[Climate Curation #113]声を上げはじめた気象キャスター&気候科学者 / メキシコでは気候科学者が大統領に
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日本に特化した英語でのニュースレター[Japan Climate Curation 最新号 - 6/4配信]
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】【気候危機に関する気象予報士・気象キャスター共同声明】[6/5 気象キャスター呼びかけ人 / 一般社団法人Media is Hope PRTimes]
今週XなどのSNS上でも話題になっていたトピックからのご紹介です。最近目にした『温暖化ペース、観測史上最悪 過去10年で0.26度上昇』[6/6 共同通信]と題した記事は驚くものでした。ただ、こうしたニュースすらも数多くあるニュースの一つとして簡単に消費されてしまうような気がしています。毎日の天気、気象についてテレビなどを通じて報じている気象キャスターの有志の方々が、こうした状況を受け、立ち上がったこと、共感と期待を込めて注目が集まったこととと思います。今後の気候変動がどう報じられるか、注目したいと思います。
井田寛子さん、斉田季実治さんも…「いま声を上げないと」語った決意 気象予報士ら44人が気候変動で共同声明 [6/6 東京新聞]
猛暑や災害の激甚化…なぜ天気予報で気候変動について伝えないの? 気象キャスターたちの葛藤と決意 [6/5 ハフポスト]
【2】気候変動対策で「化石燃料企業の広告を禁止すべき」=国連事務総長 [6/6 BBC]
化石燃料業界、そしてこうした業界の企業の広告やPRを支援する企業に対しても厳しい目が今後向けられるような、国連事務総長の訴えが報じられています。以下の動画においては、気温上昇の厳しい現実、なぜ気候変動対策が必要なのかについて、BBCニュース気候編集長のジャスティン・ロウラット氏が詳しく伝えています。
"国連のアントニオ・グテーレス事務総長は5日、気候変動対策の一環として、化石燃料業界の広告掲載を禁止するべきだと発言した。グテーレス氏は石油、石炭、ガス企業を「気候カオスのゴッドファーザー」と呼び、何十年にもわたって真実をねじ曲げ、人々をあざむいてきたと述べた。その上で、健康への脅威になるとしてたばこの広告が禁じられているように、化石燃料についても同様の措置が取られるべきだと主張した。"
【3】科学者ら「黙っていられない」 気候変動対策求め市民とキャンペーン [6/6 朝日新聞]
気象キャスターのみならず、気候科学者らも市民や政治家らに呼びかけ、科学的に必要なレベルの気候変動対策を政府に求めるキャンペーンを立ち上げたことが報じられています。
「今こそ、まっとうな日本の気候政策を創ろう」キャンペーン(認定NPO法人環境文明21)
気候変動対策に取り組まれてきた科学者、専門家の方々が作成した『日本の気候変動・エネルギー政策の課題と提案 』と題した冊子も作成、され、オンラインで閲覧することが可能です。
【4】気候変動対策のリーダーの選挙での躍進メキシコ&アイスランド
今週はメキシコで初の女性大統領が選出され、気候科学者でもある世界初の国家指導者が誕生したことが話題になりました。また、クラウディア・シャインバウム大統領はエネルギー工学の博士号を持ち、2007年にノーベル平和賞を受賞した国連の気候変動パネルの一員であったことも気候変動対策に取り組むコミュニティからは歓迎されています。New York Timesの記事には彼女のこれまでの実績と石油大国を統治する上で待ち受ける試練についてまとめられてます。
気候科学者が石油国の大統領に。どうする? - メキシコの次期指導者クラウディア・シャインバウムは学者であり政治家でもある。彼女の実績から見えてくるものがある。[6/3 New York Times *🎁Gift URL]
アイスランド、史上2人目の女性大統領誕生へ 得票率1~3位が女性 [6/2 朝日新聞]
6月1日にアイスランドの新大統領に選出された実業家のハトラ・トーマスドッティル氏の経歴も注目に値します。トーマスドッティル氏は気候変動と平等をビジネス慣行に統合することに焦点を当てた世界的非営利団体「Bチーム」を率い、責任投資会社を設立した実績も持っているとのこと。彼女は今年の3月にロイター紙が選んだ「Trailblazing Women in Climate 2024(2024年気候変動に立ち向かう女性たち)」という特集記事の中で20人の一人として選出されています。日本からはClimate Integrate代表理事の平田仁子氏が選出されています。
【5】原発、揺らぐ「脱炭素電源」 欧米で建設停滞相次ぐ [6/2 日本経済新聞]
エネルギー安全保障と脱炭素の実現の中で原発を巡る状況も厳しい現実があることが伺える記事でした。
