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詩『糸』

いくつもの経験が絡みあい
縒りあわさっては糸になる
誰もが持っているその糸は
人生のみちゆきそのものだ

糸巻きはときに軛となるが
出ていく糸を見送るものだ
張り詰め たゆみ
縺れて ちぎれ
縒り直されてはつながって
永劫に長く伸びてゆくのを
運命の手から見守るものだ

捩れた糸を正せるか否かは
持ち主の心にかかっている
物語は好きに読み返せても
時間の流れは巻き戻せない
不器用でもただひたむきに
諦めないことが肝心である

差す陽のように麗かであれ
澄む水のように清廉であれ
誰もが持っているその糸は
わたしたちの絆そのものだ

──命の轍そのものであり
  人の魂そのものである


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