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香りの余白

先週まで、京都の藤井大丸さんでPOP UPをさせて頂いていたのですが、普段お客様と直接お話しする機会が少ないので、なんだか楽しくて長々とお話ししてしまう場面も多く、、、。お越しいただいた皆様本当にありがとうございました!


「SODEは寝具専用の香水。」

という紹介の流れで、なぜ寝具(布)用なのか、ということをお話しすることが特に多く、
自身の「布に香りをつけるということへのこだわり」と、お客様から得た観点を残したいなと。


日本古来の美しい香り文化として、着物に匂い袋を忍ばせたり、香を袖に焚き染めたり、香りをもって自分が誰かを伝えた、というものがある。

あの香りはどなたの香りか、と「香りの主」を尋ねたくなる。
そんな背景から、着物に忍ばせる匂い袋は「誰が袖」と呼ばれる。


この素敵な香りがする着物を纏っているのは、一体どんな方なのか、、、
と、着物という布を一枚挟んで、その香りから香りの主を妄想するという、日本独特の余白を持たせた香り文化の色気に私は心惹かれる。
そんなところから「布」につける香りを作りたいと思った。

ただ、着物を日常的に着るということも少ない今。
感情や妄想を包み込む布として、私は「寝具」が頭に浮かんだ。

枕を濡らしたり、枕を交わしたり。


もう一つ、寝具の持つパーソナルな要素もいいなと思った。
外に纏っていく香水は、多少なりとも対外的になり、香水を選ぶとき、その香りを嗅いだ周囲の印象がチラついたりする。
それに対して、寝具は、純粋に自分の好きな香りを楽しめる、そんな自由でパーソナルな場所。
深く考えず、直感的に、香りを楽しむことができる良さがあるなと思っていた。

そう思っていたのだけど、

「お招きして頂いた寝具からこの香りがしたら、その人のこと忘れられないかもしれません。」

そんなお客様の言葉から、パーソナルスペースで、自分が好きな香りを自分で楽しむ、というだけでなく、誰かへのおもてなしとしての使い方もあるよなぁと。

確かに、
私のために、寝具にこの香りを、と思ったり、
逆にあの人を思いながら香りを選んだり、
とかもすごく色っぽい瞬間。

香りの周りの、いろんな余白を、楽しんでいただけますように。

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