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膝関節伸展制限因子9選 理学療法 コラム編Part4


膝関節伸展制限因子
・鵞足、伏在神経
・半月板、MCL
・半膜様筋、腓腹筋内側頭
・大腿二頭筋(特に短頭)とLCL(滑液包)
・大腿二頭筋短頭と腓腹筋外側頭(滑液包)
・大腿二頭筋と関節包、腸脛靭帯
・坐骨神経、脛骨神経、総腓骨神経
・上内側膝神経、下内側膝神経
・膝伸展機構


・大腿二頭筋(特に短頭)とLCL(滑液包)
大腿二頭筋も長頭と短頭をしっかり分ける事が大切です。
二関節筋の影響を考慮し股関節伸展位で膝が伸びるかどうかをチェックします。
そこで伸びなければ短頭の影響が強いのではないかと推測します。
大腿二頭筋も鵞足同様に下腿筋膜に付着します。
大腿二頭筋浅層(長頭)と深層(短頭)の間をLCLが貫き、そこに滑液包が存在します。
遠位の筋実質はほぼ短頭しか触れないと言われています。
その理由としては、長頭はほとんど腱になってしまっていることが挙げられます。
大腿二頭筋(特に短頭)とLCL(滑液包)の滑走不全が起こると膝伸展が困難になります。


・大腿二頭筋短頭と腓腹筋外側頭(滑液包)
大腿二頭筋腱と腓腹筋外側頭の間を総腓骨神経が走行します。
Knee inや下腿の外旋で痛みを生じやすいと言われています。
後方のタイトネスによって膝伸展制限に繋がることはもちろん、大腿骨が前方に変位することで脂肪体由来の疼痛を引き起こす可能性もあります。
前回記事である半膜様筋と腓腹筋内側頭の関係性と同様の理由で大腿二頭筋短頭と腓腹筋外側頭で膝伸展制限を引き起こします。


・大腿二頭筋と関節包、腸脛靭帯
外側も同様に筋肉が筋方向に滑走するか確認します。
鵞足同様ヒンジになっている可能性があります。


軽度のOAは半膜様筋や腓腹筋が多いですが、重度だと大腿二頭筋短頭が邪魔してるケースが多い印象です。
大腿二頭筋短頭は関節包にも付着します。
後外側の伸展制限因子はほぼ短頭と言っても過言ではないでしょう。
エコー下でも短頭は変性していることが多い印象です(それだけ負担もかかる場所なのでしょう。)
腸脛靭帯は遠位で膝蓋骨、外側膝蓋支帯、ガーディー結節に付着します。
腸脛靭帯と大腿骨外側顆の間には血管や神経を保護するために脂肪組織が存在します。
腸脛靭帯は屈曲位では膝関節軸の後方、伸展位では前方を通ります。
また膝屈曲30°では大腿骨外側上顆との摩擦ストレスが加わります。
屈曲45°を境に作用が反転すると表記されることがありますがこの摩擦ストレスを考えると30°付近と考えてよろしいかと思います。
周囲の滑液包や外側広筋との滑走が悪いと膝伸展制限につながります。
正確には腸脛靭帯自体に伸張性はほとんどないため、伸張性低下より周囲組織との滑走性やパテラの動きを阻害することで膝伸展制限を引き起こします。

〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献などを参考に臨床経験(失敗体験も含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解がないことをひしひしと感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです

参考文献、書籍
Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018

斉藤秀之 加藤浩(常任編集) 山田英司(編集)極める変形性膝関節症2014

Ricard L.Drake etc(編集)グレイ解剖学2007




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