見出し画像

【短編小説】喫茶れもんの放課後

梅雨が明けた夏休みの少し前、凛と葵と陽菜は帰り道をいつも通り3人で歩いていた。

太陽がこれでもかと勢力を強め、梅雨の残りの湿気が纏った外気は蒸し暑さに拍車をかけていた。

「あ゛ー暑い」

「ねー今日、『れもん』寄っていかない?」

「いいねぇ、私、れもんパフェ食べたい」

「私は行けない、今日はNNKで佐々木六段の対局があるから・・・」

「えーいいじゃん、そんなの録画しておけばー」

「凛はリアルタイムで見たい派だもんねぇ」

「そうだ、リアルタイムで見るからこそ魂と魂がぶつかる熱い試合が見れるんだ」

「あーあ、せっかくバイト代が入ったから2人に奢ってあげようと思ったのに」

「え!!葵、奢ってくれるのぉ?」

暑苦しい湿気を吹き飛ばしそうな思わぬ言葉に凛は息を飲んだ。

あのケチで有名な葵から"奢る"なんてという言葉が聞こえたからだ。

「じゃあ、私季節限定のスペシャルパフェにしてもいい?」

「あーいいぞー好きな物頼めー!!」

何か戦果を上げた戦士のように手を高く挙げた葵はいつもより大股で歩き出す。

葵は柔道部に入っているせいか行動が男勝りで何かと大雑把だ。

「そうかー残念だなぁ・・・凛の大好きなストロベリーパフェを奢ってあげようと思ったのに・・・」

葵がわざとらしく首をかしげ、顎に手を持っていく

「ぐっ・・・」

凛は数秒、推しの対局とパフェを天秤にかけた。

すると葵が神の一手を投じた

「新鮮なイチゴの酸味と生クリームの濃厚な甘さ・・そして冷たいアイスクリーム、口で奏でられるハーモニー・・・」

『王手』、堅牢に守っていた壁をぶち壊す葵の一手に凛は成すすべもなく完敗した。

「あぁ!!私も行く!!私も食べたい!!」

「食べたい?」

「うん・・・食べても・・いい?」

凛は上目遣いに葵に言った

「あ、キュンです・・・」

凛の珍しいデレモードに葵は卒倒しそうになった。

「こういうところ、凛は可愛いよねぇ」

陽菜がそう言うと凛は顔をイチゴのように赤くした。

「か、可愛くなんかない」

「はいはい」

いつものように陽菜が凛の頭を撫でると葵から号令がかかった

「おーし、じゃあ『れもん』まで走るぞー!!よーい、ドン!!」

葵が先陣を切って走り出す。

「あ、葵!!いきなりなに?ま、待て!!」

「葵ー!凛ー!待ってよー!!置いてかないでぇ」

海までまっすぐ続く坂道を3人は駆けた。
空にはソフトクリームのような入道雲が夏の始まりを告げていた。

桜凛高校の坂の下、立派な欅の木が目印の『喫茶れもん』

10坪ほどしかない広さだが扉のステンドグラスやモダンな店内が生徒に大人気である

3人は何があるでもなく放課後『れもん』に行きダラダラと過ごすことが日課になっていた。

「あー暑かったー!!めっちゃ涼しー!!」

一番に扉を開けた葵はクーラーという人智の結晶に歓喜をあげた。

「葵、声が大きい・・・マスターすみません」

「はぁー涼しいねー」

陽菜の声は可愛らしくて柔らかい、癒しを与えてくれる女神のようだ。

「あ、ベスボジ空いてる!ラッキー!」

右奥の角、革張りのソファーがあるボックス席が3人の定位置である。

「ふぅー・・・そういえば、なんで今日葵、遅かったんだ?」

「あー薄毛タヌキに捕まってさぁ・・・」

「担任教師を妖怪みたいに言うな」

多毛太志、3人の担任で担当は社会

名前とは反対に薄毛に悩み、着任当時はかつらをつけていたが

ある朝礼の時、突風が吹き全校生徒にバレてしまった。

