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生成AIスタートアップ創業者が語るAIビジネスの現在と世界への挑戦!JABIサロン参加レポート

2024年5月31日、日米のビジネス進出を支援するNPO法人「JABI (Japan America Business Initiative)」主催のイベント、第58回JABIサロンとして、「生成AIスタートアップ創業者が語るAIビジネスの現状と世界への挑戦」が開催されました。今回はJABI初の対談形式でのイベントとなり、生成AIスタートアップ「Carnot」の創業者であるShoya Matsumori氏と、「Serend」創業者PrincipalのMiyoko Oki氏が対談を行いました。

イベント前半は、Matsumori氏自身のキャリアと生成AIのトレンド、そして後半はMatsumori氏の起業ストーリーとアメリカでの挑戦について語られました。本ブログでは、イベントの内容をダイジェストでご紹介します。

講演者プロフィール

Shoya Matsumori氏
2022年慶應義塾大学理工学研究科博士課程修了 (早期修了).博士(工学).専門は深層学習(Vision&Language),ICCV などの難関国際会議に筆頭著者として論文採択.PGV(株) リード機械学習エンジニア,(株) BLUEM 代表取締役,(株) STANDARD リードリサーチャ,内閣府SIP 特任研究員,日本学術振興会特別研究員DCを経て起業。現在は慶應義塾先端科学技術研究センター特任研究員、株式会社 Carnot 代表取締役。

内容

1.生成AIの急速な発展とトレンド

Matsumori氏は、長年AI、特に画像と文章を組み合わせた「ビジョン・ランゲージ」分野の研究に携わってきました。近年、ChatGPTなどの登場により、生成AIを取り巻く環境が大きく変化し、研究を始めた時には想像もできなかったほどの盛り上がりを見せています。

「そもそも生成AIとは、「大規模言語モデル(LLM)」を基盤としたAIであり、言語の理解を通じてありとあらゆるタスクの実現を目指すものです。私達は世の中にあるもの(画像や音声)を言葉を用いて理解しており、その言葉を理解できるLLMの登場が他のAIの性能向上にもつながっています。」(Matsumori氏)

生成AIとはなにか?(講演資料より抜粋)

Matsumori氏は、最近の生成AIのトレンドとして、以下の事例を紹介しました。

  • 資金調達の活発化:

    • 生成AI分野への投資が世界中で活発化しており、Google、Microsoft、OpenAIといった大手企業だけでなく、スタートアップも大型の資金調達に成功している。

    • 日本でも、元Googleの研究者が設立した「Sakana AI」という会社が、数十億円規模の資金調達を行い注目を集めている。

  • 海外企業の日本進出:

    • OpenAIが日本法人を設立するなど、海外の生成AI企業の日本進出も加速。

  • 生成AIモデルの進化:

    • OpenAIが発表した「GPT-4」では、処理速度が2倍になり、価格が半分になるなど、性能が大幅に向上。

    • 音声生成AIも進化しており、クオリティの高い音楽を生成できるサービス(Suno等)が登場。

  • リアルタイムAIの登場:

    • OpenAIが発表した「GPT-4o」では、リアルタイムの対話が可能となり、まるで人間と話しているかのような体験を提供。(GPT-4oプロモーションビデオ)

2.Matsumori氏の起業ストーリーとアメリカでの挑戦

Matsumori氏は、生成AIスタートアップ「Carnot」を創業しました。Carnotの主要サービスである「Jimbaflow」は、より多くのビジネスマンにデータの可視化や分析をサービスを提供します。ビジネスに従事する人の多くはコーディングに精通していないため、従来型のデータ分析ツールを使いこなすことは難しい。Jimbaflowは与えられたデータの内容を理解し、分析の方針決定(可視化、予測等)からサポートしてくれます。また、ユーザーは可視化されたデータの編集を自然言語で指示をすることが出来るため、コーディングに精通していない人でもデータ分析が可能となります。現在、サービスの正式なローンチは発表されておりませんが、今年の夏を目途にリリースが予定されています。

Matsumori氏がアメリカでの起業を決断した理由として、ソフトウェアが爆発的に伸びるような瞬間が日本では訪れにくいと考えている事があります。
「日本は完成された国である。マナーもよく、国民の識字率も高くいため、人に頼めば大半の作業は問題なく実施されてしまう。そのような中、人を解雇してまでソフトウェアを導入しようというモチベーションは湧きにくい。私は世界で使われるソフトウェアを開発したいと考えており、直近では日本の現状の体質は変わらないと考えているため、米国で挑戦しようと考えた」とMatsumori氏はいいます。

講演の様子

3.イベントを終えて

今回のイベントでは、生成AIの最新トレンドや起業に関するリアルな話が聞け、大変刺激的な時間となりました。本記事では記載することが出来ませんでしたが、質疑応答セッションにおいては、「AIは倫理観を持ちうるのか」、「最終意思決定者が人間である事の意味」など、AIが普及する事で発生する新たな課題に関する議論が活発に行われました。生成AIは急速に進化しており、シンギュラリティをはじめ、私たちの生活や社会に大きな影響を与えることは間違いありません。今後、生成AIがどのように発展していくのか、そして私たち人間はどのようにAIと共存していくのか、注目していきたいと思います。

4.最後に

私もインターンとして参加しているJABI-SVはシリコンバレーに拠点を持つNPOで日本とアメリカのビジネス振興、国際人材の育成を目的に活動しています。各界の著名人の講演や最先端技術の紹介など積極的に行っています。
詳しくはウェブサイト( https://sites.google.com/view/jabi-sv/home )をご確認ください。

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