【随筆】【日記】万能供血者


初めて献血ルームを使った。これまで、駅前や大学のキャンパスに来るバスでしか献血をしたことは無かったが、今回は初めて献血ルームという施設を利用した。

割と都会の中心地に在るのに、かなり広い施設で、献血バスよりも落ち着いて献血に参加できた。

ロッカーに荷物を預けられ、飲み物も飲める、Wi-Fiも使えるし、コンセントだってある。とても快適な空間であった。

その快適な空間を生み出しているのは、落ち着いた雰囲気の家具や、温かい色の照明、なのかもしれないが、一番はその空間に居る人間ではないだろうか。

そこにいる人間が、どういう属性の人たちなのかはよく知らない。赤十字の人たちは医師や看護師なのだろう。献血しに来ている人たちは年齢の幅も服装の幅も広く、学生から40代くらいまでの人はいた。しかし、何よりも「献血しに来ている人」であるというのは共通している。この共通した目的があるというのは非常に安心感があるのだ。特に献血という行為は基本的には利他性から来るもの…だと思う。そういう認識の上で、僕は献血ルームの空間を「とても快適な空間」と認識したのだ。


献血を終えるとアイスを貰った。温かい飲み物を飲みながらアイスを食べた。水分をたくさん摂った。
献血をするとポイントが貰える。ポイントが貯まると何かと交換できるらしい。
そして最後に携帯出来るアルコール除菌のボトルを貰った。


血ってそんなに価値があるのかと思った。
帰り道、献血ルームの在る都心の駅にはたくさんの人間がいる。様々な年齢で、様々な人種で、様々な職業で、みんな、血を巡らせて動く人間である。
何となく帰りの電車の中は、いつもより少しだけ快適な気がした。




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