それからは開き直ったのかありのままで仕事をしている。

生徒の間ではそれを"春の神風"と呼んでいた

「補習・・・受けてたんだ・・・」

「あれ?先週じゃなかったのぉ?」

「ははっ・・・だったんだけどその日、ちょうど部活休みで美香達にカラオケ誘われてそれでー」

続きのことばを待たず凛があきれたように言った。

「バックれたってことか・・そりゃあ、怒られるのはあたりまえだ」

「だって、奢ってくれるっていうしカラオケ行きたかったんだもん」

口をとがらせながら言う葵にあきれながら凛は陽菜に聞いた

「はぁー・・・相変わらずだな・・・陽菜は美術部は大丈夫なのか?」

「うん、今月で私引退だからね、副部長にまかせてきたぁ」

「そうか・・・」

3年生は夏でほとんどが部活を引退する

大会があり葵は指導として参加しているがそれも夏休みが終わるまでだ

「今日は何にしようかなぁ・・パフェもいいし、かき氷も捨て難い・・凛はストロベリーパフェでいいの?」

メニューを笑顔でめくりながら葵が凛に言った

「あぁ、私はそれ一択だ」

「凛はブレないよねー私はいつも迷っちゃって選べないのに・・・」

頑固一徹、凛はその言葉を絵にかいたような性格で何事も自分で一度決めたらぶれない

だが甘いものとなると話は別だった

「陽菜はどうする?」

「んーちょっと待ってねー、考える」

「私はー・・あ!!季節限定トロピカルマンゴーパフェだって!!」

ジャズがかかるおしゃれな店内に葵の大声が響き渡る

「葵、うるさい・・何度言ったらわかる・・」

「ザク切りのマンゴーの果肉にたっぷりの生クリーム・・そして上にはマンゴーアイス!!今日はこれに決めた!」

某アニメのセリフのように言うと葵はメニューを指さした

「ほんと?美味しそー私もそれにしようかな」

「じ、じゃあ、わたしも・・」

陽菜が同調し凛が変更を申し出ようとした時、容赦なく葵の大声がまた響き渡った

「マスター!ストロベリーパフェ1つとトロピカルマンゴーパフェ2つで!!」

「ん?凛何か言った?」

「いや・・別に」

一度決めたものを曲げることは凛はできなかった

「楽しみだねぇ・・そういえば凛、先週、将棋番組の公開収録見に行ったんだって?」

「あぁ、行ってきた・・最高だったぞ、手に汗握る展開、生で見る熱気に興奮した」

凛は右手を握りしめ、世紀の一戦を思い浮かべた

「へぇー」

「おい、興味無いならそう言え」

葵は話しに興味なさそうにメニューを見ている

「それに、見ろ!これ!佐々木六段にサインもらったんだ!」

凛は印籠のように陽菜にサインの写真を見せた

「わー!すごいねー!」

「これは私の家宝にするんだ・・」

凛は写真をみながら目を輝かせた

「そういえばさーそろそろ夏休みだしどっか行きたいよねー」

大根役者のような棒読みで葵が言った

「こいつ、あからさまに話かえやがったな」

興味なさそうにスマホを見る葵を凛は睨みつける

「行きたいねー海とかさー川もいいなぁ」

陽菜が窓の外の青空を見上げる

「祭りに花火、流しそうめんに冷やし中華、あとかき氷!!楽しいこと目白押しだなぁ」

「あ、スイカ割りもやりたい!!」

葵が棒を持つポーズをする

「スイカ割りいいねー川でスイカ冷やしてさぁ」

陽菜がつぶやくと葵が拳を天高く振り上げた

「そうそう!なんかテンション上がってきたー!!」

「葵、少し落ち着け・・ひなは夏休み何か予定あるのか?」

「私はね・・」

陽菜が話だそうとしたとき注文の品が届いた

「お!来た!!すごい!!めっちゃマンゴー入ってるー!!

