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10歳の子供が家出した!!やったこと、反省したこと、そしてその後。

2021/1/25
朝晩には氷点下になる真冬の北海道で、10歳の息子が家出した。

母親である私との口論がきっかけで、夜9時過ぎに家を飛び出してしまったのです。言うまでもなく、北海道の冬は過酷なので、一晩中外になんていたら死んでしまいます。

思春期を迎えた子であれば一度や二度の家出は珍しくはないのかもしれません。でも、母親にとっては自分の子が家出をするという経験はそう何度もある事ではなく、いざ自分の子が家出をすると、あたふたして頭が真っ白に。そして、迷子になったり、野宿しようとして「死んでしまったらどうしよう」とか、口から心臓が飛び出そうなくらい心配で不安な時間でした。

結果的には、午前3時くらいに息子は無事に自分で家に帰ってきました。
息子が帰ってくるまでの約6時間に私が実際に取った行動、今回の反省点、そして息子とのその後の話を綴りたいと思います。

ちなみに家出のきっかけは、どこの家にもあるような親子の口喧嘩です。
売り言葉に買い言葉で、どんどん白熱して、どちらも引くに引けなくなり...息子はついに家を飛び出してしまいました。

家出から帰宅までの約6時間にやったこと

直後
・すぐに追いかける
我が家は大きな通りに面していて、ベランダから通りを見渡せます。
まず家を出て向かえるのは2方向なので、どちらの方向に行くのか確認してから、走って追いかけました。しかし、すぐにここで問題が発生!

10歳の子供の歩く速度は想像以上に速かったのです。

息子が向かった方向は確認できたものの、その先約300メートルくらいのところに4叉路があり、そこに辿り着いた時には、どの方向にも息子の姿はありませんでした。

・ケータイに電話する
息子には「みまもりケータイ」という防犯ブザー付きの電話を持たせているので電話してみましたが...案の定、出ません。あとで家に戻ったら、そもそもケータイを家に置いたままでした。

・家の近くを探す
近くのコンビニや公園など、息子の名前を呼びながら家の周辺を探しました。コンビニの店員さんに小学生の男の子を見かけなかったかと聞いて、もし見かけたら電話をして欲しいと連絡先を渡したりもしました。それでも、全然見つかりません。

我が家は息子とふたり暮らしなので、探すのは私ひとり。車はなく、冬で自転車も乗れないので手段は徒歩しかありません。

時間は刻々と過ぎ、気温はどんどん下がってきます。

このまま行方不明なったらどうしよう。
死んじゃったらどうしよう。
不安で泣きそうで、手が震えていました。

1時間後:午後10時
・警察に連絡する

自分ひとりで探せる範囲の限界を感じ、ワラにもすがる思いで110番に電話しました。よく「警察は事件にならないと動かない」と言われますが、そんなことを考える余裕はなく、とにかく誰かの力を借りなくては、という一心でした。電話をして状況の説明をすると、電話口の方は思いのほか親切で以下のように告げられました。

まずは冷静になり、落ち着く事。
すぐに警察官を送るので家で待機する事。

約10分後くらいに、パトカーに乗った2名の警察官が来てくれました。
息子を探してくださるとのこと。よかった。
これほど警察官に対して感謝の念を抱いた事はありません。

自宅に入ってもらい家出の経緯を説明し、息子の顔写真や外見の特徴を共有しました。こんな親子ゲンカが原因の家出に親身になってくれることを感謝しつつ、なんだか申し訳なくて、何度も警察官の方に謝っていました。息子が見つかったあとに聞いたのですが、この日はなんとパトカー30台くらいが息子を捜すために動いてくれたのだそうです。

1時間くらい自宅内で2名の警察官からいろいろ質問を受けて、その後その二人も「探してきます」と外に出られました。私も探しに行こうとしましたが、子供が自力で帰ってきた時に家に誰もいないと困るので、警察が動いてくれている間は、家で待機しているように言われます。落ち着かないし、何か他の事をすることもできなく、ずっとベランダから息子が歩いていった方角を見つめていることしかできませんでした。

2時間後:午後23時
・祖父母に連絡する

警察に動いてもらってから約2時間後、さっきの二人の警察官が戻ってきて、なかなか見つからないので、親戚や祖父母宅など息子が行きそうな家がないか、あるのであれば連絡するように言われました。

実家は車で行っても30分以上はかかる場所なので、息子が徒歩で向かえるとは到底思えないですが、念のため連絡。余談ですが、私は諸事情で実家とは絶縁状態なので連絡するのはかなり気が進みませんでしたが、息子のためなら、と思い仕方なく電話しました。やはり行っていないとのこと。

3時間後:午前0時

警察官がまたやってきて、なかなか見つからないので警察犬を使った捜索も始めるとのこと。息子の洋服や枕カバーなどを渡します。もうなんだか大事です。

4時間後:午前1時

まだ息子は帰ってきません。
静まり返った部屋で、ウロウロしながら、ベランダの外を見ながら部屋にいましたが、もういても立ってもいられません。警察には家にいるように言われましたが、たくさん着込んで息子を探しに外へ出ました。

