日本は今が最強?
こんにちは。
サッカーは「深く狭く」掘り下げたいアラサーライターの蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。
今回は、今の日本代表の強さついて、気ままに考察します。
日本代表の現在地
日本代表が、9月にヨーロッパで行われた親善試合において、ドイツ代表とトルコ代表を圧倒して勝利を収めた。今回の2試合において特徴的なのは、「日本に絶好調の選手はいなかった」という点だ。また、ドイツやトルコに絶不調の選手もいなければ、チームとして戦術的なミスをしていたとも思えない。つまり、お互いが淡々と試合に臨んで、自力で日本が大幅に上回った試合なのだ。
間違いなく日本の各ポジションの選手の質は上がっており、本田圭佑の「日本は次のレベルに到達した」という意見に反対する人はいないだろう。今の日本代表であれば、世界中のどのチームと試合をしても、勝つ可能性が充分にある。ワールドカップ優勝となると、まだ道が遠いように感じるものの、既に強豪チームとしての地位は確立したと言えるだろう。
しかし、今の日本代表の強さがそのまま続くのかとなると、なかなか難しいものがある。なぜなら、今の日本代表の選手は、もっともサッカーが盛り上がっている時期に生まれた選手たちで構成されているからだ。今の小学生や中学生は、今の日本代表選手が過ごした小中学生時代と、まったく異なる時代を生きている。
バブル期に生まれた選手たち
今の日本代表は、1994年頃~2000年前後に生まれた選手で構成されている。これは、日本のサッカーのバブル期と呼べる時代に生まれた選手であることを意味している。Jリーグの開幕は1993年、日本代表が初めてワールドカップに出場したのは1998年、サッカー人気が上昇する時期に生まれた選手が、20代になり日本代表としてプレーしているのだ。
小学生時代に、サッカーを本格的に始める人は、ほとんどがワールドカップ観戦をきっかけにしている。今の日本代表選手に置き換えると、初めて見たワールドカップは、2002年の日韓大会・2006年のドイツ大会・2010年の南アフリカ大会ということになるだろう。
ワールドカップとサッカー人気
2002年大会は国民的関心事となり、実際に日本代表戦の視聴率は60%にもなった。2006年大会は「黄金世代」「史上最強」との呼び声が高く、連日スポーツニュースでも日本代表選手の動向や試合結果が放送されていた。2010年大会は下馬評こそ低かったものの、本大会では決勝トーナメントに進出したこともあり、注目度が高くなった。この3大会は、アジア予選の注目度や日本代表への関心が、その後の2014年・2018年・2022年より高かった。
大会前の注目度がもっとも低かった2010年大会ですら、大会後には多くの日本代表選手がテレビ出演をしていた。それに比べて、2018や2022年は、日本代表選手の露出が少なかったように感じる。
以前、このブログでも触れたが、放映権料の上昇を理由に地上波でのサッカー中継が減っている。日本代表の試合ですら、放送されないこともあるため、各日本代表選手のチームでの試合を見ることはない。せいぜいハイライト映像を数十秒間見るだけなので、あまり印象に残らない。サッカーバブル期と比べて、ライトユーザーを獲得するのが難しくなっていると言えるだろう。中田英寿や三浦知良よりも、知名度のある現役の日本代表選手はいない。サッカーに興味を持ってもらうのが、難しくなっているのだ。
実際のところ、サッカーへの関心の低下は、競技人口の推移にも表れている。2000年から2012年まではサッカー人口が増えているものの、それ以降は低下傾向にある。日本全体の人口が急速に減少しているため、仕方ない部分はあるものの、サッカー界全体として競技人口の増加を考えるべき時期にきている。ライトユーザーを獲得するために、具体的な動きを取ってみると良いだろう。
今後必要な取り組み
たとえば、Jリーグ全体として小学生以下の入場料を無料にする時期を作ったり、各学校の体育の授業にサッカー選手が出向いたりと、サッカーに関心のない子どもに興味を持ってもらう工夫が必要だ。
また、他競技との併用を推進するのも効果的だろう。夏場に水泳をやって秋から春にかけてサッカーをするチームがあっても良い。野球やバスケといった、ほかの球技の練習も行って、大会にも参加できるようにしても良いだろう。少子化に歯止めがかかっていない以上、スポーツの枠組みを超えて各競技が協力するべきであり、子どもの取り合いをする必要はない。
今の日本代表のレベルが高いのは、もっとも競技人口が多い時期にサッカーを始めて、競争を勝ち抜いてきた選手が代表にいるからだ。このまま競技人口が減少していくと、再びレベルが落ちてしまう可能性がある。日本中に建設されているサッカー専用スタジアムが、負の遺産となりかねない。サッカー人気の向上が必須になっているのだ。
人口減少の中でレベルを上げる
だからこそ、次のワールドカップはもちろんのこと、アジア予選や各国のリーグ戦において、日本代表選手には今以上の活躍を期待したい。競技人口が減ったとしても、全体のレベルが上がれば日本代表の力も落ちない。たとえば、前回のワールドカップで日本を倒したクロアチアは、人口が400万人に満たない国だ。これは、静岡県とほぼ同じだ。優勝したアルゼンチンの人口は4,500万人。日本の約3分の1だ。
日本は少子化が進行しているとはいえ、1億以上の人口を抱えている。この先、サッカーバブル期に生まれた子が高いレベルを経験してから、指導者や保護者になるケースも増えるだろう。考え方を変えれば、少ない子どもに対して、経験や実績のある数多くの大人がアプローチできる時期とも言える。
「2020年代の日本はサッカーが強い国だった」とならないためには、サッカー界全体で普及と強化に取り組む必要がある。競技人口の減少を食い止めながらも、サッカーに興味のある子どもに対しては、手厚くサポートすることが大切だ。
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