ドスケベマジシャン
皆様、お世話になっております。
私は普段、ドスケベマジシャンとして働いているものです。
念のためご存知ない方のために補足しておくと、ドスケベマジシャンとは、ドスケベなマジックをして生計を立てているドスケベなマジシャンのことです。
マジックの主なレパートリーと致しましては、例えばその場でお客様の下着を消したり、シルクハットから出したウサギが鬼ほど発情していたり、全身を亀甲縛りされた状態でヌルヌルの水槽から脱出したりなどです。もちろんカードマジックで使うのは全部ホテルのペイチャンネルのカードです。
私は普段は都内某所でドスケベマジックバーを経営しており、最近はありがたいことに常連のお客様ができるくらいには繁盛しています。
どんな常連様がいるかというと例えば、いつもうちの名物『ソーセージたっぷり特性ドスケベピザ』をご注文される、ハスキーボイスが特徴のマダムがいます。
先日も、そのマダムに『指パッチンでパンティーを消す』というマジックを披露したところ大喜び!
マダムは特徴的なハスキーボイスで
「ちょっとあたしにもそのマジックのやり方教えてよ~」
なんて言ってきますが、私は
「またいらっしゃれば披露しますので、見て盗んでください!その代わり次はとびっきりセクシーな下着でお願いしますよ!」
と粋に返します。
こんなやりとりで店中大盛り上がり!
本当、ドスケベ冥利に尽きます。
しかし最近困ったことがあります。
実は私の経営するドスケベマジックバーの向かいに、別のドスケベマジックバーがオープンしたのです。そこのドスケベオーナーがドスケベな上に厄介な人で、うちの店の退陣を要求してきたのです。
私は当然、その要求を断りました。
するとそのドスケべオーナーは、「じゃあどっちが本物のドスケベマジシャンか勝負しましょうや」と言ってきたのです。
勝負に負けた方が即座に店を畳むことにしよう、と言うのです。
私はその勝負を受けて立つことにしました。私はドスケべマジックの腕には自信がありますし、何より長年ドスケベマジシャンとして働いてきたドスケベなプライドがあります。
勝負は「パンツ消し合い対決」で行われることになりました。
ルールは簡単。
あらかじめ近くに警察を呼んでおき、指パッチンで互いに相手のパンツを消し合います。消された側は回復ドスケベマジックで自分のパンツを復活させるのですが、これが少しでも遅れ、警察に股間が認識されてしまうと公然猥褻罪で即逮捕、負けです。
決戦の夜。
店の前、パトカーのサイレンが鳴り響く中、白ブリーフ一丁を身につけた私とライバル店のドスケベオーナーが対峙しました。
そして息をつく間もないパンツの消し合いが始まりました。
両手の指をフルに使った、音の隙間を縫(ぬ)う指パッチンの応酬。高速で消えては復活を繰り返すパンツ。
きっと側から見ている人には、おじさん二人の腰回りが高速で点滅してるようにしか見えなかったでしょう。
……強い……!
正直相手を舐めていました。自分の腕を過信していました。
もう指は限界です。
あっ、と思った時には手遅れでした。
手汗で指が滑り、指パッチンが不発になってしまったのです。
負けた……。私は一瞬ですべてを悟りました。パンツの復活が間に合わず、私はこのまま警察に逮捕されてしまうでしょう。
ドスケベマジックバーをオープンしてからの記憶が走馬灯のように思い出されます。
普通のバーだと思って来店した客のパンティを消して警察沙汰になったこと。
スプーン曲げの要領で「チンポ曲げ」をしようとしたら、こすってる段階で射精しちゃって警察沙汰になったこと。
NHKの番組に出演する時に玉袋筋太郎が『玉ちゃん』に強制改名されるみたいに、『ドスケベマジシャン』という名前を勝手に『ドスちゃん』に変更され、キレてスタッフを殴って警察沙汰になったこと。
思い返せば、どれも楽しかったな……。
私はゆっくりと目を閉じました。
「諦めるんじゃないわよ!!」
その時です!
聞き覚えのあるハスキーボイスと指パッチンの音が耳元で響きました。
そして気がつくと僕の腰回りには、ショッキングピンクでレース生地の、セクシーすぎるほどのTバックが履かされていたのです!
そう!常連のハスキーボイスマダムが助太刀に来てくれたのです!!
「どうして…!!」私は思わず尋ねました。
「話は後よ。それっ!」
そういうとマダムはうちの名物『ソーセージたっぷり特性ドスケベピザ』をフリスビーの要領で相手に投げつけました。そのピザは相手の指先に弓矢のように飛んでいき、見事クリーンヒット!!
「まずい!!!」相手が叫びます。
指先がピザの油で滑り、指パッチンができなくなったようです!
一世一代の大チャンスです!
「いっけえぇぇぇぇええ!!!!」
パチンッッッ!!!!!!!!!!
私は全身全霊を込めて特大の指パッチンをお見舞いしました。
相手のパンツは弾けるように霧散し、局部が月明かりの下にあらわになりました。
……勝負あり。
私はすかさず警察に向かって「すいませーん!変質者が股間を露出してまーす!まじでやばいです!」と叫び、相手のオーナーはそのまま連行されていきました。
こうして私は再び平穏な日常を取り戻したのです!
ところでマダムぅ、どうしてあの時、あなたが指パッチンのドスケベマジックをすることができたんだい?
「ふん。あんたが見て盗めって言ったんじゃない。あれだけ何回も近くで見てたら、そりゃ~やり方もわかるわよ!」
あちゃちゃ~!こりゃ~、一本取られました!(ペチっ)
あはははは。
あっはっはっはっはっ!!!!
あ、皆さんはマジック好きですか?