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サッカー審判 失敗事件簿 No.1

 最近、元国際審判員で京都府サッカー協会審判委員会
委員長を務められた小幡真一郎先生が「しくじり審判」
という書籍を出版されたこともあり、ここからは自身が
起こした試合中の失敗談をお話していきたいと思います。

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小幡さんの書籍はコチラ⇓
http://www.kanzen.jp/book/b592852.html

1、 試合の状況

その試合は私が大学2回生の時の試合で起こりました。
当時関西学生リーグではトップリーグの出場機会の
少ない選手にも対外試合をする機会を作るため、
Iリーグ(I=independent)という学生が運営する、
学生の為のリーグが発足していました。

私が担当する試合は、京都の有名私立同士の
試合でした。私はまだ3級審判を取り立てで、
経験値も少ないサッカーのレベルも学生3部リーグの
チームに所属するレベルでしたがその試合には
Jリーグユースや名だたる高校出身の選手が
出場していました。

前半25分くらいの時間帯でエンジチームの41番の
選手に反スポーツ的行為で警告をしました。
その選手はボランチの選手で、要所要所相手の攻撃の
芽を摘んでいましたが、ファールも多い選手でした。
前半は両チームその一枚の警告で終了しました。

後半になって、開始10分ほどでエンジチームの42番の
選手が相手の攻撃をファウルで止めたので、警告を
出しました。そこからプレーは再開され、約2分ほど
プレーした後、相手チームの紫6番の選手が自陣ゴール
前で相手に対するラフプレーがあったので、警告をし、
FKでプレーを再開しようとしました。


2、 そこで起きた出来事は


ゴールに近い位置だったので、壁の位置を丁寧に指示し
再開しようとしたその時に第4審を務めてくれている
エンジチームの方から本部に来てほしいと
言われました。

何かあったのかと思い本部に小走りで駆け寄るとその
第4審から衝撃の一言を告げられました。
「主審、あの42番2枚目の警告出てますよ」

一瞬何を言われたか分からず、確認のために
ブッキングメモを見直しました。
警告の欄には、
前半25分エンジ41番反スポ 
後半10分エンジ42番反スポ 
と書かれており、
「いや一枚目は41番で、二枚目は42番だよ」
と第4審に伝えました。

すると彼からさらに衝撃的な一言が、
「あの42番、背番号変わってますよ」

またまた~と思いながら選手の背番号を見渡して
私は血の気が引きました。
なんとピッチ上には42番が二人いたのです。

3、 気づいてからの対応は


なんで同じ背番号が二人いるのか訳が分かりません
でしたが、第4審は同じチームの選手だったため、
顔で認識しその2枚目の選手は番号が変わっていること
に気付いてくれました。

そんな馬鹿なと思いながらその選手に、
「もしかして前半に1枚カードもらった?」
と聞いたところ、
「はい。」
と素直に認めてくれました。

そこからは正直あまり記憶がない状態でした。
2枚目の警告で退場すべき選手がピッチ上にいたときの
対処なんてわからないし、何が正解かもわからない
状態になりました。
ひとまずその選手をピッチの外に出し、
FKで再開しようとしたとき、さらに混乱する出来事が
起こりました。

そのプレーで警告した紫の選手が
「そんな状況だったら俺の警告もなくなるよね!」
訳がわからず混乱している私はとっさに
「そうか。そうなるのか。」
と変に納得してしまい、ブッキングメモの警告欄にある
紫チームの警告を消していました。

4、 どうすればよかったのか


もうその試合はとにかく早く何もなく終わってほしい
気持ちだけでした。
試合終了の笛を吹いた後、本部で確認作業をした後、
その試合のインストラクターに来られていた
先生からは、労いの言葉と
今日は反省会しないほうがいいねと言われ、前の試合を
担当していた審判員に車で慰めてもらいながら
帰宅しました。

試合後に本部のチームから聞いた話では、41番の選手は
ハーフタイムにシャツを着替えるとき、近くにあった
42番のシャツを着てしまったというのが真相でした。
確かに前半は半袖で、後半は長袖を着ていましたが、
後半の入場時に選手の背番号までは確認しませんので、
防ぐことは難しい事象でした。

しかし、なぜ相手チームの警告まで取り消したのか、
その混乱ぶりは今でも忘れられない事象です。

皆さんは仮にそんなことがあっても、ミスの上塗りに
ならないよう対応してくださいね。


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