に遭遇した時も「非日常を今体験している」と実感すると、「生きててよかったなぁ」という感情が溢れていた。このような幸せホルモンを最大限に出すには旅をすることが一番ではないか。


 岡田さんの次のストーリー集がすでに待ち遠しい。そのうち「岡田悠 全集」が出るのではないか、いや出て欲しいとさえ思っている。


この本の良さをどうにか行動で示すことはできないか、あれこれと考えてみた。


アマゾンのレビューに初めて投稿するか、うんそれもいい。


旅好きの友達に勧めてこの本を1人でも多くの人に知ってもらうか、うんそれもいい。


でもいずれもなんか違うな。んーどうしようか....。


たどり着いた答えは…


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もう1冊買いました。



どうしようかはまだ決まっていないけど、いずれどこかで必ず役に立つ時が訪れると信じて僕のそばに置いておこう。


 

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