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代理店から事業会社に転職し3か月。ECマーケ担当としての実践と学び

Web広告代理店で2年半ほど広告運用を担当し、今年の秋に事業会社に転職。
ECサイトのマーケティング担当者として働いたこの3か月間は、非常に学びや気づきの多い、実に濃密な期間でした。

仕事内容は、もともとやっていた広告運用に加えて、オウンドメディア作成やメールによるCRMの構築といった幅広なマーケティングタスク、さらには戦略部分にも携わることが多くなりました。

実践と学習の繰り返しの毎日で、もうすぐ今年も終わろうとしています。
ちょうどよい機会ですので、直近の3か月間の実践と学びを雑多にまとめてみようと思います。
(ちなみに、サムネイルと記事の内容にはあまり関係ありません)


3か月の振り返り・実践編

市場踏査

転職して2日目にやったことは、「原宿の街をLUUP(電動キックボード)で駆け巡る」ことでした。(代理店からのあまりの変転っぷりに、なんだかもうワクワクが止まらなかったですね)

弊社の商材は、よく街中に置かれるタイプのものです。実際に街中ではどんな製品があふれているのか、自社商品との違いは何か、そしてユーザーのニーズや使い方はどういったものであるのか。
そうしたことを知るためには、実際に街に出てみることが一番でした。

ある意味、このときが自社ブランドに染まり切っていない最後のタイミング。市場やユーザーがどういった状況であるのかを純粋に知ることができる機会だったかと思います。

マーケティング本の輪読

弊社はベンチャー企業であり、社員数も多いわけではないため、マーケティング担当というポジションはこれまで空席でした。そのため、私と、もう一人同時期に入社した同僚、そして上司である社長も、マーケティング全般への深い知見があるわけではなかったのです。

そういうわけで、チームとしてマーケティングについてある程度の共通言語を持っておいたほうがいいよね、という理由から、一冊のマーケ本を輪読しました。それが以下の本です。

マーケティングといえば幅広く、プロモーション領域に限らず商品開発や流通、価格設定などなど様々な分野があります。その中でもこの本は、マーケティング・コミュニケーションに特化した内容でした。
これまでの広告運用で中心であった「いつ、どんなユーザーに、どんな内容を訴求するのか」といった認識から出発し、マーケティング・コミュニケーションの歴史と全体観をざっくりと掴むにはうってつけの書籍でした。

代理店の広告運用者であっても、広告という手段をより幅広な視点でとらえることができると思いますので、一読して損はない本かと思います。

また、以降のマーケティング戦略や各タスクについては、この本から学んだ
「他社との違いを生み出せているか?」
「違いを適切に伝えられているか?」

の二軸を念頭に、より明確な基準で判断できるようになったと実感しています。

ユーザーヒアリング

ここからは、一般的にはよく取り上げられる、しかし個人的にはこれまで経験したことのなかったマーケタスクを実践していきました。
その一つはユーザーに対する直接のヒアリングです。

ユーザーに購買いただいたときの体験や実際の使用感を、対面またはオンラインで聞いていきました。
が、やはり想定よりも難しく、思うような会話の流れを作れなかったり、インサイトを掴もうと誘導的な質問をしてしまったり……このあたりは経験と学習がもっと必要なところだと痛感しています。

ただ、その後の戦略策定やECサイト上の改善には確実に役立っているので、できる環境にあるのであれば事業会社・代理店問わず実践すべきものだと感じています。

競合調査

これも王道のマーケティング業務。3C分析などでよく言われる、競合を調べ上げるタスクです。
弊社はECであるため、競合もはっきりとしており、調べ方も明確でした。が、いかんせん競合数と商材数が多く、網羅的に調べ上げるのは至難の業。そのため、代表的な企業をピックアップして、共通項や弊社に足りていない部分を調べ上げるので精いっぱいでもあったのも事実です。

とはいえ、ありがたいことに代理店のときとは違い、ひとつの商材にかけられる時間が大幅に増えたことで、これまでは見えていなかった部分まで調べ上げることができたように思います。
それは商材のタイプであったり、使われている技術であったり、ユーザーの細かなニーズの違いであったりと様々。

ここで得た情報は、広告やプロモーションに応用するだけに留まりません。実際に商品開発チームへ「売り上げや市場シェアを伸ばすためにも、こういう商品も作ってみませんか?」と企画として渡すことにもつながりました。このあたりは、事業会社ならではの楽しさかもしれません。

理想の姿を思い描く

ある程度、市場感やユーザーのことを理解できた段階で、弊社の目標を再度チーム内で共有しました。
その中で、「(複数商材あるうちの)この商材の領域に関しては市場でNo.1を取れる」という確信が生まれたため、それを達成したときにサービス・ECサイトはどうなっているのか? という理想の状態を思い描きました。

こう言うと絵空事のように思われるかもしれませんね。
ですが、まったくそんなことはありません。少なくとも本当に業界トップを目指すのであれば、これは必須なタスクかと思います。

単に「こうなっていたらいいな」と、漫然とした姿を思い描くのではありません。
業界No.1を取った時の状態を、できる限り具体的に、定性的・定量的に想定する必要があります。

トップに躍り出たときの売上高は、市場シェアはどれほどなのか? そのときのサイトのCVRは何%に達しているのか? そのためには、ユーザーのどのようなニーズを叶える必要があるのか?

