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【レビュー】 ソシエダの5-1-3-1ブロック 第35節 バルセロナ - レアル・ソシエダ

前節ラス・パルマス戦で4試合振りの勝利を収めた。現在6位。7位のベティスも勝ったため、その差は2ポイントのまま変わらず。余裕がない。

前節終了時点

一方のバルセロナは、前節ジローナとの直接対決に敗れ3位転落
このままシーズンを終えた場合、来季のスーペルコパ出場権を得られない。スーペルコパに出場し、優勝した場合のボーナスは5億を超える。
加えて、ラ・リーガから分配される放映権料も2位と3位では約12億円の差がある。財政難のバルサには大きな差だ。

そしてなんといっても、バルサがジローナの下だなんて、選手もサポーターも許せないだろう。ある意味ソシエダ以上に負けられない一戦と言える。


前節はこちら


コンディション

  • スベルディア、スビメンディ、ハビ・ガランが怪我

  • トラオレが復帰

  • キーランは怪我から復帰したて

  • 前日に7位ベティスが勝利

ハビ・ガランの怪我は痛すぎる。スベルディアもスビメンディも怪我で、今節バルサ戦以降のメンバーにすら不安が漂う。

前日にベティスが勝って、暫定ながら1ポイント差で6位を明け渡してしまった。なのでこの試合は勝ち点1取るのが目標となる。


スターティングメンバー

5-3-2 対 4-3-3

ソシエダは5バックでのスタート。アリッツ、トゥリエンテスは順当。ヤマルとマッチアップになる左SBに、キーランではなくアランブルを起用。好調のベッカーを前線に置く。

一方のバルセロナはアラウホがお休み。怪我人の多い中盤にあって、ネックになっているボランチにはクリステンセンを起用してきた。


試合結果

スタッツ

もう少し枠内シュートが欲しいところ

交代

  • キーラン → パチェコ

  • アランブル → バレネチェア

  • ベッカー → 久保

  • トラオレ → オドリオソラ

  • ブライス → ザハリャン


試合内容

守備時の5バック

アウェイのバルセロナ戦で守備にウエイトを置くのはどのチームにとっても定石。バルセロナ相手に序盤で失点してしまえば、早い段階でゲームプランの変更を余儀なくされるからだ。
ただ今回のソシエダが採った5バックは、単に守るためという理由よりも、今節の対バルセロナを考えたらこうなったというような論理性を感じた。


バルサのビルドアップの穴

はっきり言ってしまうが、クリステンセンにバルサのボランチは荷が重い

今季のバルサはボランチで苦しんでいる。ギュンドアン、フレンキー、ペドリにガビと優秀なインテリオールはいるのに、それに見合うレベルのボランチがいない。クリステンセンが下手というわけではないが、CBとしてキャリアを積んできている。一朝一夕にバルサのボランチが務まるわけがない。

ビルドアップに加わろうとしない消極的な動きを見ていれば、シャビも分かってて起用していることは間違いない。ディフェンス面だけを考慮してボランチに置いている。バルサがスビメンディを欲しがる理由もよく分かる

で、そのバルサが用意してきた戦術がこうだ。

ロングボール多すぎ

前線はレヴァンドフスキが中央に、1列隣りのレーンにギュンドアンとラフィーニャ。大外にはヤマルとカンセロを置き、5つ全てのレーンにアタッカーを配した格好だ。
体の強いレヴァンドフスキをメインのターゲットにロングボールを当てる。レヴァンドフスキが少し引いてくればハーフレーンからシャドウのギュンドアンとラフィーニャが飛び出す。中盤をことごとく飛ばす戦術できた。

ちょっとこれ、ホントにあのバルセロナなんですかねぇ。

ソシエダの5-1-3-1ブロック

なのでこのような一風変わったマンツーマンが出来上がる。トゥリエンテスがクリステンセンをマークすれば形は整うのだが、クリステンセンはほとんど上がってこない。パスもこない。
ちなみにクリステンセンにマークを付けず放っておくこのやり方は、直近のクラシコ(第32節)でアンチェロッティ監督が採った戦術であることも付け加えておく。

