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社会人10年目の振り返り:新規事業の立て直し

この春で社会人10年目になった。
ヒヨッコを名乗るにはトウが立っているが、青二才ではある。

海千山千の経験を積んできた50代や60代の先輩方を見ると、どうしようもなく憧れる。
その人間としての厚み、越えてきた修羅場の数にはいつまでも追いつけない気がする。
先人たちが作ってきた歴史に、少しでも何か付け加えられていたらいい。
そんな願いを込めて、一羽の若鶏として、これまで携わってきたあらゆる「立ち上げ」や「立て直し」をややシニカルに振り返りたい。

これまでの「立ち上げ」や「立て直し」経験は以下の通りだ。

  • 新部署の立ち上げ 3回

  • 新規事業の立ち上げ 2回

  • 新規事業の立て直し 2回

社内のビジネスコンテストを経て新規事業の立ち上げを行ったこともあれば、半ば騙し討ちで新規事業の部署に異動になったこともある(THE 会社員人生)。
後者の方は部署の立ち上げも伴っていたが、それこそまだヒヨッコの身であったため、担当者レベルの貢献しかできなかった。

最もエキサイティングで悲しい思い出は、必死で立ち上げた部署が9ヶ月で解散になったことだ。
一年間をやり切ることすらさせてもらえないのは初めてだった。
当時は現場リーダーとして人生の全てのリソースを仕事に注ぎ込んでいたので、在宅勤務中のWEB会議で解体を告げられた時は頭が真っ白になった。
ミーティングが終わったあとは悔しすぎて声を上げて泣いた。

新部署や新規事業の立ち上げより骨が折れるのが、新規事業の立て直しである。
うまくいっていない新規事業の立て直しは難しい。
しかも、たいていの場合、うまくいっていない最大の要因を改善しようとしない。

新規事業の失敗パターンは多くの先人たちが本に残しているが、イチ会社員の所感としては以下の二点に集約される。

  • 企画をミスっている

  • 座組をミスっている

企画をミスっているパターン

「この事業の競合にはどういった企業/サービス/プロダクトがありますか?」
「競合はありません!」
と言う会話をしたあとに10分のリサーチで20社の競合サービスを見つけたことがある。
これは極端な例にせよ、イケてない新規事業には圧倒的な調査不足が散見される。
飛んで火に入る夏の虫どころではない。
徒手空拳でレッドオーシャンにダイブしているといえよう。
この蛮勇がすごいオブザイヤー受賞候補だ。

どう考えても利益が出ない事業構造になっていることもある。
コンセプト先行で「利益を求めずにやりたいことをやる」なんて言っていると、この罠に落ちる。
よくあるのはプロジェクトオーナー自らが上記のようなことを嘯いていたくせに、1年目の惨憺たる結果を見て今度は「利益を確保せよ」と言い出すのだ。
企画の時点で利益が出るような仕組みを作って(あるいは見越して)おかないと挽回はほぼ不可能だ。
このタイプは撤退ラインも決めていないことが多いので、だらだらと赤字を垂れ流した挙句、なんとなーく誰も売らなくなって終わりに向かっていく。
新規事業や新商品の悲しい末路あるあるだ。

座組をミスっているパターン

ある程度安定した会社における新規事業ではよくあることだが、異動で連れてこられたメンバーにイマイチ必死さがないということがある。
自分の名前で借入をしないで創業に近しいことができるなんて滅多にない機会だが、そのように捉える人は少数派だ。
かくいう私も、創業社長の下で働く前と後でこのあたりの考え方はかなり変わったので、あまり人のことは言えない。

とにかく、「新規事業部」や「事業開発部」という名前のチームに異動したからといって、いきなり経営者と同じ視座を身につけられるわけではない。
社内で前例がない仕事に取り組んでも給料が上がるわけでなく、事業の成績によっては査定が下がる可能性すらある。
そこそこがんばっているアピールをしながら、次の異動のタイミングを待つことが個人としては最適解になることもあるだろう。

もし新規事業のメンバー選定ができたらどういう人と働きたいか

これまでの経験を踏まえて、新規事業で同じチームにいてくれると嬉しいのは、以下のような人たちである。
「当てはまる人がいなければ自分がそうなればいい」のスタンスでやってきたものの、分担できたら楽だなあという願望が入っている。

  • 経営視点でアドバイスできる、新規事業に好意的な経営幹部

  • 新規事業で取り組んでいる領域の有識者

  • プロジェクトマネジメント能力が高く、仕事を推進する人(≠作業が早い人)

  • 社内の人的交流のハブになっているコミュニケーション能力が高い人

  • マクロからミクロまであらゆる情報をリサーチし、整理する人

  • 社内外からありとあらゆるリソースを調達できるマネージャー

こういった人たちを集めて、新規事業の企画について忌憚なき議論を重ね、顧客視点を念頭に置きながらブラッシュアップをしていくことでようやく新規事業の失敗確率を下げられると思う。
成功するかどうかは神のみぞ知る。

事業はローンチしたら終わりではない。
この時点で飽きてしまうプロジェクトオーナーこそが問題だったりもする。
他部署が稼いだ利益を使って新しい事業に投資している以上、成功のために全力を尽くすのは新規事業担当者の義務だ。

というわけで、この4連休を風邪で棒に振ったので、振り返りと再度の気合い注入でした。
休み明けからは積読消化に励みつつ、コツコツ仕事に励みます。

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