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[Climate Curation #92]2023年は世界で最も暑い年に / グローバルリスクとしての気候変動

以下の内容は2024年1月13日に配信したニュースレターClimate Curation #92と同じ内容です。今後継続的にメールとして受信を希望をされる方はサブスタック(Substack)、或いはLinkedin経由で購読頂けたら幸いです🙂。毎週土曜日にメールボックスにお届けしています。

こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は現在Substackにおいて540名を超える方に購読頂いてます。先日新しくスタートしたLinkedinのニュースレターでは既に920名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。*日本関連の英語記事をキュレーションしている英語版のJapan Climate Curation [購読者数約2,200人]もよろしければぜひ覗いてみてください。


【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】2023年の世界の平均気温 “過去最高”と発表 EUの気象情報機関[1/10 NHK]& NASA 世界平均気温“去年は最も高かった” 温室効果ガスが一因 [1/13 NHK]

  • 「去年1年間の世界の平均気温はこれまでで最も高かったとEU=ヨーロッパ連合の気象情報機関が発表しました。EUの気象情報機関、「コペルニクス気候変動サービス」は9日、去年1年間の世界の平均気温が14.98度で、記録の残る1850年以降、もっとも高かったと発表しました。」

「あぁ、またか...」と感じながら読み飛ばす方も多いかも知れないこのニュース。今回敢えて冒頭でピックアップしたのは報道においての取り上げ方の量、切り口等でThe EconomistやBBCのほうがチャートや専門家による背景分析踏まえ長尺で深掘りの解説が添えられている点です。

*8つの図が示す2023年の異常気象 - 2024年はもっと悪くなるのか?[1/12 The Economist]
「以下の図はこの期間のほぼ半数が産業革命以前の平均気温より少なくとも1.5℃高かったことを示している。11月には2℃以上高い日が2日あった。1.5℃を超える日は2015年に初めて記録されたが、これほど多く記録されたことはなかった。」

The Economist

*2023 confirmed as world's hottest year on record(2023年、世界で最も暑い年となることが確定) [1/12 BBC]

BBC

【2】グローバルリスク報告書2024年版: 環境の脅威が激化する中、「偽情報」がグローバルリスク2024のトップに [1/10 世界経済フォーラム]
今月15日からスイスのダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会に併せて恒例の『グローバルリスク報告書』の2024年版が公開されました。短期的な今後2年間のリスクとしては「誤報と偽情報」がトップに挙げられていますが、「異常気象」も2位にランクされてます。今後10年間の長期的なリスクとして環境・気候関連の項目が5項目も挙げられていることが伺えます。

世界経済フォーラム

【3】米大統領選 EV・パリ協定、気候変動対策は正反対 - 米大統領選2024 新たな対立軸(中) [1/13 日本経済新聞]
米大統領選関連の報道も盛り上がりつつありますが、その中で「気候変動」に関する両候補のスタンスは「正反対」ということが指摘されています。こうした背景もあり、米国内での報道のされ方にも影響があったり、誤情報・偽情報に対する警戒も高まっているのでは、とも感じます。気候変動対策の今後を占う上でも米大統領選から目が離せない理由です。

日本経済新聞

【4】米企業が避ける「ESG」反発受け禁句に - 取り組みは継続するが、「意識高い」などの批判や圧力をかわすため言及控える動き [1/10 Wall Street Journal]
多くの企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みに関連して投資家の反発や政治的圧力、訴訟リスクがあるため、意識的にこの略語を避ける動きが見られると報じられています。

米国内の政治的な状況、またESG投資という言葉や視点が既に一般的になり、ブームが終焉に近づいているのでは、という視点。こうした点に関しても国内と欧米の文脈を踏まえた認識が大切と感じる内容でした。

*「トランプ新大統領」とESG [1/9 日本経済新聞 十字路]
「日本経済新聞のデータベースである日経テレコンで、ESGの語句を含む記事数を集計すると、23年(12月27日現在)は日経新聞本紙朝刊に554本のESG関連の記事が掲載された。最も多かった22年の837本の3分の2。減少に転じるのは、過去10年で初めてである。」
*金融庁、ESG投信普及の協議会 新NISAの柱に育成 [1/10 日本経済新聞]
金融庁はESG(環境・社会・企業統治)投資信託やグリーンボンド(環境債)の普及に向けて、運用会社や販売会社、企業、投資家が課題や改善策を話し合う協議会を立ち上げた。環境などに配慮した金融商品に投資しやすい環境を整備し、新しい少額投資非課税制度(NISA)で動く個人マネーの受け皿にしていきたい考えだ。
【5】GLOBAL CLEANTECH 100 [1/11 CleanTech Group]

GLOBAL CLEANTECH 100

こちらも新年恒例のGlobal CleanTech 100のリストが公開されました。今までに何度も目にしたことがあるTwelve, BlocPower, Sublime Systems, Lilac Solutions, ZeroAvia等がランク入りしている一方で、注目したのはペロブスカイト太陽電池を開発しているオックスフォードPV です。 ペロブスカイト太陽電池は日本で開発された技術で国内でも大企業を中心に量産化に向けて取り組まれていますが、ぜひ量産化が実現することを期待しています。レポートは全60ページ、どのような分野でどのようなスタートアップが注目されているか、じっくり目を通しておきたい内容。