"米欧で原子力発電所の建設の延期や断念が相次いでいる。安全対策強化によるコストに加え、資材費や人件費上昇がのしかかる。世界の原発建設の中心は中国やロシアに移り、西側の退潮が目立つ。期待された「脱炭素電源」としての役割を果たせるかの岐路にある。"
ブルームバーグの記事でも柏崎刈谷原子力発電所について、これまでの経緯も踏まえた長尺の記事を掲載、知らなかった事が多く、参考になりました。
世界最大の原発、柏崎刈羽再稼働で軋轢-エネルギー問題緩和期待も [5/29 ブルームバーグ]
【6】安価なEVを世界に売り込む中国の計画 [ 6/5 Financial Times]
ここ最近は欧米での「EV減速」に関する報道が数多く報じられていた一方で、中国製EVが世界の新興国市場で着々と存在感が増しているという記事が気になりました。特に日本車の牙城とされてきたタイ市場の今後が心配です。
『スズキ、タイ四輪生産から撤退 中国EV攻勢で苦戦』[6/7 日本経済新聞]
中国のEVメーカーは、米国と欧州の保護主義の高まりを受け、ブラジルやインドネシアなどの発展途上国での製造と原材料加工に多額の投資を行っています。
中国のEVのグローバル展開は、多国籍自動車メーカー、特に東南アジアの日本企業の市場シェアを脅かし、データセキュリティと中国の影響力に対する懸念を引き起こしています。
中国製EVに対する米国とEUの規制の意図せざる結果として、多くの新興市場が中国の手に渡り、これらの地域で中国が支配的になる可能性があります。
【7】[FT]「気候退職」企業の心構えは 若手確保は行動が大事 [6/7 日本経済新聞]
コンサルティング大手の米デロイトが5月に公表した世界44カ国・地域のZ世代とミレニアル世代の約2万3000人を対象とした調査報告書によると、環境問題への懸念から勤務先や業界を変える「気候退職(climate quitting)」をしたことがあると回答した者は約20%という結果に。
"「将来、歴史が正しいと評価する側に立つために、自分のキャリアにとっては大きなリスクを冒すことになるが、そのリスクを取ったということだ」と語った。そして「間違いなくその価値はある」と続けた。
環境などへの取り組みが不十分であるという理由から退職したり、内定を断ったりする「気候退職(climate quitting)」が一般にも広がり始めたということなのか――。企業は、若い従業員を逃さないようにするには環境への配慮を示すことが今や必須という状況になったということなのか――。"
【8】#2-36 日本の気候テック投資は、ここが難しい【出演:直井聡友さん】[6/6 経済番組 #グリーンビジネス / NewsPicks]
気候テックVCとして活躍されている直井さんの気候テック分野のスタートアップを評価する物差しが伺えて参考になりました。物差しを超えた想いや期待の熱量も伝わってきました🔥
同じく #グリーンビジネス・チームのみなさんによる動画コンテンツ。20分間でびっちりMITのディープテックエコシステムの🔥ダイナミズムが伝わてってくる内容で、まさに日本にもこのようなしくみがあればいいのに、と思える内容でした。
*【門外不出】学生をCEOに化けさせる、MITの秘密授業 [6/8 伝書鳩TV / NewsPicks]
【9】Climeworks Carbon Removal Summit 2024 [6/4-6 Climeworks]
6月4日〜6日にかけてスイスのチューリッヒで開催されていたClimeworks社主催のカーボン・リムーバル・サミットのキーノートセッション13本がアーカイブ動画として公開されています。冒頭のClimeworks共同創業者らによるプレゼンテーションはクライムワークス社のこれまでの取り組みと今後のビジョンが力強く紹介されています。セッションの最初と最後には先週ご紹介さいた気候SF小説の『未来省』の引用が印象的に紹介されています。
【10】The State of Carbon Dioxide Removal Report - 2nd edition [ #CDR (二酸化炭素除去技術)レポート-第2版]
「CDR(二酸化炭素除去技術)」に関してのレポートが公開されました。CO2の排出を削減するだけではネットゼロの実現が難しく、回収や貯留によりCO2を除去する技術に対して、欧米のclimate techの文脈においては熱視線が注がれているようです。
レポート公開イベントのアーカイブ動画
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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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