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スヌレポ③ひとりでいられる力

「大勢の中にいて寂しいって思ったことあるかい?」
「あるわ、何度も・・ほんとのこと言うと、大勢の中ではいつも寂しい気がする・・」
「ほんとに?」「そうよ」
「寂しく思わないのはひとりでいるときだけよ」

13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きる言葉

孤独はつらい。孤独にはひとりでいる「ひとりぼっち」と、大勢の中で感じる「独りぼっち」がある。
どちらもつらい。
今日は孤独とひとりでいられる力について考えてみたいと思う。
ひとりでいられる力について考えるとき、それは赤ちゃんにまでさかのぼることができる。

ひとりでいられる能力

児童精神科医であるWinnicottにより提唱された概念に、「ひとりでいられる能力(Capacity to be alone:CBA)」がある。これは、一人でいてひとりでいられる能力と、誰かと共にいながらもひとりでいられる能力の2つを指す。「ひとりでいられる能力」は、赤ちゃんのころに安心できる二者関係を十分に体験することで培われる。

対象の恒常性

赤ちゃんは目に見えるものが世界の全てである。例えば、母親が視界に入らなくなると、赤ちゃんにとって母親はこの世界に存在しないものとして認識されて泣き出す。これは、対象の恒常性が未発達であるために生じる現象である。
対象の恒常性とは、自分の目の前から対象がいなくなったり見えなくなったりしても、その対象は変わらずに存在していると思える感覚のことである。そして、生後8ヶ月ころになると、赤ちゃんは「いないいないばあ」で遊べるようになるが、これは目の前から対象が見えなくなっても、そこにその対象はいるはずだというように、対象認識ができるようになったことからである。
一方で、大人になっても対象の恒常性が薄いと、心の中に対象を保持できないために、安心感を感じることが難しくなる。そのため、1人でいる時に強く孤独を感じたり、安心感を持てなくなったりすることが考えられる。

ひとりぼっちへの対処法

私も対象の恒常性が薄く、安心感を持つことが難しい人の1人であると自覚している。それゆえに、人を信じることが難しいし、ささいことで不安になる。一人でいても大勢の中でも孤独を感じやすい。そんな私が工夫していることについて書きたいと思う。

1. 「大事」について
例えば、「大事」について考えたい。誰かから大切に想ってもらうことは、生きていく上で大きな力となる。しかし本来大切にされるはずだった誰かに大切にされなかったり、それが一貫性のないものであったりした場合、「大事」を信じられなかったり、そもそも理解できない感覚となる。そのために、自分を大切にできなくなったりしてしまう。たとえ、「大事」を伝えてくれる人がいても、その人が目の前からいなくなったら、「大事」は無効となる。

2. 目に見える形にする
そんな時に役立つのが、目に見える形にしてもらうことである。例えば「大事」について書いてもらい、「大事」がわからなくなった時に目にすることで再確認することができる。また、何度も「大事」を確認できる関係性も良いと感じる。不安になった時、「大事」を確認する。その繰り返しに付き合ってくれる人の存在は大きい。その繰り返しにより、「大事」にされること、「大事」に想ってくれる人の存在を内在化できる。そしてその存在は、「ひとりぼっち」への特効薬である。

ひとりでいられる力

つまりひとりでいられる力を持つとは、「ひとりぼっち」の時に、心の中に安心できる対象を保持でき、想いを巡らすことができること、大勢の中にいる時、周囲の波にのまれずに自分は自分とくつろげることである。

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