【読書メモ】プロが教えるはじめてのNLP超入門

世には多くの自己啓発本があり、「こんなときはこうするべき」「こういう思考で行こう」というようなアドバイスがあふれています。

でも、なかなかうまくいかなかったり、続かなかったりしませんか?

方法論はわかっていても、肝心の行動を起こす自分の心や意識がどういう構造をしているのかを詳しく体系立てて学ぶ機会は意外とありません。

本書で紹介しているNLPとは、Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の略で、脳や精神をどうやって扱うか?を体系的かつ実践的に整理した心理学のことを言います。

まずはそういった学問があるんだということを、この超入門書では学ぶことができます。

以下、読書メモです。

NLPでできること

NLPはもともとベトナム戦争で深い精神的な傷を負ってしまったアメリカ軍人を癒すために開発された心理療法です。

トラウマを癒すほどのポテンシャルを持つ体系のため、そこからさまざまな進化を遂げ、応用範囲が広がりました。

今や医療的な枠組みだけではなく、自己実現のコーチング手段としても用いられています。

要は意識としての枠組みを書き換えるような仕組みなのです。

NLPの仕組み

NLPはNeuro-Linguistic Programmingの略で、神経言語プログラミングと呼びます。

すなわち、神経をシステムととらえ、言語や非言語を用いて、そのシステムをプログラミング(書き換え)していこう、というものになります。

神経とは意識の下の層、無意識を指しており、これまで生きてきた中で人間の無意識はシステムのように構築されています。

このシステムはひとそれぞれで、システムによって見える景色や感覚、聞こえ方は違います。

このシステムを変えることで、今より望ましい状態へ移行することをNLPでは目指しています。

ということで、まず何が自分にとって望ましい状態なのかを明確にすることが大事です。

どういう形になれば望ましい状態なのか?

望ましい状態になることで何が変わるのか?

今それに対して何ができていないのか?

自分には何が足りないのか?それを知るには何が障害になっているのか?

ゴールが具体的になれば、あとは行動し、行動した結果を観察してできているか確認しつつ進んでいけば、必ずゴールにたどり着くことができます。

この明確化していくということが大事です。

ゴールへ向かっていくうちに、進むのが無意識に怖くなってしまったり、進むのが続かなかったりしますが、その感覚を明確化して書き換えてしまえば、無意識の障害はなくなります。

NLPの概要と方向性は以上のようなイメージです。

ラポール形成

ゴールをたて、進んでいくのに最も必要な能力は、人を巻き込む力です。

人を納得させたり、動かしたりするには、まず自分が影響力や好感、信頼を抱かせるような人物にならなければなりません。

まず行うことは、人の信頼を得るような行動をすることです。いい話であっても信頼がなくては通りません。

信頼関係を築くことをラポールを形成するといいます。

信頼を築くには以下の5つの段階を踏むそうです。

 ①相手のダンスを踊る(ペーシング)

 ②信頼関係を構築する(ラポール)

 ③自分のダンスに導く(リーディング)