5時間後:午前2時

警察からまた電話がかかってきて、調書を一枚書き忘れたとのことで、これから家に来ると電話。家で待機するように言われていたので、まずいと思いながらも息子を探しに外にいると告げ、30分後くらいに来てもらうようにお願いします。

歩き回り、ガクガクになった足で自宅へ向かいました。アパートの外でちょうど警察官と合流し、一緒にアパートの玄関に入って階段を登ると「ガタン」とドアが閉まる音が上から聞こえました。

「!!」

まさかと思い、走って2階の自宅まで階段を駆け上がり、ドアを開けるとそこには息子が立っていました。

よかった。本当によかった。
無事に帰ってきてくれて本当によかった。

息子は私の背後にいる体格の良い警察官2名に驚いていました。
警察官の方は息子に「パトカー30台が君の事を探し回っていたんだよ。お母さんともいろいろあったとは思うけど、とても心配をかけてしまったね」と優しく伝えてくれました。そして帰り際、何度も謝り感謝を告げる私に「家出した息子さんには厳しく怒ったりせず、ゆっくりと話すように」という言葉を残してくれました。

2人きりになった部屋で、私は安心して力が抜けてしまい泣いてしまいました。そして、息子をぎゅーっと抱きしめました。

息子は「迷惑かけてごめんなさい」と。

彼は家を出てからずっと5時間以上、外をひたすら歩いていたようです。最初は私と何度か行ったことのある近所の神社へ行き、本当はもっとすぐに家に帰るつもりだったのに間違えて逆方向に突き進んでしまい、気がついたら街の中心部の大きな駅に着いてしまったと。1万円くらいのお年玉も持っていたけど、タクシーに使うのはもったいないから、歩いて引き返したのだそうです。

反省したこと

感情的に"怒る"ことは、何も生まないし、誰も幸せにならないということ。

育児系の本を読んだりすると、"怒る"と"叱る"は違についてよく書かれています。

怒る:感情をぶつけるように、荒々しい言葉で伝える

叱る:諭すように、子供の目線になって伝える

子供と暮らしていれば、感情的に怒るようなことはしたくなくても、どうしてもヒステリックになってしまうことはあります。一度もそうならない、という母親なんてこの世にいるのでしょうか?私はしょっちゅうあります。忙しかったり、疲れていたり自分に余裕がない時はなおさら。

でもこの日ほど"怒り"のデメリットを感じたことはありません。
無事に帰ってきてくれたからよかったものの、この家出がきっかけで息子の身に何か起きていたら...なんて考えると恐ろしいです。

息子を待っている間ずっと「あんな事言わなければよかった、あんな事しなければよかった」と考えていました。

ひとしきり抱きしめて、泣いて、私は息子に伝えました。

私はあなたのことが大好き。そしてとても大切な存在。
できれば、ふたりで仲良く、喧嘩なんてせずに暮らしたい。
なぜ今回お母さんがあなたを怒ったのかという理由を伝え、その解決方法はないのか冷静に話をしてみました。今回はしっかり想いは伝えられたように思います。

話が長くなりすぎるので、喧嘩の経緯はまた別の記事にしようと思いますが、結論はこんな感じ。

お母さん
・家を散らかし放題にするのはやめてほしい
・お母さんは毎日仕事もしていて大変なので、自分の事はできるだけ自分でしてほしい

子供とはいえ、もう10歳で自分の身の回りのことは自分でできる一人の人間です。お母さんは「母親」であり「家政婦」ではないと、私は息子に常日頃から伝えています。

息子
・ゲームが大好きでその時間は大切だから、尊重してほしい

ゲームやマンガが大好きな息子。私はどちらもそれほど好きな方ではないので、軽視してしまいがち。「だらだらゲームして!」とか、つい言ってしまいます。でもそれって、母親の価値観の押し付けなのかもしれない、と思い直しました。息子にとっては最高に楽しい、大切な時間なのだから尊重してあげようと。

30分ほど話し合い、最後には「ふたりで暮らしているのだから、お互いを尊重して、楽しく過ごそうね。」そうやって話し合いは幕を閉じました。

その後の母子の暮らし

「雨降って地固まる」ということわざがありますが、今回の我が家での事件は、まさにこのことわざがピッタリです。母と息子がお互いに内に溜めた不満を爆発させて、その後に冷静な話し合いをする事ができたことはとても貴重な出来事でした。

息子はこの日以降、よく家の事をやってくれるようになり、私も息子の時間の使い方を尊重することが出来るようになりました。とはいえ、もう二度と家出をさせてあんなに不安で恐ろしい時間を過ごしたくはありません(笑)。家出なんてしないに越した事はありません。

今後また何かあった時には、冷静に話し合いをして、怒りを爆発させるようなことはしない、と心に誓っています。この体験の共有が、どこかで今日も子育てに向き合っているお母さんの何かヒントになれば、嬉しいです。

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