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ドイツはアメリカでは無い

ドイツに移住して2年が経過した。

ドイツ語は全く喋れるようになっていない。

悲しいけれど、それが現実。

そして、ドイツ社会には全く馴染めていない。

2年住んでも、まだまだなじめる気配が無い。
こんな事があってよいのだろうか。

アメリカには比較的長く住んだが、住んでしばらくしてから
「俺はアメリカが好きだし、アメリカの空気が好きだ」
という感覚があった。

それからアメリカから出ざるをえず、気が付いたらドイツに流れ着いたわけだが、アメリカの時に感じていた「空気が合う」という感覚は残念ながらまだ芽生えていない。

なぜだろう。

ドイツはアメリカでは無い。色々な意味で。

ドイツにはアメリカで感じる無条件な自由は感じられない。

そこには日本に近いような社会的な掟があり、それを守る事が暗に要求されていて、それは結構息苦しい要素を含む掟だったりする。

アメリカにも掟はあるが、ドイツに比べればそのリストは大分少ない。

日本とドイツはアジアと欧州という大きな距離に隔たれた二つの国であるが、むしろアメリカとドイツよりドイツと日本の方が似ていると思う。

そこには強い文化があり、ムラ的社会があり、守るべきルールが多数存在する。

もちろんルールの抑えどころはドイツと日本でずいぶん違うのだが、それでもそのルールは厳然と存在するし、そこからはみ出たものは社会的にアウトサイダー的な扱いを受けることになる。

アメリカはアウトサイダーが多すぎてスタンダードが存在せず、あらゆる文化がごちゃ混ぜになり、みなが下手な英語をあやつりながら生きている。

そのぐちゃぐちゃな雰囲気はドイツにはない。

むしろ視野を欧州全体に含めると、すこしぐちゃぐちゃ感が増加して心地よい感じがする。

ドイツの近隣のイタリアもフランスもオランダもドイツとは大分雰囲気が違うし、ルールも変わる。でも、お互いの悪口を半ばジョークで言い合いながら、結構うまく共存している感じがする。

そういう意味ではヨーロッパ全体で見たときに、少しアメリカの自由さに共通するものがある気がする。

そして、ヨーロッパは本当に広い。

ギリシャみたいな適当に輪をかけたような国もあれば、ロシアのようにマッチョでニコリとも笑わない国の人々もいる。

それらがわりと近い範囲でそれなりに仲良くやっている、と考えるとそれはそれですごいし、なんか気が楽になる。
(残念ながらこの2年は戦争が起こっているが)

戦争は起こっているが、それでもドイツにはロシア人もウクライナ人もたくさんいるし、彼らもドイツという国の中で淡々とその日常を過ごしている。

そういう意味でヨーロッパはいろんな意味で大人であり、ルールもあり、そして自由もあり、そして面倒な人も多いし、良い人も多い。

結論。

2年くらいではドイツも理解出来ないし、ヨーロッパも理解出来ない。

残念ながら馴染めてはいないが、

これからも当分自分とドイツ、自分とヨーロッパの接点を探す作業は続きそうだ。



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