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[Climate Curation #90]Climate Curation: 2023年振り返り&2024年の予測

以下の内容は2023年12月23日に配信したニュースレターClimate Curation #90と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はサブスタック(Substack)、或いはLinkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。

こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて530名を超える方に購読頂いてます。先日新しくスタートしたLinkedinのニュースレターでは既に910名を超える方に登録いただき、心より感謝いたします。


今回は年内最後ということでいくつか振り返りコンテンツをご紹介させてください。

【Climate Curation 2023年各月の印象に残ったトピック】[アーカイブはこちら]

【1月】ダボス会議で今後10年の長期リスクの筆頭として「気候変動緩和策の失敗」が選ばれる(その他上位10のうち6つが気候変動関係に)。

【2月】「GX基本方針」閣議決定。欧米におけるグリーン補助金戦争が顕著に

【3月】シリコンバレーバンク破綻 / IPCC第6次評価報告書&統合報告書公表 / 気候変動ドラマ『エクストラポレーションズ(Apple TV +)配信開始 /「City-Tech Tokyo」&「脱炭素経営Expo」参加

【4月】G7で問われたアンモニア混焼等、日本のGX政策の「多様な道筋」/上海モーターショーで問われた「日本車のガラパゴス化」

【5月】「GX推進法案」成立 / 核融合スタートアップ、京都フュージョニアリング社が105億円調達

【6月】カナダ山火事による米北東部に現れたオレンジ色の空 / 「Climate Tech Day 2023」 、東京大学にて開催

【7月】「沸騰化の時代」: 記録的な猛暑、熱波・干ばつ・水害で異常気象が「未知の領域」に

【8月】米インフレ抑制法1年 / 気候変動訴訟で原告の若者勝訴 モンタナ州、米国で初

【9月】 米クライメート・ウィーク、日本GXウィーク/ 「みんなで作ろう再エネの日」イベントに参加

【10月】東京証券取引所、カーボン・クレジット市場を開設 / グリーン投資の調整局面? 欧米洋上風力発電産業の苦闘

【11月】脱炭素時代の新しい「新教養」であるカーボンクレジットやDACに集まる注目

【12月】COP28がドバイで開催〜「各国の事情を踏まえた多様で現実的な道筋」を目指す日本のGX政策の行方

先週伺ったアンケートでは「核融合」関連ニュースに注目したという声があり、2024年の注目テーマとして、「充電ステーション競争の行方」を挙げて頂きました。高田さん、ありがとうございました🙂!

2024年の予測

2024年は2023年以上に暑い夏が予想され、気候変動・脱炭素を巡る機運が国内でも確実に増していくことと思われます。Climate Techスタートアップやベンチャーキャピタルの動向のみならず、政府や企業がhard-toabate(CO2削減が難しい)セクター、カーボン・オフセット、SAF、CCS、DAC、核融合等の最先端の技術動向を睨みながら投資、新規事業が推進されていくことと思われます。報道・メディアの分野においても、気候変動の被害や政治の駆け引きの議論のみならず、気候テックのスタートアップや国内外の解決策、そして一人ひとりの行動変容につながるような情報によりスポットがあてられることを予測(そして期待)しています。


「気候テック」「Cliamte Tech」を巡る報道状況に関して

昨年に引き続き、今年も過去2年間の間にCliamte Techや気候テックを含む記事がオンライン上でどの程度公開されたかを「BuzzSumo」というツールを使って調べてみました。全体的なトレンドとしては国内でも少しずつ盛り上がりを見せつつあることが伺えます。が、日本語と英語でのClimate Tech関連記事の掲載数ボリュームでいうと、おおよそ30倍程度のギャップがあることが伺えます。

日本国内での気候テック・Climate Tech関連の記事掲載数推移
英語圏でのClimate Tech / Clean Tech関連の記事掲載数推移

Climate Curationの購読数・閲覧数推移

ちなみに本ニュースレター「Climate Curation」ですが、2023年1月時点での購読者数は215人だったのが本日時点で535名の皆様に購読頂いております(ありがとうございます)。また月間の閲覧数に関し、今年1月は2,000弱ほどだったのが現在は3,500程閲覧いただいております。また、9月からはLinkedinのニュースレター、そして11月からはnoteでも同じ内容を配信することにして、以前よりは多くの方に閲覧いただけるようになりました。心から感謝しております。

Substackニュースレター経由の閲覧数推移



【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】COP28閉幕 "地球沸騰"時代の気候変動対策 再エネ3倍 家計に影響は?[12/20 NHK]