【6】PwCレポート:『2023年版 気候テックの現状 - 気候テック投資の世界的な減少を反転させるには』[1/12 PwC]
昨年10月に公開された毎年恒例のPwCによる『気候テックの現状』レポートの日本語版が公開されています。世界的な地政学的な混乱、インフレ、金利上昇等の影響を受け、ベンチャー投資全体が大幅に減少しているものの、気候テック分野への投資は他のセクター程影響を受けてないとしつつも、5年前の水準に戻っているとのこと。投資分野としてはEV等の交通分野は少し減少して産業[Industry]分野が増え、投資家の数も増えているとのことです。

PwCレポート:『2023年版 気候テックの現状

【7】【地球クライシス ~気候危機 転換への道しるべ~ 過去から未来へのカウントダウン 第8弾】 [1/6 BS朝日]

気候変動問題を正面から扱う番組も少しずつ増えていると感じるここ数年。BSとはいえ、シリーズで今回8回目を数える番組のダイジェストがYouTubeに公開されています。環境分野のノーベル賞ともいわれる「ゴールドマン環境賞」を日本の女性として初めて受賞した平田仁子氏もゲストとして参加、「具体的に今自分ができることは?」というような問いに対しても分かりやすく答えてくれています。江守氏の番組最後のアドバイスとして「平田さんのX(Twitter)をみんなでフォローしましょう🙂」とのことだったので平田さんのXアカウントをこちらでもご紹介です:) @kimihirata [Linkedin → Kimiko Hirata ] 。江守氏はXはされてないとのことですがYahoo!エキスパートの記事をぜひフォローしてください、とのことでした:)。

【8】気候変動解決に求められる報道の在り方を議論するため 「気候変動メディアシンポジウム」を開催 [1/11 Media is Hope]
本ニュースレターでも度々触れている「気候変動とメディア」に関するイベントが1月下旬に開催されるとのことです。ご興味ある方は先着順とのことですのでお早めに:)
開催概要 :■ 日時:2024/1/31(水) 15:00〜18:00 シンポジウム(18:00〜19:00懇親会)■ 場所:スマートニュース@渋谷区 *現地対面のみの開催■ 主催:一般社団法人Media is Hope■ 参加方法:申込フォームより登録 *定員になり次第で受付終了■申込フォーム:https://forms.gle/NaNzLtsJSM1d6H5r5
■ シンポジウム登壇者
【メディア関係者】香取啓介氏(朝日新聞) / 石井百恵氏(テレビ新広島) / 八田浩輔氏(毎日新聞) / 大庭美菜氏(ライター・エディター) / 熊田安伸氏(スローニュース) / 大竹紘子氏(ハースト婦人画報社)/ 新町真弓氏(講談社/FRaU)
【国際機関】根本かおる氏(国連広報センター) / Mark Hertsgaard氏(Covering Climate Now)
【科学者や専門家】江守正多氏(東京大学) / 今田由紀子氏(イベント・アトリビューション専門家) / 夫馬賢治氏(株式会社ニューラル) 他、調整中

【9】最近読んだおすすめ本:『ブレイク』 真山仁著 [2023/12/25]
17年前に地熱発電の可能性を描いた『マグマ』はその後2012年にWOWOWでドラマ化され、大きな注目を集めた作品。その後脱炭素やエネルギー安全保障の重要性が高まっている中で、改めて「超臨界地熱発電」という技術について取材を踏まえ描かれている社会派小説。地熱発電のみならず脱炭素社会への過渡期の社会の様子・雰囲気を感じられる作品で面白く、勉強になりました。

【10】2024年は蓄電ビジネスが来る!その最注目ベンチャーを紹介【出演:黒﨑美穂さん】[1/11 NewsPicks /グリーンビジネス]
地味ではあるけれど注目が集まっている蓄電池ビジネスの現在地・有望なスタートアップ企業がコンパクトに紹介されています。

【ご案内】以前にもご紹介した2/6にCIC Tokyo/ 環境エネルギーイノベーション・コミュニティ主催で開催予定のイベント「ESG TECH TALK #2 - 多様性の力:スタートアップが拓く持続可能な未来 」に、NewsPicks記者でポッドキャスト「グリーンビジネス」を運営されている Yuzuha Oka さんが登壇されることになりました:)私も少しお話させていただく予定でとても楽しみにしています。もしよろしければぜひお立ち寄りください🙂。

ESG TECH TALK #2 - 多様性の力:スタートアップが拓く持続可能な未来

ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。

🌏Climate Curation 情報源 [気候変動・脱炭素・気候テック (climate tech ) 関連情報]:https://bit.ly/ClimateCuration_Info [ストック系情報 : 掲載数109]

🌏Climate Tech List ⚡ :https://twitter.com/i/lists/1611344400122253312

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。お仕事お問合せフォーム


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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト


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