「すごーい!まっきっきー!!」

「美味しそう・・」

葵と陽菜の歓声の横で凛はつぶやいた

「はい、これ凛のやつ」

「ありがとう・・」

凛は羨ましいと思いながらもストロベリーパフェを受け取った

「上から・・下からの方がいいか、いや、こういうのは遠近感を生かして・・」

スマホを上下左右に動かしながら葵は構図を練っている

「ふふっ・・葵はこういうのこだわるよね」

「オンスタにあげるんだよ、またフォロワー増えたし」

「すごいねー葵、写真上手いもんねぇ」

「さ、食べるかー」

やっと満足したのか葵はスプーンを持った

「あの、一口・・」

凛の本音はまたも二人の声にかき消された

「んー美味っ!!」

「ほんと美味しー!!」

「やっぱりここのパフェはちがうなぁ・・ん?どしたの?凛?」

「いや、別に・・」

「そういえば、陽菜はミクシブ始めたんだっけ?」

葵は頬張りすぎて口にクリームが付いている

「うん、描いてる絵とかいろいろねーイラストとかあげてる人もいるから見てると勉強になるし」

陽菜はテーブルにスマホを置き画面を見せながら言った

「陽菜は美大受験するんだっけ?」

凛が画面を見ながら陽菜に聞いた

「うん、行きたいんだけどね・・やっぱり勉強難しくて現役で受かるかなって・・」

「陽菜なら大丈夫だって!絵上手いし勉強もできるじゃん!」

陽菜の学力は学年上位の成績で美術部で描いた絵も県内コンクールで金賞をとっていた

「葵、ありがとう・・でも絵上手い人なんかいっぱいいるし倍率も高いからね・・」

「第一志望は国際芸大?」

隣県にある国際芸術大学は

国内からも海外からも受験者が集う難関校である

「うん、でもそれは難しいかな・・他にも受けるつもり、留学もしたいからそういうところに行けるといいなぁ」

「そうか・・」

「留学かぁ・・すごい!!陽菜のお父さんイギリス人だもんな」

陽菜はイギリス人の父と日本人の母を持つハーフで5歳までロンドンに住んでいた

「前から考えていたのか?」

「うん、英語も独学だからちゃんと勉強したいしいろんな美術館とか行ってみたいから」

「そうか・・陽菜ならきっと大丈夫、応援してる」

「ありがとう、凛」

陽菜は笑顔で凛に言った

「凛は大学?どこ行くの?」

「京都の大学を受けようと思ってる、日本文学史に興味があってな」

「そっか、凛は本も歴史好きだもんね、カバンに常に文庫本入ってるし」

「あぁ、入ってないと落ち着かないんだ」

凛の母親は小説家でその影響で幼少のころから本に囲まれて育ち中学に上がる頃にはほとんどの有名著書は読破していた

「あー凛が読んでる本難しすぎてわかんない・・三島なんとかとかなんとか遼太郎とか」

「なんとかばっかだな・・葵は体育大だったか?」

「あぁ、高校ではインターハイ行けたけど優勝はできなかったから・・大学で日本一目指す!!」

葵の実家は道場で3歳のころから柔道を始めた葵は、高校2年の時に全国へ行ったしかし、不運にも3回戦でユースオリンピック候補選手に当たり負けてしまった

「大学は東京か?」

「そうだよ」

「外国に京都に東京か・・」

「バラバラ・・だねぇ・・」

「何しんみりしてるんだよ!今はラインもあるしSNSもある、ビデオ通話だってできるんだから全然大丈夫だよ!」

葵は二人が落ち込んでいるとき、いつも肩をたたき、上を向かせる

「そうだね」

「あぁ、そうだな、またここにも来れるだろう」

「楽しみだなぁ・・・5年後とか10年後とか私たちどんな風になってるんだろ」

「ほんとだねー・・ふふっ、葵、結婚してたりしてー」

陽菜は微笑みながら葵を見た

「え!?ゴホッゴホッ・・・」

「あー有り得なくは無いな」