できる限り具体化・言語化することで、現状とのギャップが生まれます。そしてこの時にはじめて、「それは実現可能なビジョンなのか?」と問うことができます。
単なる「夢」を、リアリティをもった「目標」に整えるためにも、理想の状態を思い描くことは必要不可欠なことと思います。

3か月の振り返り・学習編

具体化のフェーズで直面した課題

さて、現在はここで思い描いた「理想の姿」をもとに、それを達成するためには何をどうすればよいのか、とタスク化を行い、ひたすら実装する、というフェーズに入りました。
戦略、方向性の立案から、それを具体化する段階へと移行したわけですが、頭の使い方がまったく違うなあと痛感する毎日です。

ここ最近は、私の個人的な課題でもあった「具体化する力」の不足に苦戦しています。
その中で身に付けなければと感じているアビリティは、「本質思考」「発想力」の2つ。本を読みつつ、実践を重ねつつ、で何とか磨けないかと試行錯誤を続けるばかり、といった感じです。

本質思考を鍛えるために

勝手に「本質思考」などと大それた呼び方をしていますが、ここでは「それってそもそも何でだっけ?」と考える力を指しています。
一度立てたタスクを進める中で、よく目的を見失ったり、実装後のインパクトを見落としたりとする場面があります。そうなったとき、愚かな猪のように突き進むのではなく、「ちょっと待てよ」といったん冷静になることで、余計な仕事や無駄な成果物を生まずに済む(ことが多くなる)というわけです。

というのも、ベンチャー企業であるがゆえにやることが多く、その反面リソースは少ない状況。あれもこれもと手を出していては、たちまちジリ貧まっしぐら。
ユーザーにより良いものを届け、そして会社として少しでも早く成長するためには、いつだって最短経路が求められます。それを歩むために欠かせない能力を、本質思考と(勝手に)呼んでいます。

これに関連する書籍は様々ありますが、非常にためになると感じるのは以下の2冊。

どちらも自分の頭でしっかりと考えること、そして解像度を高めることに役立つ視点や知識を提供してくれる良書です。「思考の型」として定着するまで、何度も読み直さねばなりません。

また、ユーザーのための最短経路を歩むには、以下の書籍も役に立つかと。

ここでいう「付加価値」とは、「顧客のニーズをちょうどぴったり満たすもの」。言葉を返せば、ニーズを超えてしまった部分は「無駄なもの」であることを意味します。
ECサイトの機能を実装したり、新商品を企画するにしても、「どんなニーズを満たすのか?」「どんな課題を解決するのか?」を常に考えていないと、それを超えた ”Too much” なものを生み出してしまいかねない、というわけです。

また、「ユーザーのニーズをちょうど満たすものは何か?」という観点は、広告を運用するうえでも非常に役に立つ視点ではないでしょうか。

発想力を鍛えるために

私が身に付けたいもうひとつの能力は、発想力。それは、真新しいものをつくる、というものではなく、「これまでに存在していたものを利用して、誰も考えつかなかった革新的な組み合わせをつくる」能力です。

先述の「付加価値」にも通じる部分ですが、たとえば「他社がやっているから」という理由でまったく同じことをしては後塵を拝するのみ。そんなことで違いは作れませんし、他社に勝つこともできません。とはいえ、天才などではないのですから、全く新しい技術なんてものもポンポンと生み出せるわけもなく。

だからこそ、必要なのは発想力です。自社が向き合うのが同じ顧客ニーズであったとしても、「その組み合わせがあったか!」と驚かすことができれば、他社より抜きんでることが容易になります。

まあ、こう偉そうに語りつつも、まったく革新的な発想力など持ち合わせておりません。目下、以下の2冊をバイブルとして訓練しているところなのですが。

特に、水野さんの書籍に関しては非常に読みやすいのに示唆に富んでおり、何度目を通しても新たな発見があります。
もともと、私はセンスなど皆無だという負い目がありました。しかし、センスは身に付けられるものだという視点を持ってから、デザインやライティングを学ぶ熱量もあがってきています。今ではECサイト改善のモックアップも徐々に作れるようになってきたのですから、我ながら驚きです。

デザインに限らず、できなかったことができるようになる、という体験はいつだって嬉しいものですね。

おわりに

さて、取り留めもない内容を連ねてきましたが、この3か月間の実践と学びをざっくりとまとめてみました。
改めて振り返ると、本当に目まぐるしく、嬉しい刺激に満ちた期間。今年もあとわずかですが、この経験を推進力として、2024年もがんばっていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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