見出し画像

SNS好事例紹介【サントリーTikTok】『自販機の記憶』 若年層をターゲットにした運用に注目!

今回はサントリーが展開するとあるTikTokアカウントに注目します。独自のコンセプトを打ち出し、若年層をターゲットに運用するサントリーならではのTikTok運用について、弊社の独自の視点で解説をします。様々な企業が若年層との接点を持つために活用を始めているTikTok。他社の事例を知ることで新たなヒントがきっとあるはずです。

【自動販売機の前で繰り広げられる、高校生の何気ない毎日を切り取る】

サントリーには公式TikTokの他にもうひとつ運用しているTikTokアカウントがあります。それが『自販機の記憶』というアカウントです。

アカウントURL:https://www.tiktok.com/@jihankino.kioku 

このアカウントのプロフィールには「とある自販機を定点観察してみた by SUNTORY」とだけ記載があり、高校に置かれたとある自販機を定点観測し、自販機の前で繰り広げられる、どこか懐かしかったり甘酸っぱい記憶がよみがえるような、高校生の何気ない日常を切り取った動画を投稿しています。

現在、アカウントは969フォロワーで合計7.5万いいね獲得している状況です。着実に投稿を積み重ね、アカウントの認知拡大を試みている段階と言えるでしょう。

中でも大きく伸びている投稿が2つあるので、簡単に紹介させてください。

ひとつは、260.5万再生されている「ジャン勝ち奢りに〇〇参戦!」です。ジャンケンに勝った人が自販機の飲み物を奢るという男子高校生らしい場面に、たまたま通りかかった先生が巻き込まれるというストーリーを描いています。ジャンケンに盛り上がる男子高校生の姿は、思わず男子高校生ってこういうことするよねと共感してしまいます。そして巻き込まれた先生はジャンケンに参加するだけでクールに去っていくのも大人の配慮らしくかっこよく、共感を呼んでいることが「奢られないようにしてる先生。かっけぇな」「なんだこの懐かしい感じは」といったコメントからも分かります。

投稿URL:https://www.tiktok.com/@jihankino.kioku/video/7369878770074832136 

もうひとつは、184.7万再生されている「好き確じゃん」です。とある女子高生二人組のうちのひとりが、自販機で飲み物を買った後、隣のベンチで話している男子グループのひとりにわざわざ話しかけるというストーリーを描いています。「あっ、今日部活、体育館?」とひとりの女子が去り際に声をかけ、「うん、体育館」という短い会話で終わるように見えるこの投稿。一瞬どういうことか分かりづらくもあるのですが、会話の後に男子グループで話しかけられた男子が「違う違う違う、そういうのじゃない」という発言だけが聞こえてくるのがまた絶妙で、めっちゃ青春じゃん!と思わされる動画です。コメントでは、賛否ありますが「私もこうやってわざわざ話しかけてたの思い出した…」というコメントもありました。

投稿URL:https://www.tiktok.com/@jihankino.kioku/video/7368351061331037456 

【独自の視点を武器に。大胆なアカウントコンセプトで運用で狙う!】

一般的なTikTokアカウント運用をパターン分けすると、ひとつのアカウントから複数の投稿カテゴリを発信するパターンと、特定のコンセプトに絞ったアカウントを新規開設するパターンがあります。

前者のメリットは一部の投稿カテゴリを見直し続けることで、単調にならず柔軟に長期間運用できる点です。多くのアカウントはこちらのパターンを取っていることが多いでしょう。

一方、後者はネタ切れや単調さに飽きられるリスクがありますが、型にはまらない大胆なチャレンジを行えるという利点があるでしょう。今回紹介した『自販機の記憶』は後者のパターンです。

このアカウントの一番のポイントは、アカウントのコンセプトである「とある自販機を定点観測してみた」にのっとり、自販機がある風景に絞って様々な高校生の何気ない日常をストーリーとして繰り広げている点です。「自販機を定点観測」という特殊な視点を切り取るという発想は、サントリーならではではないでしょうか。このような特殊な視点でSNSアカウント運用を行った類似事例では、TikTokではありませんがアース製薬のゴキブリ目線でのInstagram運用があるでしょう。

加えて、その他に注目したいポイントとしては、最後には必ず「何気ない毎日のそばに」というキャッチコピーとともに各動画のストーリーに合わせた商品画像が表示される点です。動画内で購入したと思われる商品やストーリーに合わせたおすすめ商品が少し大きく表示されるという工夫がされています。

実際に投稿を見ていただくと分かるのですが、動画の中で何を自販機で買ったかということが分かりづらいです。登場人物たちのセリフにも具体的な商品名が出てこない投稿が多いのですが、あえて直接的な言葉にしない工夫をしていると考えられます。ひとつの投稿だけを見ているだけでは気が付かなかったのですが、このアカウントの他の投稿を見ると、最後のコピー表示の際に、動画ごとに大きく表示される商品が異なっていることに気が付き、「なるほど!」となりました。直接商品名を言わない仕掛けというのは、まさに若年層を意識したからでしょう。(いくつかの投稿は、切り取る場面やストーリーに合わせて、商品名が出ている投稿もあれば、自販機での購入シーンがない投稿もありました。)

商品名やブランド名を直接言葉にせずに、「自販機は、いつだって君たち高校生の何気ない日常にいるのだよ」というメッセージを、若年層に向けて伝えようと試みている非常に興味深くチャレンジングなアカウントであると言えるでしょう(そして副次的に、さらに上の世代になんか懐かしいなぁと思わせるコンテンツになっている点も秀逸ではないでしょうか)。

高校に置かれた「とある自販機を定点観測」という設定で、若年層が共感できるであろうシーンを動画にし、さりげなく最後に商品も見せる。そうすることで、ターゲットに対して、視覚的にそして心に訴えかけることを狙っていると考えられます。

それもそのはず、若年層は広告らしい広告を嫌うということを多くのメディアが伝えています。広告らしい広告が嫌われる世代では、これくらいがちょうどいいのかもしれないと思わされる事例で、大変興味深いチャレンジでしょう。推測にはなりますが、おそらく実験的な要素も込めてアカウントを運用しているのではないでしょうか。若年層向けの施策として気づきを得られるアカウントなので、これからの投稿も楽しみに引き続きウォッチしていきたいです!

SNSマーケティングに関するご相談がございましたら、こちらからお問合せください!
https://gaiax-socialmedialab.jp/contact/