見出し画像

固体/半固体電池 世界市場予測発表

固体電池・半固体電池は液体リチウムイオン電池の次のイノベーションとして注目をしている方も多いのではと思います。特に豊田が世界の中でも先駆けて研究開発を進めており、中国・韓国勢に遅れをとってしまった液体リチウムイオン電池の市場を一挙に巻き返せる可能性も秘めているということで日本人にとってはSomething Specialな分野とも言えます。

このような固体電池に対する思い入れは個人レベルではなく国としてもカラーが出るものでして、特に液体リチウムイオンでこの2年世界を席巻してきた中国にとっては「固体なんて・・・」という様な見方が一般的だったのですがどうもこの半年−1年で様子が変わってきました。


2030年 固体/半固体電池世界出荷量予測

先日中華系の新エネ関連の調査会社のEV Tank社が同じく中華系の伊維経済研究院と共同で最新の2030年迄の固体電池・半固体電池の世界出荷量予測を公表しました。

7年後の予測ですので、あくまでこれらの数値は一つの参照データとしてお納め頂ければと思うのですが、筆者として興味深かったのは中華系の調査会社がこういうデータを発信してきたという点です。
内容としては、以前固体電池の市場形成には時間がかかるものの、半固体電池が2027年あたりから急拡大を遂げ、やがて全固体へつながるというものです。業界の方であればご存知かもしれませんが中国勢は半固体電池への開発を行う企業が多いことからも、この予測は中国よりであることは確かです。

このデータに付随している説明書きは以下。

研究機関EVTankと伊維経済研究院が共同で「中国固体電池産業発展白書(2024年)」を発表しました。EVTankはこの白書の中で、電解液含量が10%未満の電池を半固体電池と定義し、電解液を全く含まない電池を全固体電池と定義しています。EVTankは、液体電解液の添加量が徐々に減少し、固体電解質の含量が増加するにつれて、電池のエネルギー密度と安全性が顕著に向上すると指摘しています。

白書によると、2022年以降、固体電池の研究開発と産業化は明らかな進展を遂げています。特に、卫蓝新能源や赣锋锂電など中国企業による半固体電池の量産装車が実現し、2023年には経済学的な意味での産業化を達成しました。しかし、全固体電池は現在もまだ完全に解決されていないイオン伝導率の問題、固体界面の問題、サイクル性能の問題などに直面しており、その産業化は2030年頃になると予想されています。固体電池の技術路線とコスト削減の道筋に基づいて、EVTankは2030年までに全球の固体電池の出荷量が614.1GWhに達し、全体のリチウム電池市場における浸透率が約10%、市場規模が2500億元を超えると予測しています。主な市場は半固体電池になるとされています。EVTankは、近年の中国企業による半固体電池の研究開発の進展とコスト低減が大幅に予想を上回ったため、固体電池の出荷量の予測を大幅に引き上げたと述べています。

競争の構造については、日本やアメリカなど海外の企業が固体電池の開発に早期から取り組んでおり、豊田、Panasonic、Solid Power、QuantumScapeなどは全固体電池を開発目標としていますが、産業化の進展は比較的遅いと分析しています。一方、卫蓝新能源、清陶能源、赣锋锂電など中国企業は、産業化が比較的容易な半固体電池を過渡段階の製品として選択し、半固体電池の産業化を推進しています。固体電解質に関しては、日本と韓国は主に硫化物系を中心に、中国は主に酸化物とポリマー系を多く使用しており、アメリカのスタートアップ企業は硫化物、酸化物、ポリマーの全てに布陣しているとEVTankは指摘しています。

EV tanks社一般公開情報を翻訳

昨今、中国勢も半固体・需要予測の開発にかなり力を入れております。技術の路線は違えど今や日・中・韓・米の電池会社や世界中の自動車OEMが固体電池の開発に乗り出しておりいよいよ固体電池が普及してくるという方向性も現実味を帯びてきたのではと感じております。

上述の定量的なデータを見つつ、もう少し詳細の自動車OEMの動きや、日・中・韓・米の電池企業の動き資料で一気におさらいしていきます

ここから先は

916字 / 5画像 / 2ファイル

LIB Note by そーなんだ化学

¥1,000 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?