休職167日目 蛇にピアス

金原ひとみ「蛇にピアス」について。

超絶久しぶりに読み返しみた。芥川賞を受賞した時にハードカバーで読んで以来だから、約20年ぶりくらいかな。
ふと読みたくなったけれど、ハードカバーを本棚から探すのが億劫だったので、ブックオフで文庫版を買ってきた。110円。
20年前に読んだ時、俺は高校生だったので、生意気にも、「これは文学作品じゃない」と思った。面白いけれど、誰もが理解できる内容ではないし、結末も宙ぶらりんで読者が何も受け取れない、と。
我ながら拗らせていたと思う。誰もが理解できて何かを作品から受け取ることができない=文学作品ではない、て意味が分からないし、見当はずれな感想だよなぁ。
読み返してみて、こんなに面白い小説だったのか、と思った。身体改造やら性描写やら、分かりやすくハードな面に目がいきがちだけれど、主人公の内面にある純粋さを読み取れるかどうかで読後の感想が変わってくる。当時の俺にはそれが分からなかったんだろう。
主人公の内面の純粋さが最初から最後まで一貫してるから、「ピアスだとか刺青だとか俺とは住む世界が違う」と思わなくて済む。
吉高由里子主演の実写映画も、蜷川幸雄が嫌いすぎて一度しか観ていないので、観返してみようかな。

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