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膝関節伸展制限因子9選 理学療法 コラム編Part3


・鵞足、伏在神経
・半月板、MCL
半膜様筋、腓腹筋内側頭
・大腿二頭筋とLCL
・大腿二頭筋短頭と腓腹筋外側頭
・大腿二頭筋と関節包、腸脛靭帯
・坐骨神経、脛骨神経、総腓骨神経
・上内側膝神経、下内側膝神経
・膝伸展機構

半膜様筋、腓腹筋内側頭の解剖

半膜様筋は半腱様筋や大腿二頭筋と総腱を成し坐骨結節から起始する
停止部に向かってアンテリアアームAA(深鵞足腱)とダイレクトアームDAに分かれる
AAはMCL深層とPOLとの間を走行し半膜様筋腱溝を通り、半膜様筋腱溝の前方に付着します
DAは脛骨後内側の溝を通り、脛骨内側顆後面に付着します

腓腹筋は内側頭と外側頭に分けられ、それぞれ大腿内側顆、外側顆の後面から起始し遠位に向かうにつれアキレス腱を経て踵骨後部(踵骨隆起)に付着します
スクリューホームムーブメントの関係などもあり、腓腹筋内側頭は外側頭より滑走距離が長いといわれています
(内側頭の方が動かなければならないし、伸びなければならない)


半膜様筋、腓腹筋内側頭の関係

膝屈曲位で直行し、膝伸展するにつれて平行になる(下図)
半膜様筋と腓腹筋内側頭には筋膜状の結合と滑液包による結合があります
その滑液包は"SGB"と言われ、表層と深層の2つがある
表層SGBは半膜様筋と腓腹筋の間に存在し、深層SGBは腓腹筋と大腿骨の間に存在します
そこでの癒着が起こると膝伸展を制限します
※下図 (赤)半膜様筋 (青)腓腹筋内側頭

癒着の模倣

腓腹筋内側頭と半膜様筋の結合部(筋膜性結合と表層SGB)の滑走も大事ですが、純粋に内側顆部の腓腹筋内側頭(腓腹筋内側頭自体の伸張性と深層SGB)の滑走も大事になります
おまけですが斜膝窩靭帯と半膜様筋の滑走も大切になります


アプローチ

評価として
① 膝を上から押した際(他動膝伸展)に自覚的膝内側の抵抗感
② 股関節屈曲位で膝伸展制限が顕著(背臥位で伸びるが長座位で伸びない)
③ 足背屈で膝伸展制限が顕著

など半膜様筋や腓腹筋にストレスを加えた状態で膝の伸展角度を確認して制限があれば半膜様筋と腓腹筋内側頭による伸展制限を疑います
膝OAは膝屈曲位を強制されたり、足背屈位で蹴り出したり(over use)することで半膜様筋や腓腹筋内側頭が過負荷になりやすくなります
特に股関節周囲筋機能が低下していると蹴り出しを腓腹筋に委ねやすくなるためここでの制限が起きやすい印象です

アプローチ
・直接SGBをスクラッチ(擦る)
・腓腹筋と半膜様筋(半腱様筋も一緒にはなるが)を剥がすように抑えた状態でアクティブに膝を屈伸したり、足の底背屈をしたりする


〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献などを参考に臨床経験(失敗体験も含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解がないことをひしひしと感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです

参考文献、書籍
Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018

Ricard L.Drake etc(編集)グレイ解剖学2007

赤羽根良和(著)機能解剖学的にみた膝関節疾患に対する理学療法2018

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