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【小説(執筆中)】クアダール

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悪魔の話
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クアダール②

3度目に会ったのは、何でもない日の何でもない夜だ。普段通りにベッドに横になった僕は、疲れていて眠りについた。

森の中のような場所、クアダールは木に持たれるように立っていた。遠くから微かに滝の音がする。水辺が近いようだった。
「何か聞きたいことがあるでしょう」
クアダールは全て知っているかのように聞いてきた。僕は答える。
「クアダールは悪魔なの?」
夢の中の僕は少し焦った。聞こうと思った内容と自分

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クアダール①

クアダールには夢の中で出会った。クアダールは悪魔だ。いや、自称悪魔だ。現実でも会えると言っていたけれど、夢の中でしか会ったことはない。夢の中、小学校の屋上で月を眺めていた。中学生になって9ヶ月も経っているのに、なぜ小学校の屋上にいたのかはわからない。

夢とは、覚醒時の記憶、つまり現実での活動を整理している、とテレビか何かで見たことがある。その日は、「隣の中学の女子学生が自殺した」という話を母から

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