COP28で合意されたこと、日本政府の対応・評価、今後社会や個人で求められること等について10分間の番組内容がテキストでとても分かりやすくまとめられています。番組の見逃し視聴は12/27(水) 午前10:55 迄であればNHKプラスで視聴可能です。

【2】GX・国内投資 脱炭素へ洋上風力後押し [12/23 日本経済新聞]

「政府は2024年度予算案でグリーントランスフォーメーション(GX)関連で6633億円を計上した。50年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向け、再生可能エネルギー分野への投資を加速する。」

【3】GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」を取りまとめました [12/22 経済産業省]

「脱炭素、経済成長、エネルギー安定供給の3つを目指すGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて、企業の予見可能性を高め、GX投資を強力に引き出すため、重点分野における今後10年間の「分野別投資戦略」を取りまとめました。」

重点16分野(鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント、自動車、蓄電池、航空機、SAF、船舶、くらし、資源循環、半導体、水素等、次世代再エネ(ペロブスカイト太陽電池、浮体式等洋上風力)、原子力、CCS)毎の世界の情勢分析、市場見通し、投資促進策の具体的な情報が掲載されてます。

【4】Climate tech venture capital spending set to drop 28% in 2023(2023年の気候技術ベンチャーキャピタルへの支出は28%減少へ)[12/20 Cipher]

PitchBook のデータによると、2023 年のClimate TechとClean Techのベンチャー・キャピタル投資は昨年と比較して約 28% 減少する見込みとのことです。昨年のこの分野へのベンチャー投資の総額が588億ドルであったのと比較すると、以下のグラフでは423億ドルにまで減少してます。

Cipher / Pithbook

【5】【独占】三菱商事が、ビル・ゲイツと組んだ理由 / 【プロ直伝】三菱商事が本気で研究する「新産業」 / 【急成長】三菱商事が教える、未来の電池ビジネス / 【保存版】三菱商事が教える、未来の燃料づくり [12/18 - 21 NewsPicks]

ビル・ゲイツ氏率いる脱炭素プロジェクト、ブレークスルーエナージーといち早く提携し最先端を走る三菱商事の取り組みが詳しくレポートされてます。

【6】【特別回】次のイーロン・マスクは、どこから生まれるのか? [12/21 NewsPicks グリーンビジネス]

11/21&22に開催された「START UP EVERYTIME」において行われたセッション、パワーエックスCEOの伊藤正裕氏とClimate Techに取り組む老舗VC、Energy Impact Partners VPの黒﨑美穂氏との対談の様子の収録音声。「Climate Techは海外が進んでいて、国内では遅い」と言われることが多いですが、明確なビジョンを持って着実に歩みを進められている起業家とVCの議論からはとても示唆に富み、しびれる発言が数多く含まれていました。

【7】化石燃料の温存? アジアの脱炭素、日本の狙いは AZEC首脳会合 [12/18 毎日新聞]

①『欧米や環境NGOから延命策との批判』 と ②『「多様な道筋 」がASEANで認められたとする必要で現実的な外交交渉』という見方。背景情報や根拠がもっとオープンに議論されることでより相互理解が得られることを期待しています。

*この件に関してはブルームバーグ等でも「日本、アジアでの混焼技術活用に支援を求める (Japan Seeks Support for Using Co-Firing Technology in Asia)」という記事で英語でも詳しく報じられています。

【8】[気候変動解決に向けた連携を可視化するキャンペーン第1弾] メディア関係者 × 企業/専門家/実践者の対談を実現したオリジナル動画が公開 [12/19 Media is Hope / PRTimes]

メディア、企業、気候科学者の有識者がそれぞれの立場で感じる気候変動を巡る変化の兆しや展望、想いを語る内容が前編・後編計50分程の動画で紹介されています。国連を中心として国内メディアが気候変動報道に継続的に力を入れるキャンペーンの3年目をスタートするタイミングという意味でも多くの方にぜひ見ていただきたい内容と感じます:)

国連とメディアによる「1.5℃の約束」キャンペーン、3年目に向け発進- 125のメディア・団体が、気候変動の自分事化と解決に向けたアクション提案型の発信をめざす

【9】【登壇のお知らせ】ESG TECH TALK #2 - 多様性の力:スタートアップが拓く持続可能な未来 [2/6 環境エネルギー(E&E)コミュニティ]

こちらのイベントの「ESGスタートアップとメディア・コミュニケーション」というセッションでメディア・広報の専門家の方々とお話する機会を頂きました。もしよろしければぜひお立ち寄りください🙂。

開催日:2024年2月6日(火) 18:00 - 20:00
開催場所:CIC Tokyo & オンライン
参加費:無料



ここまでお読みいただきありがとうございました! 年内の配信は今回で最後となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。

🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数101]

🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト

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