Climate Curation #32 [2022/11/5] ~COP27、テック業界のレイオフ、気候テック、労働移動
以下の内容は2022/11/5にニュースレターとして配信した内容の一部に追記・更新をした内容を掲載しています。メールでの購読を希望される方はこちらからご登録をお願いします🙇♂️
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】COP27
さて、11月6日から18日までの期間、第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)がエジプトのシャルムエルシェイクで開かれる、ということで国内外のメディアで特集記事が数多く掲載されてます。今回は途上国開催ということもあり注目が集まる「損失と損害(loss & damage)」、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰、ESG(環境・社会・統治)に対する懐疑的な声等、いろいろな論点が議論されることと思います。
数ある記事の中で目を引いたのはThe Economistのカバー特集『Say Goodby to 1.5℃』というメッセージでした。16ページもの特集記事は「適応」について掘り下げた内容ですが、以下の巻頭記事では、現実に目をそらさず、適応策、そして炭素除去等の新しい技術に目を向けるべきと指摘されている点が新鮮でした。国内報道では炭素除去に関しての議論はあまり目にすることはないですが、少なくとも世界的なトレンドの大きな方向性を把握しておくことは大切なのではないかと思われます。
▶関連オススメ記事
・【そもそも解説】元外交官に聞くCOPとは? 脱炭素めぐる「戦場」[2022/11/4 朝日新聞デジタル]
・気候変動による「損失と被害」 パキスタンの大洪水から考える [2022/10/30 毎日新聞]
【2】テック業界のレイオフ、気候テック、労働移動
今週はツイッター社(イーロン・マスク氏)の動向に関しても連日報道が続きました。15年以上に渡ってサービスを利用しているものとして、全社員7,500人の半数の社員がレイオフされ、今後のサービスのあり方が大きく変化を余儀なくされる、ということは複雑な気持ちでした。ただ、こうした「テック業界の大量レイオフの先にあるもの」として考えてみると可能性、期待も含め考えることもできるのではないかと思っています。
▶Twitter社員「時代のおしまい」 解雇開始、日本でも[2022/11/5 日本経済新聞]
▶一時解雇9万人の衝撃 失速の新興企業「世界変わった」 冬のスタートアップ[2022/10/24 日本経済新聞]
▶メタが大規模な人員削減検討 数千人規模か、米報道: [2022/11/7 日本経済新聞]
▶気候テックに特化したベンチャーキャピタル Lowercarbonを経営するクリス・サッカ氏のツイート👇
▶[Climate Draft] は気候テックやVCのネットワークへの参加を促すサイトで、教育プログラム、求人・求職者マッチング等の情報も掲載されてます。
▶PwCの第3回年次報告書「State of Climate Tech〜気候変動技術への投資における惰性を克服する」
コンサルティング会社のPwCによる、今回で3年目となる世界のClimate Tech業界へのジャンルごとの投資額の推移等をまとめたレポートが公開されました。投資規模の減少傾向はあるものの、他のセクターと比べ気候テックセクターは比較的安定していること、また、「炭素除去」などの新しい分野に対しては投資額が増えていることが示されています。
テック業界でレイオフされた多くの技術者を含む人材規模は、上記のレイオフ・トラッキングサイト[https://layoffs.fyi]によると、2022年だけで750社/10万人を超えます。新しい成長産業セクターとしての「気候テック」を捉えることで、レイオフされた人にとっては辛い経験ではありますが、今後成長・拡大が見込まれるセクターへの労働移動が加速することが予想されます。
日本国内においては雇用環境、慣習、法体系が異なることもあり、「リスキリング」によるデジタル・グリーン分野への労働移動が期待されていることと思われます(実際気候テックスタートアップがセクターとしてまだ非常に小さく、受け皿にもなりえないのが現実と思われますが)。一見「荒療治」に見える米国で起きていることが今後3年、5年後にどのような変化をもたらすか、注視したいと思います。
📬気候変動・クライメートテックをテーマにした記事をキュレーションするニュースレターを日本語と英語で配信しています。よろしければご登録ください🌏🙂
・Climate Curation(日本語): https://socialcompany.substack.com/
・Japan Climate Curation(英語): https://bit.ly/JapanClimateCuration
▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリスト
お読みくださってありがとうございます!国内外の気候変動、クライメートテック関連の情報をメディア目線で切り取って発信を試みてます。スキをクリックしてくださったり、シェア・コメントなどいただけたらとても嬉しいです