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爪弾きにするなよ

人が幸せになるのは自己実現。自己が何物か理解して、それを体現することが幸せになる。善悪の峻別はこんなんだけど、古代ギリシャでは善と幸せが同義語で、自分らしくいることが善だと説いていたらしい。それはとても納得感がある。

他の動植物は自分らしくしようと努めてなんか居ない。ヒナギクは密やかに咲くし、鷹は孤高に上空を回旋する。豚は残飯を食べるし、ペンギンは飛ばずに潜る。他の種を羨んで自分らしさを失う、そんな動物は居場所を失って死んでしまう。

チャーハンのグリーンピースは好きじゃない。
ドライカレーのレーズンは好きじゃない。
酢豚のパイナップルは好きじゃない。

でも
チャーハンが正義でグリーンピースが悪?
ドライカレーが正義でレーズンが悪?
酢豚が正義でパイナップルが悪?
これは全部間違い。

多数が正義なのは全体主義。
爪弾きにするなよ。
転校生の居場所のない気持ちを思い出させる。

転校生。圧倒的社会的劣勢。少年期には過酷すぎる試練。はじめは馴染めず身の置き場が無い。チヤホヤされて居場所ができるのもはじめだけ。長い付き合いの同級生同士の絆に割り入る勇気など無い。教室の片隅が定位置。
寂しくて不安で他人のことなんて考えられない。自分らしさを殺さないと勉強なんか出来ない。全体主義に染まるしか生きる道がない。

全体主義はあまりにも身近すぎて自覚していない人が多い。壁を作るから生きづらさを作るなのに、壁がない環境を知らなくて自覚してない人だらけ。

さて、全体主義ではなく、各々を尊重させるにはどうしたらいいか。

グリーンピースにはグリーンピースが活かされる出番を、レーズンにはレーズンが活かされる出番を、パイナップルにはパイナップルが活かされる出番を、別に作ればいいだけ。同じ舞台に乗る必要はない。

ミネストローネに入ったグリーンピースは嫌いじゃない。レーズンパンは嫌いじゃない。缶詰パインは嫌いじゃない。というかどれも好き。相応しい出番なら「らしさ」を活かせる。

なにを活かす舞台か?それはそれぞれ違うから、どれが正しいとは言えない。それぞれの正しさがあるけど、一つの舞台が「画期的!」と主張すると、残りの舞台が劣等感に苛まされる。それぞれ別々でいいのに、どちらが正義か戦い始める。それがSNS。

もともと必要ない劣等感のはずだけど、時代はルッキズムで大衆主義。人は目立つところに囚われて集り始めて、そこでお金が動く。お金は道具に過ぎないのに、ゾンビは目的化する。その構造をみんな知っているから、劣等感は生存の危機と同じ意味。そういう時代を生きている。

ほんとアホくさい。我を失うゾンビを増やす構造。わかめ抜きのラーメンか、わかめだけのわかめラー。どっちが正義ってアホくさい。ソルティドッグ塩抜き。魂のない人間。らしさを発揮できる出番を潰す人間。バカみたい。

グリーンピースを活かすミネストローネ、トマトを活かすミネストローネ、どれだっていいだろ。コーンスープは黙ってろ。

レーズンを活かすレーズンパン、クルミとレーズンの相性を楽しむパン、どっちだっていいだろ。雁月はだまってろ。

パインの缶詰かフルーツポンチ、どっちだっていいだろ。八百屋はだまってろ。

米や麦のように単体の粒では出番がないけど、同種で集まれば強みが活かされるなら、同種で集まるがいいさ。同じ者同士で集まって依存して、互いの形がわからなくなるほど同化して、粘着して、餅になるのだ。パンになるのだ。その閉域における全体主義は否定しない。米びつに異物は入れない。

でもパンはパンだけ、餅は餅だけじゃ出番がないんだよ。パンにはジャムとかバターがほしい。バターだけでもキツい。互いが尊重すればいいだけだろ。餅には醤油とかきなことかほしい。きなこだけなんて地獄。互いが尊重すればいいだけだろ。そうだろ。

冷蔵庫が正しくて、冷凍庫が悪なんてこともない。それぞれの中身に相応しい環境なだけ。田舎が正しくて、都会が悪なんてこともない。それぞれに生きる人にふさわしい環境なだけ。とはいえ都会で自分らしくいるって難しいけどね。

あ、それは田舎も一緒だ。むしろ同調圧力は田舎が強い。米のような人たち。依存して同化して活かされる人たち。粒ぞろいが正義。個性は悪。こねくり回されて同化する。自己主張しないから権力者は扱いやすい。それはそれで「らしさ」を活かしているのかもね。

でもさ、マッシュアップされて活かされる食材の方が少ないだろ。環境に依存したり同化しない個性を持っている人の方が多いだろう。同調圧力が好きなジャガイモはジャガイモで集まるがいい。

けれど、野いちごは野いちごに相応しい環境で育つがいい。劣等感でビニールハウスに行かないように心がけよ。片栗は片栗に相応しい環境に行きな。ジャガイモ畑に行っても死ぬぞ。ポピュラーになりたい、チヤホヤされたいなんて思うなよ。

あなたの存在を知る人、そのありのままを愛する人がいる。自分自身もその一人。ありのままの自分を愛する。それが本当の自尊心。そうだろ。プライドとは違う。

君が米やジャガイモだったらそれでいいけど、違うなら、人のこと気にし過ぎなんだよ。自分らしくしなよ。自分らしい環境に身をおいて、同じ環境にいる人同士で高めあいなよ。他の環境を羨む必要はない。かといって癒着するなよ。腐るから。

俺はなんだろ。玉ねぎかしら。風に晒されて長持ちする。同じ者同士では活かされないし長く一緒にいると腐ってしまう。いきなり噛むと目に刺さるしピリッと来る。けれど、熱を加えると甘みに変わる。強火でよろしく。玉ねぎでした。

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