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幸せの出汁巻き卵
旅するスーパースター、蕎麦宗です。
先だって大学時代の後輩が、大学生になった娘さんを連れて遠方より食べに来てくれた。子供の成長と月日が経つのは早いもので、ついこないだ高校入学と思っていたら
『お酒飲めるようになってサワーでデビューしました』
だなんて、どことなく健気。ふわふわと好好爺な気持ちが湧いてくる。
以前、その娘と意気投合したのは【チョコミン党】で、それはそれでお読み頂くとして今回は出汁巻玉子。
蕎麦宗の出汁巻玉子は、自身が京懐石店で修行したこともあって、一般的な蕎麦屋のそれとは異なり、*カエシも使わず、薄口醤油と本みりんにカツオ出汁をたっぷり合わせた《西》の味付け。【出汁巻からルーベラ】に書いたように,猫舌なお子さんには少々熱々すぎるけれど、巻き立て焼き立てを頬張れば、明石焼きのようにじゅわわわっと出汁が染み出して、なんとも幸せな気分にさせてくれる。
それを食した女子高校生が宣ったのが表題で
『宗さん、メニューの名前【幸せの出汁巻玉子】に替えた方がいいです!』
と言ってくれた。まぁ、蕎麦宗がそう呼ぶのも恥ずかしさしかないので、正式名称としての採用はないけれど、話のネタとしては愉快なので時折り使わせて頂いている。すると、多くのお客さんがウンウンと頷いてくれるので気分も良い。次はトキメキの伊豆牛タタキとか言っていたな。いやいや、それも恥ずい。
…とか言っておきながら、ヒーラーの友人からのアドバイスを聞き入れ、出汁巻玉子のカットと盛り付け方を変えてハートを皿に描いた。まさしく【幸せの出汁巻玉子】。これまたラブリー過ぎてオッサンには少々恥ずいけれど、【星読み】や【ひととてま】への出張料理のハレな前菜を可愛く彩ってくれたと思う。
さて。出汁が流れやすくなるのでその盛り付けはしないのが板前的な基本ですが、堅苦しいことは言いませぬ。ご希望の方にはハートの盛り付けしますので、その際はぜひ
『幸せのだし巻き玉子下さい』
と、お申し付け下さいな。いや、やっぱ恥ずい。ってわけで、ガンバラナシませう。
*カエシ…蕎麦つゆのベースになる合わせ調味料。濃口醤油や砂糖・みりんを使い、これを使って味付けするのが蕎麦屋の出汁巻玉子としては一般的。
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