 ④相手に影響を与える

 ⑤価値観や信念の一致

信頼を築いて相手を動かしていくには、まず相手のダンスを踊る、すなわち相手のことを受け止める土台を作ることが必要です。

①を実践するにあたり、NLPでは以下のテクニックがあります。

<ミラーリング>

相手の動作をさりげなく真似て、無意識レベルで同調する。

例)相手と同じタイミングでお茶を飲む、同じ姿勢になる等

<ペーシング>

相手のペースに合わせて、コミュニケーションの閾値を下げる。

例)相手と同じペース(遅く/速く)で話す、相手と同じテンションで話す(笑いながら/まじめに等)、同じ呼吸のタイミング、同じ身振り手振り、同じ語彙等

<バックトラッキング>

相手の話した事実や感情、要約を繰り返すことで、話を聞いている印象を与える。

<キャリブレーション>

声のトーン/テンポ、血色、呼吸の変化などを観察し、相手の状態を知る。

テクニックとして有名なのはアイ・アクセシング・キューがある。

目線が上に行くと視覚系、目線が左右に行くと聴覚系、目線が下に行くと感覚系を呼び覚まそうとしている傾向にある。

また、右方向を見る場合は未来、左方向を見る場合は過去の記憶にアクセスしようとしている。

会話のテクニック

NLPは言葉に絶大な力がある前提で展開されます。

相手を正確によく理解するためには、まず相手の話す内容の曖昧さを排除していく必要があります。

人は無意識のうちに会話の際、文章を省略したり、歪曲したり、一般化したりして事実を覆い隠してしまいます。

そこで、具体的な内容を補完していく質問を心がける必要があります。

なぜ?ではなく、何がいつどのように、だれが、といった客観的で具体的な情報を埋めていくようにしなければなりません。

そうすることをメタモデルといいます。

逆に話す際にはメタモデルとは逆に話します。ミルトンモデルといいます。

曖昧で一般化された言葉は、相手の心地よいイメージのまま伝わります。

話すときは、相手に響くということをゴールにして、メタファーや引用、ストーリーを語るべきなのです。

このように、チャンクダウン(具体化)、チャンクアップ(抽象化)を駆使して、相手とのダンスを踊ることで、ラポールを築いていきます。

自分自身とのコミュニケーション

ゴールに向かって進んでいくにあたって、一番変えなくてはならないのは自分です。

自分とどうコミュニケーションをとるかが重要です。

結論から言うと、自分の今思い描いているイメージの通りにモノゴトは展開されます。

もし自分に悪いビリーフ(信念、価値観)があるとしたら、その自覚なしにはそこから抜けられません。

まず自分にどういったビリーフがあるかを俯瞰してみる必要があります。

あとはそれを自分が望むビリーフに書き換えればよいのです。

今自分を構成しているビリーフは、幼少期の体験であったり、社会的な刷り込みであったりするわけですが、まずはそういったビリーフがあると自覚するだけでも書き換えのステップとなります。

自覚して、視点が変われば徐々に変わっていきます。

自覚するには、ビリーフがどういったレイヤーにあるのかも正確に認識する必要があります。

以下のニューロロジカルレベルというスキームを利用することも有用です。

<ニューロロジカルレベル>

環境>行動>能力>信念・価値観>自己認識>スピリチュアル

右に行くほど上位のレベルで、上位のレベルは下位のレベルに影響を及ぼす。

自己と対話する際、レベルごとに自分の望ましい状態を問うことで、自分のゴールを明確にして再認識できる。

そのほかのテクニック・概念

以上がおおよそのNLPのさわりだそうですが、まだまだテクニックとしては多くあります。

その一例を下記にメモしていきます。(すべてではありません)

<モデリング>

自分の理想とされるモデルケースとなる人物やモノがいる場合は、その人を徹底的に観察し、真似をすることで無意識からゴールを達成する人物になりきる。

<アンカリング>

最高のパフォーマンスをした時のイメージを特定の行動や所作とともに想起する(アンカーを作る)ことで、次にその所作をした際に最高のパフォーマンスができるようにする。

<コラプシングアンカーとヴィジュアルスウィッシュ>

マイナスイメージのアンカーをプラスイメージのアンカーで書き換えたり、かき消したりする。

※マイナスアンカーが増幅する恐れもあるので、具体的な実施方法は良く調べたほうがよい。

<サブモダリティーチェンジ>

良い/悪いイメージを想起したときに付随している五感(サブモダリティー)を変えることで、望ましい状態にする。

例)良いイメージが五感を変えて(色を変えたり音を変えたり感触を変えたり)より良いイメージなるか試す、悪いイメージが五感を変えてよいイメージになるか試す(悪いイメージを勇壮な音楽を載せて、ボス戦のような盛り上がりにしたり)

<アソシエイトとディソシエイト>

イメージになりきって無意識を操作すること(アソシエイト)と、普通の状態に戻ってそれらを俯瞰すること(ディソシエイト)を効果的に使い分け、自分をカスタマイズする。

<リフレーミング>

一つの客観的事実でも状況や立場、見方によって印象は180度変わったりする。

嫌な側面しか見えなくて困る場合は状況や立場、見方を変えてみる。

<タイムライン>

過去から持ってきた良いイメージのアンカーを、想像上で、未来へ順番にアンカリングしていくことで、ゴールが達成しやすくする。

<コアトランスフォーメーション>

今の自分がしてきた行動や習慣は、すべて肯定的な意図があるのだと捉え、その意味を探す。

自分が本当の意味でしたいこと、あるべきなのは何だったのか、肯定的な意図として捉える事で、理由づけることができます。

望ましくない状態や行動に打ち勝とうとするのではなく、受け入れ、意味付けすることで味方にしてしまうのです。

そうすることで、自分が本当に大切にしていることだけが残り、コアステートに気づくことができます。


一人一人が自分のゴールに気づくことで、世の中は総じて良くなっていくと信じています。


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