「私という運命について」

白石一文の「私という運命について」を読了。

白石一文の作品の中では圧倒的に読みやすいのではないか。彼の作品は、鼻持ちならない、理屈っぽい、文体が文学作品ぽくない、など、色々とマイナスの評価を目にすることが多々あるけれど、俺は全くそう感じない。現代の作家では圧倒的に好きだ。どんなに恵まれた環境にいようと、人間を本質的に幸福にする条件は様々なのだ、と、彼の作品を読むたびに感じる。それこそ実に文学的なテーマではないか、と思う。

今回の作品は、「女性の最終的な幸福は子どもを産むこと」という着地はいかがなものかと感じたけれど、まぁ、小説の中の作品世界は映画と違って、必ずしも作り手の思想が反映されているわけではないと思うので、これはこれでありなのかな。

今のところ、白石一文の作品は「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」が一番好き。
これを超える作品に早く出会いたい。

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