【読書メモ】ビジョナリー・カンパニー2 Good to Great(飛躍の法則)
企業(起業)の教科書としてよく挙げられる書籍です。
会社に対する視点、あるいは個人に対する視点として、社会人としては一読して損はない一冊になっています。
以下読書メモです。
調査方法
非常に厳しい条件で抽出したモデル企業を対象に、良好と偉大の違いを統計的に調査分析した結果、偉大な企業は後述の7つの各ステップを漏れなく踏んでいることが分かりました。
1. 第五水準のリーダーシップによって主導されている
第五水準とは、、
個人としては非常に謙虚で、成功の理由を外部に見出し、失敗の理由を自分に向ける。一方で熱狂的に職人気質であり、情熱を個人でなく企業に向け、妥協を許さない。目標に向かって手段を選ばない。非凡で有名な変革指導者ではなく、滅私的で個人の偉大さを主張しない人物。
とあります。
超有名カリスマ経営者というより、どっちかというと目立たないのに、圧倒的な熱量でゴールに向かって突き進む人が率いる会社のほうが、圧倒的になれるよということです。
前者はカリスマの影響が強すぎるがゆえに、いなくなったら地盤がとても緩くなってしまうことがその理由として挙げられます。
2. 最初に人を選び、そのあとに目標を選んでいること
何をすべきかより先に、誰を選ぶのかを先に決めて、この原則を厳格に一貫して適用しよう、というものです。
1にも通じますが、一人の経営者・管理者が目標を決めるのではなく、適切な人材同士の徹底的な議論により方針を決めることで、より大きな示唆を含む決断をすることができます。
社会的に見れば、一人でできることなど、天才といえどそれほど大きくはないのです。
適切な人材を適用する為には、専門知識・学歴・業務経験より、性格と基礎的能力に沿って、採用、また職務配置に充てるべき。とありますが、これはまあそうですよね。
前者はいくらでも後天的に手に入ります。
なので、採用は非常に厳しく、最重要ポイントとして取り組むことが大事です。
そういう意味で、報酬は不適切な人材を正しい行動に導くことになく、適切な人に居続けてもらう為にあります。
とはいえ、人材の決定に厳格であるだけで、冷酷にレイオフやリストラは行うのはNGです。会社としての信用を失います。
3. 厳しい現実を直視すること
当然ですが、上司が意見を聞き、真実に耳を傾け、最も厳しい現実を直視することで、正しい判断が下せます。
状況をみてみないふりしていては、問題は解決しません。
この書籍はそういった環境を作る基本的な方法を指摘してくれています。
以下の4点です。
一, 答えではなく、質問によって指導する。
二, 対話と論争を行い強制はしない。
三, 解剖を行い、非難はしない。
四, 入手した厳しい情報を無視できない情報に変える仕組みを作る。
上記がよい理由も、やはり「人が大事」ということにつきます。
さてさて、厳しい現実を直視する一方で、どれほどの困難にぶつかっても最後は必ず勝つという確信をもつことが大事です。
これをストックデールの逆説というそうです。
ベトナム戦争中、捕虜収容所で拷問を受けていたストックデール将軍が発見したのは、「この日には解放される」という楽観主義を持っていた隊員ほど、それが裏切られたときに死んでしまう傾向にあることでした。
そう簡単に解放されるわけはないという厳しい現実を直視したうえで、最後には解放されるという確信を持っていた隊員が生き延びたのでした。
会社も本来はそのゴールとして「生き延びる事」が目的なのです。
4. 針鼠の領域を理解し、明快に進んでいること
1、情熱をもって取り組めるもの
2、自社が世界一になれる部分
3、経済的原動力になるもの
この3つの要素が重なる部分を深く理解し、単純明快な概念を会社として確立する必要があります。
この3つの要素が重なる小さい領域を針鼠のハリに見立てて、針鼠の領域と呼んでいます。
ここで留意しなければならないのは、針鼠の概念とは、目標ではなく、戦略でもなく、意図でもなく、深い理解であることだそうです。
一時的に設定するものでなく、会社として浸透した深い理解です。
それは現状のコアコンピテンシーではないかもしれません。
深く長い洞察の上、決定する必要があります。
針鼠は単純で冴えませんが、たった一つ、肝心要の点を理解して、そこから離れません、
比較対象の狐は賢くてさまざまな点を知っているが、一貫性がありません。
狐ではなく、針鼠になりましょうよ、という示唆を提供してくれています。
5. 人ではなくシステムを管理する
適切な人は自ら規律を守ります。
不適切な人を降ろし、適切な人を乗せれば、官僚制度は不要になります。
宗教的ともいえるほどの一貫性(カッテージチーズを洗うと表現しています)をもって、三つの要素の中心にとどまる規律の文化をもつほど、成長と貢献の魅力的な機会が増えるようになっています。
「一生に一度の機会」であっても、三つの要素に重なった機会でなければ、飛びつく理由は全くない。と、本書では断じています。
三つの要素の中心以外は徹底して居着かない意思が必要で、「止めるべきこと」リストのほうが、「やるべきことリスト」よりも重要になります。
6. 最新の技術は手段として用いること
最新の技術を使うか使わないかは、あまり重要なファクターではないそうです。
三つの要素に重なれば取り入れるし、重ならなかったら普通に利用するか、無視をする、でいいのです。
凡庸な企業はブラックエンジンに動かされ、新技術を焦って適用したがりますが、偉大な企業はホワイトエンジンによって思慮深く利用します。
7. はずみ車を回すこと
転換は劇的で革命的には進みません。
外部からはそうでも内部から見れば、非常に着実とした準備段階を経て飛躍しています。
これは巨大で思い弾み車を回すことに似ていて、最初はわずかに前進するだけでも並大抵ではない努力が必要ですが、押し続けていれば、やがて勢いがつき、小さなエネルギーで回すことが出来ます。
ここで留意したいのが、一貫した力を加え続けていなければ、逆にそのエネルギーは減速へと働くことです。
革新を狙った思慮の浅い大型投資は、逆効果を往々にして生み出します。
転換期には特に大きな転換だと気づかないのが理想です。
重要なのが、偉大な企業は「力の結集」「従業員の動機づけ」「変化の管理」にほとんど力を入れていない点です。
ご覧になってきたらわかると思いますが、1~6までの条件が巧く整えばこれらは自然と解決するようになっています。
ビジョナリーカンパニーの4つの概念
1~7までを実施していれば、会社としての自律性が保たれますが、以下の4点が、1~7とは別の視点から見たビジョナリーカンパニーの概念です。
1. 時を告げるのではなく、時計をつくる
すべてを指導するのではなく、システムを作ることで人を効率化させる。
2. ANDの才能
相反する二つの能力を持つことが、優れた個人・企業に必要だ。
3. 基本理念
企業の誰もが従う基本理念を持ってさえすれば、方針や戦略を立てる必要がない。
4. 基本理念を維持し、進歩を促す
基本理念という軸は徹底して守り、それ以外を、居着くことなく徹底して改善していく。
おわりに
最後のほうに記載してあった響く名言を載せておきます。
"本当に問題なのは、「なぜ偉大さを追求するのか」ではなく、「どの仕事なら偉大さを追求せずにはいられなくなるのか」だ。
「なぜ偉大さを追求しなければならないのか、そこそこの成功で十分ではないのか」と問わなければならないのであれば、おそらく、仕事の選択を間違えている。
偉大な企業の役員、従業員はもれなく心の底から楽しんで仕事をしている。"
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