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自由と平等のために闘った米国最高裁判事ルース・B・ギンズバーグの『名言集』を一部公開!
2022年6月24日、アメリカ合衆国連邦最高裁は、人工妊娠中絶する権利を認めてきた「ローvsウェイド」最高裁判決を覆し、妊娠15週以降の中絶禁止を定めるミシシッピ州法を違憲ではないと判断しました。これにより、同国の多くの州で中絶が禁止あるいは規制強化される可能性があります。
さらに、今回の判判決で(中絶規制は違憲ではないとした)多数派に属するトーマス判事が、今後は避妊や同性愛の自由、同性婚の合法性を認めた過去の判例も見直すべきと述べるなど、漸進しつつあったジェンダーとセクシュアリティ、生殖にかかわる自由と平等の実現が脅かされつつあります。
日本の法律においても人工妊娠中絶に際して妊娠者自身の主体性を認めない条件があることや、より安全で身体的・精神的・経済的にも負担の少ない中絶方法が制限されており改善の見通しが立たないこと、また異性間の婚姻と同等の権利を有する同性婚が認められていないばかりか、政治を担う人々の間でさえ女性や性的マイノリティーに対する差別がまかりとおっている現状などを考えれば、この事態が対岸の火事でないことは明らかです。
一連の報道を受けて私は、2021年に刊行した『ルース・B・ギンズバーグ名言集』に収められた言葉の数々を強く思い出しました。アメリカ合衆国連邦最高裁の最初期の女性判事として〝閉ざされた扉を順番に開けてきた〟ギンズバーグ判事は、憲法の定める自由と平等を尊重し、長年にわたりジェンダー差別をはじめとするさまざまな差別と闘ってきました。今回は、本書のなかから、特に人工妊娠中絶をめぐる裁判、および同性婚の権利にかんする裁判での発言を選び出し、紹介いたします。(編集O)
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ルース・B・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg, 1933-2020)
1993年から2020年に死去するまで27年間にわたってアメリカ合衆国連邦最高裁判事を務める。当時まだ数少なかった女性弁護士としてジェンダー不平等などに関わる訴訟を多く担当し、コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所の判事に就任。その後、ビル・クリントン大統領に指名されて1993年に連邦最高裁入り。以来、保守化の進む連邦最高裁においてリベラル派の代表的存在となった。意見を異にする立場の人とも対等で友好的なコミュニケーションを築く一方、法廷では舌鋒鋭い弁舌を展開し闘う姿がSNSで注目を集め、「RBG」「ノトーリアスRBG」の愛称で呼ばれるポップアイコンとなった。伝記絵本や映画、ドキュメンタリーが製作され、関連グッズも販売されるなど、大衆の間でも高い人気を誇った。
[訳]岡本 早織(オカモト サオリ)
1993年、大阪生まれ。中学時代をベルギーのインターナショナルスクールで過ごす。国際基督教大学を卒業し、現在は実務翻訳者。2014年から、「TOKYO+MADE (Humans of Tokyo)」というインタビューサイトの翻訳を担当。2019年から、日本における婚姻の平等(同性婚の法制化)の実現を目指すMarriage For All Japanを内部で翻訳・通訳などにより支援。訳書に『国際化の時代に生きるためのQ&A②ジェンダーってなんのこと?』(創元社)がある。
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