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【コミュニティビジネス起業セミナー】の講師を担当しました|Q&Aも紹介

2023年9月30日に地域しごとサポートセンター神戸が主催する「コミュニティビジネス起業セミナー」で筆者が講師を担当し、代表を務める株式会社フードピクトの事例紹介と、続くパネルディスカッションに登壇しました。

この日の登壇者は筆者の他に、武藤紗貴子さん(株式会社人と音色 代表取締役)と松岡喜久子さん(NPO法人インクルひろば 代表理事)のお二人。パネルディスカッションの司会は、地域しごとサポートセンター神戸の飛田敦子さんでした。


本記事では、筆者による事例紹介と、参加者から寄せられた質問と回答で、セミナー当日の様子を紹介しています。なお本記事は株式会社フードピクトの大学生インターンが取材してくれました。



1. フードピクトの事例紹介


フードピクト®︎は料理や食品に含まれる原材料が一目でわかる絵文字です。食物アレルギーやベジタリアン、宗教上の理由により「食べられないもの」があるお客様に安心を提供するツールとして、国際空港やホテル、飲食店、道徳の教科書に採用されています。

映像:フードピクトの誕生経緯と広がりが3分間で紹介されています。
(出典:BS朝日「Fresh Faces」番組公式YouTube|2021年1月30日放送)

① きっかけは学生時代のアテンドの失敗

学生時代にイスラム教徒の留学生と食事をする際、当時の日本にはハラールやベジタリアンに対応しているお店が少なかったため、食べられないものがある留学生にとっては安心して食事ができない環境であるという問題に気がつきました。

そこで大学の留学生を集めてヒアリングを行いました。すると、ハラールやベジタリアンに対応した飲食店が少ないことよりも、何が入っているかを判断するために必要な情報が得られないために、不安で食べられないという課題が見えてきました。

まずは大学の学祭の各模擬店に4言語に対応した原材料のポスターを設置しました。留学生の反応は概ね好評でしたが、4言語では分からない留学生の声を受けて、一目でわかる絵文字に進化してきました。

② 事業内容は年間12,000円のライセンス

現在の事業内容は、1店舗につき年間13,200円(税込)でフードピクトのデータとマニュアルを提供するサブスクリプションが基本です。

フードピクトを国際規格として開発するためにかかった費用のほかに、数年ごとに行われる法律改正に伴うフードピクトの追加や更新の費用を、全国100社16,00店を超える飲食・宿泊事業者に少しずつ負担いただいています。

ビジネスモデルの詳細は、こちらの記事でも紹介しています。


③ 組織形態は「コレクティブ」を採用

株式会社フードピクトでは、より良い食体験をすべての人に届けるために、多様な企業・団体・個人と有機的につながり補い合いながら、知的財産とコンサルティングを中心とした事業を展開するコレクティブとしての組織運営を行っています。

​食の課題解決と価値創造に取り組む企業や団体、各事業に携わる人々とのゆるやかでフラットな関係性を総体的なチカラにして、新しい時代を拓く自主事業・共創事業・出版事業を展開し、社会的インパクトの実現を加速させていきます。


2. パネルディスカッション


各社による事例紹介を受け、受講者から寄せられた質問を【事業】【仲間】【給与・費用】【組織・法人格】【集客・PR】【これから】の6つにカテゴリー分けし、パネルディスカッションを行いました。

ここからは質問への回答を記載しています。

パネルディスカッションの様子|写真中央が筆者(インターン撮影)
パネルディスカッションの様子|写真中央が筆者(インターン撮影)


① 事業について

質問:現在作成中のフードピクトはありますか?
回答:はい、お客様からのご要望をいただき、年々増えています。デザインはプロのデザイナーに依頼しています。

質問:フードピクトの他にも事業をしていますか?
回答:インバウンド、ガストロノミーツーリズム、フードダイバーシティの3つの領域で、より良い食体験をすべての人に届けるために様々な事業を展開しています。

例えば、地域にある野菜や果物をプラントベースの手法で主役に引き上げた商品開発と、その商品の世界観を体験できるプログラム設計をセットで提供するプラントジャーニー事業は近年人気があり、今年は全国5カ所から案件を受託しています。


質問:食以外のピクトグラムも開発していますか?
回答:はい、フードピクトの実績を評価いただき、総務省国際室・消防庁・自治体国際化協会などと連携しながら、全国の災害時避難所に配備されているコミュニケーションツールの開発も手掛けています。避難行動と避難生活に必要な情報提供とニーズ把握に必要な会話を、多言語とピクトグラムで支援しています。


② 仲間について

質問:インターンシップは高校生以上から募集していますが、実際にいますか?
回答:はい、実際にいます。例えば高校生であれば、将来、商品開発や国際的な仕事に就きたいとの思いを持った方が参加しています。また親子揃ってインターンに参加している方もいます。一人ひとりに合ったインターンを提供しています。

質問:どのように仲間と出会いましたか?優秀な人材獲得のコツは?
回答:本日のようなセミナーで出会い、一緒に仕事をするようになったメンバーが多くいます。本音を言うと、毎日同じ人と同じ場所で働くのは得意ではありません。筆者が本社に行くのは週1回程度ですが、事業ごとにメンバーが集まって仕事を進めるスタイルになっています。


③ 給与・費用について

質問:メンバーの給与を教えてください。
回答:給与は基本給と成果報酬の二本柱ですが、パラレルキャリアで働いている方が多いため、契約内容と報酬はケースバイケースです。グーグルの研究で年収が750万円を超えると、それ以上収入が増えても幸福度は変わらないという指標があります。弊社もメンバーの年収は750万円を上限に設定し、社会的企業として一緒に働ける仲間を増やしていく経営を心がけています。

質問:フードピクトの販売価格は、どのように決定しましたか?
回答:商品に対しどれくらいの対価を支払えるか(価値)とビジネスモデルは、顧客との話し合いで決定しました。新しい事業については、顧客が答えを持っていることが多いように感じています。


④ 法人格・組織について

質問:株式会社にした理由はありますか?
回答:最初は設立費用が安価という理由でNPO法人でした。事業が広がっていくにあたり、社会的な認知や信用の面でBtoBであるフードピクト事業に関しては株式会社が適していると判断し、NPO法人から切り離しました。


⑤ 集客・PRについて

質問:フードピクトを採用した1店舗目は何でしたか?
回答:最初の契約は関西国際空港でした。国内外の旅行客やビジネスマンなどが利用する空港でフードピクトを採用していただき、フードピクトのショーケースのようになったため、多くの方の目に触れてインパクトがありました。


3. フードピクトの会社概要


より良い食体験をすべての人に届ける株式会社フードピクトでは、フードダイバーシティ(食の多様性)に対応する事業として、使用食材を開示する絵文字【FOODPICT(フードピクト)】の他にも、プラントベースの商品開発と顧客体験を支援する【Plant Journey(プラントジャーニー)】を自治体や飲食宿泊事業者に提供しています。

またガストロノミーツーリズムのコンテンツ造成やファムトリップへの講師派遣もお承りしております。お気軽にご相談ください。

【会社概要】
・社 名:株式会社フードピクト
・設 立:2017年1月23日
・資本金:1,200万円
・所在地:兵庫県神戸市灘区水道筋3-4
・代表者:菊池信孝|代表取締役
・連絡先:hello@foodpict.com


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