蕎麦丸

詩を書くのが好きです。 洋楽の詩を和訳して楽しんでもいます。 和訳の間違いについてはご…

蕎麦丸

詩を書くのが好きです。 洋楽の詩を和訳して楽しんでもいます。 和訳の間違いについてはご指摘下さい。 エッセイもたまに書いています。 よかったら読んで感想コメントを頂けると 嬉しいです。

最近の記事

スクラッチノイズ

悲しみに止まるな ドアのノブに手をかけて 手がダメならスニーカーを履いた足で、 ピアスを通した舌でノブを回せ 悲しみに止まるな 引きずられるな ドブに沈むな ベンチに座って休もう 川の流れを眺めながら 少し二人で話そう 悲しみに止まるな ピアスを通した舌でノブを回せ

    • ワンカット

      祖父はリビングにあるロッキングチェアに座って テレビを見ながら電気カミソリで髭を剃った テレビには大抵野球か日曜の朝はNHKの 将棋番組が流れていた 僕は一緒にテレビを見たり 台所で祖母が洗い物をしている姿をみたり していた 本棚に池波正太郎や山本周五郎や 昭和戦争史の本が並んでおり、 それは綺麗に整理されていた 朝日新聞のテレビ欄は見たい番組に 赤丸がつけられていて 部屋は祖父が吸うタバコの匂いがした

      • 各駅停車

        各駅停車に夕日がさして 本を閉じる 思い出の感触が 車両をゆっくりと通り過ぎる スケッチをしたいな、と思う 君が前の席で寝ている姿を 幸せそうにラーメンを食べる姿を

        • 失語

          古い自転車をカラカラさせながら漕いで 見慣れた道を風の言う通りに進む 縁側に座って庭を眺めるように 友達の後ろ姿のように 君が作る卵焼きのように 日曜日の帰り道がそんな時の夕暮れ

        スクラッチノイズ

          夏と君

          夏の芝生に白い麦わら帽子 蚊が群れている 土の匂いに気がつく 指先が日光を反射している これからどこに行こうか もう少し休んでから 今はまだ人で混み合っている ちゃんとした音が聞こえる と君は言う それはロマンティックだ と僕は茶化す

          さる

          コーヒーを淹れておいたよ 階段を降りる音 閉まるドア 消えたままのテレビ 読みかけの本 残された玄関の靴

          自由

          さて、海の絵を描こう 好きな人とのデートはやめて 僕以外誰もいない海岸に イーゼルを立てて 保温ポットのお茶を飲んで 握り飯にかぶりついて 隣に猫がいたりして 遠くに船が見えて 僕はプータローで 金がなくて 僕の自由のイメージは なんかこんな風だ

          クリーチャー

          世の中には親という種類の 生き物がいる、 と思った 中2のベッド 何かが少し軽くなり 何かがその分なくなった それ以上の理屈は捨てて ただそういう時 そう思う事が 僕が絞り出した知恵だった

          クリーチャー

          冷たい鉄

          貴方がいないことが目に滲みる 穴から風が吹きこみ肝臓をさする 誰かに電話をかけて ランニングをして 雨を眺めて カラスがないて 朝に味噌たまご焼き 貴方がいないことが目に沁みる時は 足首がなくなる 穴から風が吹き込み肝臓をさする

          冷たい鉄

          赤い花

          僕らは暇で貧乏で 公園のベンチに座って 目の前に見える赤い花を なんともなしに眺めてた インドのように赤いよね この花の名前は何? インターネットも携帯も 何にもなかったあの時代 ポッテンカロリと名付けて 空を見上げて笑った ポッテンカロリと名付けた あの花のホントの名前は何? ポッテンカロリと名付けた あの花の名前はなんだ インドのように赤くて 空を見上げて笑った ポッテンカロリと名付けた あの花の名前はなんだ

          グレープフルーツ

          グレープフルーツを君に 靴下を履く間に 湯が沸くまでに 泣き腫らした夜の朝に コーヒーとヨーグルトと グレープフルーツを君に パンにバターをたっぷり塗って サラダに玉ねぎを多めに入れて ブルーのシャツにベージュのズボンを合わせて 自転車に乗って口笛を吹いて

          グレープフルーツ

          A grapefruit

          A grapefruit for you While putting on your socks Until the water boils On the morning after a night of tears With coffee and yogurt A grapefruit for you Spreading plenty of butter on the bread Adding some slice of onions to the salad Pairin

          A grapefruit

          だってあなたは死んだから

          今日の晩飯何にする? どうしようか、考えておいて これが貴方との最後の会話 だってあなたは死んだから 玄関を眺めても夕暮れになっても 朝が来てもカーテンが揺れても 晩飯を作っても草むしりをしても あなたは絶対に帰ってこない だってあなたは死んだから だってあなたは死んだから 秋になく虫、空を舞う蝶 グレープフルーツlike an early bird この世に突然穴が開く 声が出せない悪夢のようにどすく だってあなたが死んだから 悲しむ意外に何があるのさ、今は 今は、ただただ

          だってあなたは死んだから

          夏祭り

          夏祭りの帰り道の 靴が道路に擦れる音

          雨宿りの歌

          私の感じたことは私にしかわからない てことは 他人が感じている気持ち、痛みや恥や 誇りや怒りや悲しみはやはりその本人に しかわからない 「でも、それでも私たちは」 それ以降が続かない 胃を握りつぶされ、背中に氷を押し付けられたような あの感覚を私が、他人がいつどれほどに感じているか、想像は出来るがその想像を遥かに超えているのか、 あるいは全くの勘違いであるかは 本人しかわからない でも、それでもやはり、何かがある それが何かは、謎で、既に知っている

          雨宿りの歌

          鉄を燃やせ

          僕らの頭は 声で重くて つねっても叩いても もう何も絞れない 愛と優しさと 足して2で割って  バカが威張る中 君は血を流す あーあ、あーああ あーあ、ああああ 背中を向けてさあ 自分でラインを彫る 鉄を燃やすんだ 鉄を燃やすんだ 僕らのココにある 鉄を燃やすんだ

          鉄を燃やせ