起業家の皆さん、「デフォルトで生きているのか、死んでいるのか?」と聞かれた時に答えられますか?
上記は、Y Combinator創業者のポール・グラハムの言葉ですが、起業家の皆さん、この質問の意味がわかりますか?
そして、この質問に正確に答えられますか?
今日は、この質問に答えるに当たっての、重要な概念であるBurn Rateについて解説したいと思います。
会社を経営する上で、基礎的な概念であり、知っている方も多いと思いますが、非常に重要な概念ですので、一度立ち止まって考えてみるのも面白いと思います。
バーンレート (Burn Rate) とは
バーンレートとは、通常1月当たりに消費する現預金の率のことです。どれだけお金を使って会社が成り立っているのかを示す指標です。
資金調達のために投資家と会ったことがある方であれば、投資家からの「バーンレートどのくらい?」という質問を受けたことがあるかと思います。
こういった質問に正確に答えられていますでしょうか?
バーンレートって、1月当たりに消費する現預金のことだとは分かるけど、その計算には売上で得るキャッシュは考慮するのかなぁー???なんて疑問を持つ方もいると思います。
この点を解説していきます。
バーンレートには、グロスのバーンレートとネットのバーンレートがあります。
グロスは、純粋に支出だけの金額で表した指標です。
一方でネットは、売上で得るキャッシュを支出から差し引いた上でどのくらいのキャッシュを消費しているのかを示す指標です。
グロスのバーレートから売上で得るキャッシュを差し引いたものがネットのバーンレートという関係になります。
通常、投資家が”バーンレート”という時は、ネットのバーンレートを指します。
なんで投資家はバーンレート (Burn Rate) を気にするのか?
バーンレートは月ごとの資金燃焼率を指しますので、現在の現預金残高とバーンレートがわかれば、後何ヶ月この会社が存続できるのかが分かります。
投資家からしてみれば、プロダクトがマーケットにフィットして、売上が上がってくるまでの予測期間と、上記の会社が存続できるであろう期間を考慮して、投資しても成長できるか?次の調達まで持っていけるか?についての判断をして投資の意思決定をしています。
また、バーンレート自体が高すぎないか(無駄なコストを抱えている会社でないかどうか)についても確認しています。
いくら事業アイディアが面白く、良いチームが組めていたとしても、バーンレートが高すぎる場合は、会社として存続できず倒産してしまう可能性が高いため、バーンレートチェックしているのです。
スタートアップのバーンレートってどのくらいが適正なの?
ちょっと古いですが、2014 年には以下のような議論がありました。medium.com
ここで引用されている Marc Andreessen のツイートによれば、アメリカでは従業員一人あたり $16,666 / month、つまり日本円で約 200 万円程度が適切ではないかという話があります(人件費やオフィスなどの固定費、その他変動費を含み、それを人数で割った大体の値)。ただしこれは US の人件費をベースに考えられているので注意してください。
日本の場合、個人的な感覚としては、月80万円/月くらいがスタートアップの平均値くらいなのではないかと感じています。
もちろん創業直後等々は、もっと低い1人当たりのバーンレートだとは思いますが、ある程度従業員数が増えてくるとオフィスも一定水準以上の場所で借りなければならなくなりますし、月80万円/月くらいはどうしてもかかるイメージです。
「デフォルトで生きているのか、死んでいるのか?」の意味と回答
最初のポール・グラハムの言葉に戻りましょう。
このデフォルトと言うのは、”資金調達で得たキャッシュは考慮しないで、通常の営業を行っているデフォルトの状態”を表しています。
つまり、通常の営業状態で赤字なのか黒字なのか、ネットバーンレートがプラス(赤字)なのかマイナス(黒字)なのか?ということを聞いている質問です。
意味がわかれば、この質問に回答するのは簡単だと思います。
ちなみに、成長率などを踏まえてデフォルトで死んでいるか生きているかを調べるには、以下の様なサイトが便利です。
Startup Growth Calculator
Edit description
growth.tlb.org
スタートアップは初期にどうしてもバーンレートが高くなりがちです。
かと言って、バーンレートを低く抑えるために、必要な採用や開発を遅らせる・機能をスリム化しすぎるというのは本末転倒になる場合もあります。
ここは正に経営判断になりますが、自分のこれまでの経験からすると、
一番最初に思いついたプロダクトでそのまま成功するということはほとんどありえません。
手持ちの現預金で、PDCAを以下に高速で回してピボットを繰り返していくのかが非常に重要です。
ですので、出来る限り採用は抑え、管理系の仕事もでいるだけ外部サービス等を利用して事業を進めていくのがいいと考えています。
今日はこんなところです。
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