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エピグラフの本(仮)| 山本貴光・藤本なほ子

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ただいま創元社では『エピグラフの本』(仮題)を制作中です(2023年4月刊行予定)。出版に先行し、ウェブ連載を開始いたします。毎月15日は、編著者の山本貴光さんによる「異界をつな…
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#夢の中の夢

【連載】エピグラフ旅日記 第6回|藤本なほ子

エピグラフ旅日記(10月)10月某日(1)つづき──神西清ラインをたどる   ロシア・ソビエト文学の棚に滞留している。『パステルナーク詩集』(★1)を眺めてしばしの時を過ごした後、棚に戻し、さあ仕事をしよう、と棚の続き(右方向)に向かい、岩波文庫やちくま文庫、講談社学術文庫、平凡社ライブラリーなど、おもだった文庫や叢書を手当たりしだいに抜きとって閲覧席に運ぶ。  ドストエフスキーやトルストイなどはすでにほぼすべて全集で確認済みなのだが、翻訳の違いが気になったり、もしや全集

【連載】エピグラフ旅日記 第5回|藤本なほ子

エピグラフ旅日記(9月)9月某日(6)つづき──アントニオ・タブッキの3つのエピグラフ   「まずはおもな文庫や叢書を、エピグラフがないか一冊ずつ確認していく」という方針の下、壁際のスペイン文学とフランス文学の棚をうろうろしたのち、イタリア文学の棚へ。 (ちなみに、今回の調査ではできるだけ網羅的なデータをつくりたいと考えており、主だった著者については、エピグラフがあった作品だけでなく「エピグラフがなかった作品」の情報も記録している。たとえばこの日のノートを見返すと、以下の