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【シリコンバレー奮闘記】 駐在員の存在意義について考える

アメリカ、カリフォルニア・シリコンバレーに来て7年経ちました。日本の大手企業に25年間勤めてアメリカで独立。普通のサラリーマンが初めての海外・シリコンバレーの生活で奮闘した記録を少しずつ残していこうと思います。

前回は、シリコンバレーのインナーサークルに入る努力〜Part1〜についてお話をしました。今回は、駐在員の存在意義について、私の考えをお話したいと思います。

セラノスフィーバー

空前の詐欺事件となった「セラノス」フィーバー。「数滴の血液から数百項目にわたる健康診断が迅速かつ安価にできる」として大評判になりました。CEOのエリザベス・ホームズという女性は、スタンフォード大学を中退してセラノスを創業。いつも真っ黒な装いで人前に立ち、堂々とした振る舞いから、第二のスティーブジョブスとして騒がれました。セラノスはシリコンバレーでも名だたるベンチャーキャピタルや著名人から数百億円を簡単に集め、ほんと瞬間的に一躍時の人になったことを思い出します。

イベントに登壇したエリザベス・ホームズ氏(筆者撮影)

現地調査へ

当時、同様のサービスを本社側でやっていたこともあって、早速、アメリカの薬局チェーンWallgreensへ現地調査に行きました。話によると、「指から血液を数滴とって、すぐに検査結果がわかる」とされていたので、街にある薬局で出来るのは納得でした。これでいちいち健康診断をしなくて良いのだとすると、本当にすごいことだと胸を躍らせて現地に向かいましたね。

薬局に入ると「Theranos」のコーナーがきちんとあり、受付をしてくれます。

「血液検査をしにきたんだけど」

とたどたどしい英語で話しかけると(※アメリカ赴任直後)

「じゃあ、今から採血をするから腕をまくって」

と言われました。「えっ?今なんて言った?腕をまくる?えっ?」と頭のなかがクエスチョンマークでいっぱいになります。

「指から数滴血液をとるだけって聞いたんだけど。。。」

「あぁー、ちょっと機械が壊れていて(>なんで?)、今は献血みたいに腕から取る仕組みなんだよね〜」

と英語でまくし立てられました。そんな馬鹿なと思い、それならいらないわ、と断念してお店を後にしました。

Palo AltoにあるWallgreens(筆者撮影)

現地現物

しばらくすると、ウォール・ストリート・ジャーナルが、「セラノスは偽物だ」とするような内部告発記事を出し、世の中が騒然としました。

その後、医療保険当局はセラノスの免許を取り消し、セラノスはオフィスをクローズ。従業員も大量に解雇をして、訴えられることになりました。このあたりは、Huluで「The Dropout(原題)」としてドラマ化されているので、興味がある方は見てみてください。


ここで言いたかったお話に戻ると、駐在員の存在意義の一つは、現地現物でモノを見れること。この時も、日本にいる本社の人はネットの情報しか得られなかったところ、現地ではエリザベス・ホームズの講演に立ち会い本人を実際に見たり、Wallgreensの現地で検査の体験をしました。この「体験」をすることが、駐在員の存在意義の大きな一つになると思います。

シリコンバレーで駐在していても、いろんなネット記事などから情報を集めることは当然必要なのですが、本当に必要なのは現地での「体験」だと思います。UberやAirbnbは当然のこと、Amazon Goやロボットコーヒー、最近ではWeb3系の新しいコミュニティーなど、現地でしから得られない体験をたくさんすることが重要だと思います。(意外とできていない人が多いんですよね。。。)

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