トゥリエンテスが守備時に担う役割は、ギュンドアンが下りてビルドアップに参加する時にマークを引き受けること。蹴り込まれたロングボールのセカンドを拾うこと。それと1対1になる味方守備者へのサポートだ。
ル・ノルマンだけはレヴァンドフスキがサイドに流れても、あまり受け渡さずにそのままマンツーマンで張り付く。
オヤルサバルは中盤に下りて中に絞っているように見えるが、形を整えているだけであって、基本的にクンデをマークしている。

なおこの試合、ソシエダはいつものような前線からのプレスではなく、ミドルブロックで構えるシステムを採用している。空いている左CBの位置に出てくるテア・シュテーゲンとCBクバルシは放っておく。どちらかのSBにボールが渡ったところで、ブライスあるいはオヤルサバルが寄せるといった形だ。

ソシエダのビルドアップ

スリーCBがそのままワイドに開き、両SBが前めにポジションを取る。ボランチにメリーノが下りてビルドアップを手伝う。3-4-2-1のような布陣
バルセロナがかなりラインを上げてきたため、相手陣内のCBとGK間に、広大なスペースが生まれる。スピードを売りにするベッカーがワントップ気味なのでむしろありがたい展開。

結果的に、スルーパスから大チャンスに繋がるシーンが何度か見られた。

バルセロナの変化、ソシエダの対応

前半20分過ぎからバルセロナが変化を付けてきた。ロングボールを控え、中盤やサイドを経由することが多くなった。

最終ラインを押し上げて繋いでこられると、それまでは気にする必要のなかったトゥリエンテスの両脇が空いてしまう。これをケアするために、ソシエダは中盤の形を変化させる。

中盤を横1列に並べた5-4-1で対応
バルセロナが使いたいスペースを潰すことでノッキング(味方の意図が合わずに止まってしまうこと)を引き起こせていた。

この後もメリーノがボランチに入った5-2-3のようなブロックを構えたりと、局面によって少しずつだが明確に陣形を変えていった。守備対応の面ではかなり成熟されているように思う。


両サイドのマッチアップ

この試合の勝敗を分けるポイントになりそうだと勝手に思っていた局面。

アランブル対ヤマル

ヤマルはゴールも決め、決定的なチャンスシーンももたらしていたことは事実だ。ただ、アランブルがやられていたかと言えばそんなことはない。ドリブル突破を図ってきた時はことごとく止めていたし、失点のシーンでもカバーリングに行ったタイミングは間違っていない。この試合で最も名を揚げたのはアランブルだったように思う。

怪我人が続出した今シーズンのサイドバック、アランブルに救われたことは多かった。なんといってもミスが少ない。守備時のデュエルに強い。左右どちらのサイドでも対応できる。攻撃面でどうこうなんてのは二の次で良い。
来季は間違いなくトップチーム登録されることだろう。

久保対カンセロ

めちゃくちゃ楽しみにしてたマッチアップだったが、残念ながら2回ぐらいしかそのシーンはなかった。いずれもカットインに成功し、ゴールを感じさせるプレーを見せた。もう少しプレー時間が長ければ、と思わずにはいられない。



次節バレンシア戦に向けて

チャンスはあったものの結局敗れてしまった。個々の能力ではやはりバルサに分があり、仕方ないと思えるところはある。

それよりも次節だ。なんと中2日で行われる。この過密日程と、どこで勝ち点を上げるかを考慮すると、実は格上でアウェイのバルサ戦よりもホームのバレンシア戦の方が重要な一戦と言える。

それを踏まえての久保バレネ温存だったと信じている。

なおバレンシア戦の数時間前に、ベティスのアウェイ試合がある。
直近5戦で4勝1分と絶好調のベティスに対し、相手は目下8連敗中のラス・パルマス。

ベティスがこのままの良い流れで、次々節ソシエダとの直接対決を迎えるのは本当に嫌だ。どうかラス・パルマスさん、がんばって。


次節はこちら



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