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【韓国就労】学院での日本語教師⑶

 大学院在学時に約1年間 韓国に留学していたこともあって、韓国に住むこと・韓国で働くことはわたくしの目標でした。また韓国語も自分のキャリアも活かせると思い、韓国で日本語教師の仕事を探しました。
 コロナが落ち着き始めた2023年にようやくそれが実現したのですが、韓国の学院で日本語教師として働くことは、正直言って日本で常勤講師として働いたときとのギャップがありすぎて、わたくしには続けることができませんでした。


韓国で日本語教師をするために必要なこと

資格はそこまで重要ではない

 日本では2024年から日本語教師に関する制度が変わり、「登録日本語教員」という国家資格の扱いになりましたが、海外ではあまり関係ないというのが現状です。(そのため海外での教授歴は大学などの教育機関を除き、日本で認められないことが殆どです)
 筆者が勤めた学院Aは、求人情報にはいつもの3パターンを掲示して「日本語教師」を募集していたのですが、実際のところ院長曰く「日本人(ネイティブ)なら誰でもいい」ようで、日本語教師の資格がない人も採用されていました=(^.^)= もちろん学院によりますが、必ずしも教師の資格がなければならないというわけではないようです。
 ただ、日本語教育的知識がない状態で採用されると自分が一番苦しいと思います。学生たちは勉強熱心で、ネイティブ講師にあらゆる質問をしてくるので、それにただただ「日本人はそう言わない」「知らない」などと答えるのは、教師として無責任で乱暴だと思います。(わたくしは絶対そのような回答をしたくなかったので、単語の違いや由来など、聞かれてすぐに答えられないときは次回までの宿題にして、持って帰って調べていました。)

どんな人に向いているか

 資格を問わない場合もあるなら、どんな人に向いているのか、と思いますよね。これもあくまで個人的な意見ですが、少なくとも次に当てはまる人は向いていると思います。

  1. 体力に自信がある人

  2. 色んな人に接することができる人

  3. 相手の日本語が下手でも辛抱強く傾聴できる人

  4. 同じ内容の反復が苦ではない人

  5. 韓国に住みたい理由が仕事以外にある人

  6. 最低月給でも節約して生活できる人

  7. 無理なことは無理と断ることができる人

 1番は、やはり不健康なスケジュールであることがほとんどなので、スタミナや健康管理に自信があるなら体力的なしんどさは少ないと思います。
 2番ですが、1章から徹して言っているように色んな年齢の方が受講するので、老若男女問わず対等に接することができた方がいいと思います。筆者の場合、最も年齢層の幅が広かったケースでは、小学6年生と80近いご老人が一緒の時間のクラスにきていました。また、これは日本国内でもそうですが、本当に個性的な人も日本語を勉強しているので、個人的にはそりが合わないような人が相手でも自分の感情は持ち出さず、単に日本語の教師というキャラクターで接し続けられた方がいいです。特に学院では指導をするというよりも教育サービスをする、と認識するべきだと思います。
 3番は、特に自分で話すことが難しい初級クラスであるほど、学生が自分で言葉を探して話せるように聞く側である教師は待ちの姿勢がある程度必要です。急かすと挫折感ばかり募って、来なくなってしまいます。
 4番はその通りなのですが、2ヶ月サイクルで同じ教科書の内容を永遠にループするので、教師の方は内容から質問の答えまで暗記してしまうほどになります。しかし、出席する学生にとってはその時間が初めてという人も多くいるので、まるで初めてその時話すかのように、毎時間ある程度の演技力が必要です。意外と、出席したメンバーによって回答が異なることもあるので、比較すると面白いかもしれません^o^
 5番ですが、これがわたくしが失敗したな〜と思う部分です。わたくしは仕事のために来たというのが大きかったので、仕事に対して不満が溜まってきたとき「なぜ自分は今ここでこんなことをしているんだろう」と心を病みかけました=(^.^)= でも同僚の先生は推し活にプライベートをほぼ注ぎ込んでいたので、休み明けなのに生き生きしていました。愛は偉大です。
 6番ですが、給料設定がはっきり言って時代遅れで、貯金はおろか、月末になると自分の貯金を切り崩さないと厳しい、という事態になりやすいです。韓国の物価は今や日本とほとんど変わらない上、部屋を借りるときに多額の(100万単位の)保証金を払わなければならないので、これに加えて奨学金の返済などがある人は破綻してしまいます。留学と違うのはこういう点だな、と感じました。肯定的な気持ちだけでは解決できないことも多いですね…
 最後に7番ですが、これは仕事を振ってくる雇い側(学院側)に対してもそうですが、学生に対してもそうです。良くも悪くも、日本や日本人に興味がある方ばかりなので、日本人の先生には本当に良くしてくれる人が多いです。しかし、異性的な好意を抱いて近づく人や時間外労働に当てはまるくらいの長時間の個人的な拘束質問など、色々ありますから、そこをうまく切り抜けるスルースキルが必要だと思いました。でもまあモテましたよね^o^

学生について

 色んな人がいると散々上述しましたが、それでも全体的にみるといい人が多かったです。忖度じゃないです。キムチをくれたり、日本に行ったら必ずお土産を買ってきてくれたり、シーズングリーティングで贈り物をくれたりと…たくさんいただきました。
 先生を大切にするという儒教文化もあるかもしれませんが、外国で一人苦労しながら生活しているという点に同情して色々くださる方が多かったです(´;ω;`)
 また、学生の雰囲気はおそらくその地域によって異なると思いますが、学院Aが位置する地域は勉強熱心な親が多い教育激戦区だったので、平均的に真面目で熱心でお金持ちの人が多かったです。若い人は半数がオタクという印象でしたが、50歳以上になると社長や教授が多かったですね…∩^ω^∩ 
 ということで、わたくしが担当した初級・初中級クラスの学生の内訳は 20%主婦・20%大学生・25%お年寄り・30%社会人・5%その他 という感じでした。今でも数人の学生さんとは繋がりがあって、たまに一緒にご飯を食べたりしています☆〜(ゝ。∂)

さいごに

 正直、日本語教師としてのキャリアを積んでいきたい人は、日本国内の学校に勤めるべきだと感じました。経歴として認められるだけではなく、他の先生方との意見交換やセミナーなど自分のスキルアップに繋がるチャンスが多いからです。わたくしは韓国に渡ってからでも、オンラインでそれができると踏んでいましたが、実際は疲労困憊且つ時間がなさすぎて全くできませんでした。
 学院での日本語教師は、日本語教師という観点から見るならただの使い捨てです。言い方ひどいですが(*_*)これがわたくしが出した結論でした。
 ただ、韓国人とは常に接する環境であることは間違いないので、韓国に住みたいし韓国人と接したいけど自分の韓国語には自信がない、という人にはおすすめできるかもしれません。くれぐれも健康管理はしっかりなさってくださいね。

 3章にわたって、現実的なことを書いたつもりですが、もしかすると韓国のイメージダウンになることを綴ってしまったかもしれません。良くない印象を受けましたら、本当にすみません。
 しかし今でもわたくしは韓国に住んでいますし、韓国の様々なことが好きです。それに、日本語教育のリアルな部分を知れてよかったと思っています。貴重な経験だったと言えるように、これからも一生懸命生きていくつもりです。
 わたくしの拙い文が、誰かの情報になり得ますように。それでは、皆様の明日を応援しつつ、また違うテーマで再びご挨拶させていただきます。

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