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休職364日目 哭悲/THE SADNESS

遅ればせながら、台湾のホラー映画「哭悲/THE SADNESS」を観た。
感染すると凶暴化してしまう未知のウイルスが蔓延し、大パニックになる台湾。そんな中、離れ離れの恋人同士が何とか生きて再会を果たそうとする、というストーリー。

これが邦画なら、主人公の男女は危険な目には遭うけれどケガはしないだとか、主人公の男女は自分の手を汚さないだとか、なんやかんやあってもふたりは無傷で再会できるだとか、ヌルい展開が予想できるのだけれど、さすが台湾の映画というべきか、全く救いのない展開なのでキツイ。彼氏はしょっぱなで指を2本無くすし、彼女は殺人を犯すし、せっかく再会したのに彼氏はウイルスに感染してるし、助けにきたヘリに彼女が乗り込もうとするも、銃声で映画が終わるので、おそらく撃ち殺されたのだろうし、マジで誰も救われない。
感染者は今までのゾンビ映画みたいに理性を無くして襲ってくるのではなく、理性を残したまま凶暴化しているので、やり口がえげつないし、会話もできるので、怖いし悲しい。ゴア描写も全く手抜き無しなので、思わず歯を食いしばってしまうくらいキツイ。単なる殺人だけではなく、レイプや食人描写もあるので、まさに映画全体が阿鼻叫喚の地獄絵図状態。
それでも、終盤、ウイルスに感染した彼氏のセリフの美しさと悲しさから、単なる血しぶきが舞うだけの映画になってないところが凄い。
「君を愛しているからそばにいたい。そして君を八つ裂きにしたい」的なセリフなのだけれど、それが人間の本性なのか、と深いため息が出る。

観る側を突き放してでも手を抜かずにホラー映画を作ろうという作り手の気合いをビンビン感じるし、世間で傑作と言われる理由も分かる。実際、面白かったし。ただ、まぁ、傑作ではあるけれど、何度も観たくなるタイプの映画ではない。ほんとキツイ。人にすすめる時も気をつかう。「俺、映画好きっすよ!好きな映画はマーベルシリーズ!」みたいな奴には絶対オススメしない。

「呪詛」もそうだけれど、アジアンホラーがガンガン傑作を生み出していてアツい。次は「女神の継承」を観なきゃな。

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