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「ひきこもり」の自分以外のことをみてくれる会社があった。20歳ユウトさんの知らない世界 - ジョブトレ利用記(TANZAQプロジェクト活動報告)

ホームページやSNSでプログラムの情報をお伝えしているつもりではあるのですが、実際に若者に聞いてみると「実際の利用した人の話を教えてほしい」とよく言われます。

今回は、若者向けのトレーニングプログラム「ジョブトレ」を利用した方の声をお届けしていきます。

協力してくれたユウトさんは、当時20歳でジョブトレにつながりました。
ジョブトレの印象は決して良くなかったユウトさん。利用を続けるなかで気付いたことが、今の生活を変えるきっかけになったようです。


■自分なんか社会の役に立たない

(スタッフ)
ジョブトレに来る前のことを教えてください

(ユウトさん)
高校を卒業してから家にひきこもっていて、ゲームばかりしていましたね。
いじめ…というほど大げさではなことはなかったけど、中高どっちも楽しかった思い出はなくて、わざわざ話すほどのこともないっていうか…

ひきこもるのが良いとは思ってなかったですよ。でも、ちょっと諦めてた気持ちもあった。勉強ができるわけでもないし、陰キャっていうか…どうせ自分なんて社会の役には立たないからって。

(スタッフ)
ユウトさんはジョブトレをどこで知ったんですか?
自分で調べた感じは受けなかったのですが…

(ユウトさん)
もともとは母親が結(※)で相談してたんです。なんとなく、親から話しかけられることが増えて、なんかおかしいなと思ってたらジョブトレのことを切り出されました。

言い方は悪いけど、話を合わせられて(笑)
行きたくなかったけど親に迷惑をかけてる申し訳なさもあったし、やばいところだったらもう行かなければいいやって思ってました。

(※結:育て上げネットが運営する保護者向けの相談支援プログラム)

■ジョブトレは「よくわかってるな」って思った 

(スタッフ)
実際に立川まで来てみたらどうでした?

(ユウトさん)
ジョブトレに行くようになって、スタッフの方たちが自分みたいな人を「よくわかってるな」と思ったんです。無理にやらせようとはしないし、どうにか盛り上げようとしたりとか、頑張ってる感じはしなかった。

関わるのが楽だったんですよね。自然っていうか。
通い詰めると、いろいろな面で自分のことをみているというのがわかってきて、本当に自分たちのことを考えてるんだなと伝わってきました。

他のメンバー(利用者)とも話すようになったのはもう少しあとかな。プライベートで関わるほどではないけど、ジョブトレで仕事だったりイベントがあるから多少は仲良くなりますよ。

(スタッフ)
ジョブトレのスタッフの印象は?
仲良くなったスタッフはいました?

(ユウトさん)
最初は阿部さんと仲良くなりました。週1で通ってたときも声をかけてくれて、一緒にゲームもしました。他のスタッフのことも作業に行くようになって少しずつわかってきました。

みんな視点や接し方が違うんですよ。男性と女性の違いもありますし、穏やかな人もいれば、ちょっとうるさいくらい元気な人もいる(笑)
メンバーはみんな話しやすい人が違うと思います。僕の場合は阿部さんだったけど、たぶん他のスタッフに相談したい人もいるんじゃないかな。

学校ではそんな相談したい先生っていなかったなぁって。

(スタッフ)
通うようになって自分自身の変化はありました?

(ユウトさん)
最初のうちは正直苦痛でした(笑)
どうしたら早く帰れるかばかり考えました。
親に迷惑かけたくなかっただけだから、「こんなところ来るやついないだろ」って思ってたし、知らない人がいるところは得意じゃないし。

丸一日いるようになるまでは1カ月くらいかかったかな。
ここにくるようになって、自分だけじゃないんだって実感したんです。人付き合いは相変わらず苦手だけど、話すのが嫌なわけじゃなかった。
帰る時間を過ぎても、みんなでスマブラとかするようになってました。

■「ひきこもり」以外の自分を見てくれる会社に出会えた

(スタッフ)
「働く」とか「仕事」のことは?

(ユウトさん)
もちろん話してました!
就職活動をしなければいけない、いつまでも親の迷惑をかけられない…
ジョブトレに通いはじめてから、焦りが強くなったんです。

スタッフのみなさんが仕事探しを手伝ってくれました。求人情報の見方とか、自分の性格や今の状態のことをよくわかってくれてるので「この仕事は〇〇が厳しいよ」とか「こっちは社保があいまいだね」とか。
自分だけだったら絶対読み飛ばしてたところも踏まえて話してくれました。

最終的には育て上げのスタッフさんがつないでくれた会社に見学にいって、話をさせてもらいました。

普通にバイトに応募すると、ひきこもってた時期のことを説明しなきゃいけないんです。もちろん練習していくんですけど、納得してくれる人ばかりじゃないんですよね。人手不足って言われますけど、ひきこもってたってわかるだけでお祈りメール…ってこともある。

スタッフがつないでくれた会社は育て上げとの関係もあるし、この人が言ってるなら悪い会社じゃないだろうって思えました。ひきこもってたことについては触れないで面接が進んでいきました。

■人生終わってなかった。「世界は広い」

(スタッフ)
ジョブトレに来てよかったことは?

(ユウトさん)
「世界は広い」って気づいたんです。
ネットやSNSでは失敗したら終わりとか、陰キャコミュ障に未来はないみたいな書かれ方してて、自分の人生も終わったと思ってた。

でも、ジョブトレでこの世界にはいろんな人がいて、考え方もいろいろで、ひきこもりの自分以外のことをみてくれる人もたくさんいるんだって知ったんです。

(スタッフ)
最後に、悩んでいる方に一言いただけませんか?

(ユウトさん)
最初はあいさつだけして帰るでもいいんです。
仕事とかは作業はもっと慣れてきたら行けばいい。ふらっと来るところから始められたらいいと思います。

(スタッフ)
インタビューのご協力ありがとうございました。


■「TANZAQ」を通じての成果

TANZAQ(タンザク)とは、Yogiboがスポンサーとして社会課題に取り組む団体に広告を出稿することで、持続的な社会課題の解決を共に目指すプロジェクトです。

■「5名の若者に「ジョブトレ」の無償提供

本プロジェクトを通じて、若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」の無償提供を2022年7月までに5名の方に実施することができました。

「ジョブトレ」は仕事体験を中心にしたプログラムで、ニート・ひきこもり等と呼ばれる、主に社会から孤立してしまった若者が対象です。
集団行動を通じて仕事を続けていくために求められるコミュニケーション能力や「報連相」などの基本的なスキルを身に着けることができます。

「働く自信」を身につけ、集団のなかでの生活に慣れていくと就職活動にもチャレンジ。キャリアコンサルタントなどの専門的な資格を持ったスタッフがバックアップしていくので、無理なく「働く」を実現することができます。

通常、利用費は本人負担を基本としていますが、経済的な困窮や家族からの理解を得られない場合など負担が難しい場合はこのプログラムのようなサポートプログラムを活用して無償で受けることができます。

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