見出し画像

#5 プレミアリーグ分析~得点数とxG(ゴール期待値)について~

こんにちは、BOBBYです。
今回は、プレミアリーグ2018-2019シーズンの分析の第2弾として、得点数と
xG(ゴール期待値)について書きたいと思います。
※またこちらの分析は、Pythonを使って行っています。

ちなみに、前回の記事はこちら。
https://note.com/socccer_analysis/n/nf8bdf694c9a4


xG(ゴール期待値)とは


そもそも、xG(ゴール期待値)とは何ぞやという話ですが、詳しい説明は詳しい記事があったので、そちらに譲りますが、ざっくりいうと、「選手の質を無視して、どれくらい点が入りそうなのか」ということを表す指標です。ある試合において、xGが高いということは、そのチームは点が入りそうなチャンスをたくさん作ったということになります。なので、実際に点が入ったかどうかの結果に囚われず、そのチームの攻撃のパフォーマンスを測る指標として、サッカーではよく用いられています。

「ゴール期待値(xG)」とは「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」のことで、0〜1の範囲で表した指標のこと。
サッカーのような得点の生まれにくいロースコアスポーツでは、試合の最終スコアのみではパフォーマンスを反映しない場合が多くある。そこで開発され、用いられるようになったのが「ゴール期待値(xG)」である。
「ゴール期待値(xG)」は基本的に「チャンスの質」を測る指標で、選手の能力やシュートの質を無視したもの。0は得点することが不可能なチャンスを表し、1はプレーヤーが毎回得点することが期待されるチャンスを表す。
例えばハーフウェイラインからのシュートは、ボックス内からのシュートほどゴールにつながる確率が高くない。「ゴール期待値(xG)」を使えば、実際にプレーヤーがこれらの各状況から得点する可能性を定量化することができる。あるボックス内からのシュートの期待値が0.1xGだとする。
これは、平均的なプレーヤーがこの状況下で10本のシュートのうち1本、つまり10%の確率でゴールを決めると予想されることを意味するのだ。つまり平均的な選手がシュートを打った場合のゴールになる確率を示し、チャンスの質を表す値と言える。

https://www.all-stars.jp/news/xg-premier-league-21-22/

得点力 = チャンスの作成力×ゴール決定力


次に、得点を取ることに関して、2つの要素に因数分解することができます。

1つ目はチャンスを作るということです。チーム全体としてボールをゴール前に運び、シュートの形を増やせるかということです。また、チャンスが作れたら、XGは高くなります。

2つ目は作ったチャンスを決めきる決定力です。これが低いと結局点が入らないので得点不足になります。この意味において優秀なストライカーは肝要になります。

今回の分析では、得点とxGから、この2つ目の要素である決定力について各チームの状況を考察します。

プレミアリーグ2018-2019シーズン

各チームの得点状況

まずはプレミアリーグ2018-2009シーズンの順位と各チームの得点数及びxGについて見ていきましょう。

リーグ全体の勝ち点・得点数・xG

このシーズンは、マンチェスターシティーとリバプールが白熱した優勝争いを見せたシーズンでした。得点数を見ると、この2チームが飛び抜けて多いことがわかります。

次に注目していただきたいのが、表のtotal_gapの列です。これは実際のゴール数とXGの差異を求めたもので、この値が大きければ大きいほどXGに対して得点数が多く、より決定力の高いチームであるといえます。
このように見ると、マンチェスターシティーとリバプールとアーセナルの3チームが非常に大きな値を持っていることがわかります。アーセナルもリーグで3番目の得点数であることから、ここからわかることとして、チャンスを作ることと、それ以上に得点を決められる優秀な選手(ストライカー)がいかに重要であるかがわかります。

プレミアリーグでは、各チームがフォワードに対して大金を払ってでも優秀な選手を獲得しようとする印象がありますが、このように見るとその判断は理になっていると言えそうです。

各チームの決定力

ゴール数とxGの関係

このグラフの見方ですが、赤線より上にあるチームはxGを超える実際の得点があったことを示し、より効率的に得点できた(決定力の高い)チームであると言えます。

この赤線の上を超えているチームは非常に少なく、そのほとんどがBIG6と言われるチームになりますが、それ以外のチームで言うと、バーンリー、ワトフォード、ボーンマス、ウェストハムが当てはまります。これらのチームはチャンスをより有効に生かしたといえます。

また、ほとんどのチームが赤線付近に位置しており、それはつまりある程度期待値と実際のゴール数が似た値になっていると言うことを意味します。

逆に、ハダースフィールルド、フルハム、カーディフは赤線から特に離れており、決定力不足に悩んだと言えます。

また最終的な順位でもこの3チームがそのまま下位3チームであったことから、チャンスを作ることに苦しんだだけではなく、最終的な決定力不足が降格に繋がったようです。

だいたい点が赤線に沿って分布していることから分かるように、ゴール数とxGには強い相関があります。(相関係数:0.89)

総得点数とチーム得点王のゴール効率の関係

最後は、各チームの総得点数と、各チームにおける得点王の選手の得点効率の関係を図にしたものです。また、得点効率とは、90分あたりに決める平均の得点数のことを指します。

図中の青い線ですか、横線はプレミアリーグ全体の平均得点数、縦線は各チームの得点王の得点効率の平均を指しています。この青い線で、グラフを4象限に分けると、各章限の意味は下記のように捉えられます。

・第1象限:チームに優秀な点取り屋がいて、得点数が高い。(ビッグクラブ+ボーンマス)
・第2象限:特定の優秀な点取り屋はいないけど、チーム全体で点を取った結果、リーグ平均よりも多く点が取れた。(マンチェスターユナイテッド)
・第3象限:優秀な得点源がなく、チーム全体としてもリーグ平均以下の得点数だった。
・第4象限:リーグ平均以上の優秀な点取り屋はいたが、チーム全体では得点数が少なかった。得点源が少数の選手に集中しすぎ。(レスターのみ、ヴァーディが孤軍奮闘した。)

第1章限と第3章限に、ほとんどのチームが集中していることを踏まえると、チーム全体で得点を重ねると言うのは難しく、やはり優秀なフォワードを揃えられているかが重要であると言えそうです。実際、総得点数とチーム得点王のゴール効率の相関係数は0.76だったので、やや強い相関があると言えます。

例外としては、マンチェスターユナイテッドとレスターです。ユナイテッドはどこからでも点が取れる攻撃陣だったとも言えますが、中心的なストライカーがいなかったとも言えます。
レスターはチーム全体として得点数が少なかったですが、エースのヴァーディーが1人気を吐いていたようです。

まとめ


今回の分析では、プレミアリーグの各チームの得点とゴール期待値から決定力について分析しました。

元も子もない結論にはなりますが、得点力向上には優秀なストライカーが必要で、ビッククラブで言われるチームには、決定力の高い絶対的なエースが存在していました。チャンスを多く作ることも当然重要ですが、それを決めきる優秀なストライカーも必須です。

ユナイテッドに関しては、ここ数年チーム全体として苦しんでいますが、そこには得点を量産できるストライカーが欠乏していることがその一因でありそうです。

今後も分析結果を共有するので、是非良いねとフォローよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?