青虫アゲハとサンショの木
目指せスーパースター。蕎麦宗です。
5月のはじめ頃。庭にある2本の鉢植えのサンシショウの木の新芽が出そろい、玄関先に香しい風を運んでいた。父親がその手入れをしている時に割り箸で何か黒いものを摘んで拾い集めている。
『こんなにいたぞ、川に流してくる』
よく見るとそれはキアゲハの幼虫で、8匹もいる。僕は、なんだか可哀想な気がしたのと、コロナの暇つぶしにもなりそうなので虫箱に入れて飼うことを提案した。父は笑っていたけれど乗り気ではなさそうだった。
翌日。仕事から帰宅すると、大きい方の一本が網に覆われていた。
『この木をアゲハの幼虫にあげることにしたよ』
と父。どうやら気が変わった様子。この青虫はサンショとミカンの葉っぱしか食べない。少しづつ大きくなってサナギから蝶と羽化するところを観たいね、と話した。
それから数日。脱皮を繰り返しだいぶ大きくなった青虫が、サンショの木をまる禿げにせんとの勢いでモリモリ喰らっている。でも、よくよく数えてみても2匹しか見当たらない。カエル、トカゲ、ハチそして鳥。幼虫達の天敵は沢山いるので、隙間から侵入した敵に喰われてしまったのだろうか。自然は厳しい。
なんとかこの2匹が生き延びて、大きな羽を広げる日が来ると良いなぁと思いながら、朝、出勤する時にサンショの木の青虫2匹を点呼するのが、ここ数日の日課になっている。では、後半へ続く。
さて、全部で8匹いた青虫たちは天敵に食べられてしまったのか、6匹が行方知れずとなり結局2匹だけが生き残った。1匹は早々に蛹となり、続いてもう1匹は植木鉢の外周をクルクルと回っていた。それはどうも地面に降りたくても降りられない様子。見兼ねた父親が放ってやると、イソイソと金網を登りジッと二日間。知らぬ間にツノが生えて青虫は蛹になった。
それから約2週間。
ちっとも出てこない。死んでしまったのか気になって調べてみると、概ね12日間で羽化するとある。羽化らぬままにカビてしまったり、腐ったりということもあるらしい。やはりダメっだったのかな。
そう思って15日目の今日。蕎麦打ちしているところに母親からメールで連絡が入った。
『アゲハ羽化ったよ』
まるでひ孫でも生まれたように喜んでいる。たまたま羽化しているところを見つけたらしい。自分が帰るまでは網から逃さないように頼んで帰宅を楽しみにした。
そして夕方。家に着いて覗くと、アゲハ蝶は空を見つめて天井の網を伝っている。早々に写真を撮って金網を開ける。ほんの少し間をとって飛び出した。空高くあがるアゲハ。
さて、あともう1匹。そう思っていたら、徐々に黒ずんでくる蛹。羽化のサインだ。そして今朝、早い時間に無事飛び立った。とはいえ蝶になっても短い命。元気に飛び回ってお相手見つけて帰っておいで。
では、今日もガンバラナシませう。
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