イチゴとアイスをスプーンですくいながら凛が言った

「凛まで!?そんな、まだ相手もいないのに・・」

「えー大和先輩とはどーなのよー」

「え?な、そ、それは・・・」

藤堂大和は葵達の2年先輩で普段は体育大に通っている

今はOBとして後輩の指導ということで週二回部活に参加していた

「こないだ、2人で歩いてるの見たぞ」

「な!?あ、あれは大学について教えて貰ってただけで特別な意味はない・・」

「特別な意味ってー?」

陽菜が葵に顔を近づける

「あーっと・・ちょっとトイレ行ってくる」

「逃げた」

「逃げたねぇ」

「逃げてない!!」

トイレに走り去る葵の後ろ姿に二人は笑った

「葵は分かりやすいよねー」

「そうだな、隠し事もできないし、何事にもストレートというかなんというか・・」

「ふふっ、ああいうところが可愛いんだよねー・・上手くいくといいなぁ」

「陽菜は大輝とはどうなんだ?」

大輝は陽菜と幼馴染

二人とも何となくお互いの気持ちに気づいていたがなかなか進展がなかった

高校の入学式の帰り道、いつもどおり二人で帰っていると急に大輝が陽菜に告白をした

「今日、告白するって決めてたんだ」

その言葉に陽菜は驚きながらも「待ってたよ」と応えてそれから二人の交際が始まった

「うん、仲良いよーこないだも美術館行ったしね」

「そっか、それはなによりだ」

「いきなり告白してきた時はびっくりしたけどね・・昔から気持ちには気づいてたから・・・」

夏の風に揺れる欅の木を見ながら陽菜は言った

「そっか・・でもお似合いだとおもうぞ2人は、それこそ今結婚しても大丈夫そうだ」

「ふふっ・・そんなことないよ」

「2人ともやりたいことはあるし、大輝くんもいろいろ考えてるかもしれないけど今はお互い頑張ろうって話し合ってる」

「そうか・・・」

「凛は?好きな人いないの?」

「私は・・そういうのには興味がないからな」

凛は少し狼狽えながらそっぽを向いた

「凛は綺麗だしモテるんだけど自覚がないから不憫よねぇ」

「なっ!綺麗じゃないしモテないだろ!?」

「ただいま〜」

「葵、おかえりー」

「ん?凛、なんで顔赤いの?」

「凛は綺麗だしモテるよねーって話してたの」

赤面する凛の顔を見て微笑みながら陽菜は言った

「あーなるほどね」

「私も綺麗だと思うよ、実際クラスの男子とかチラチラ凛のこと見てるしね」

葵はさっきの仕返しをするかのように言った

「それは葵とか陽菜を見ているんだろ?私なんか・・・」

「はぁーこれですよ葵さん」

「もったいないですよねー陽菜さん」

「2人ともからかうなよっ!」

机を叩きながら立ち上がった凛は思ったよりも大声が出てしまい

顔をより赤らめた

「凛さん、うるさいですよ、お静かに」

葵には言われたくないと凛は反撃をしようとしたがこれ以上マスターに迷惑はかけられないという理性が勝ちおとなしく座った

「そうだ、夏休みどうする?陽菜予定は?」

「私は8月前半におばあちゃんの家に家族で行くから後半なら空いてるかな」

「凛は?」

「はぁー・・・私も後半なら空いてるぞ」

何事もなかったかのように聞く葵にあきれながら凛は答えた

「じゃあ、決まりだね」

「あ、でも受験勉強しないといけないから・・・」

陽菜は申し訳なさそうに指をもじもじさせながら言った

「そっか・・・じゃあ、8月20日に花火大会あるじゃん?とりあえずそれは行かない?」

「うん!いいねー浴衣着たい、みんなで着ようよぉ」

「じゃあ、うちの母親に着付けてもらおうか」

「ほんと?嬉しい!!」

手を合わせながら陽菜は笑った

「凛のお母さん着物似合うもんなぁ」

「ほんとだよね、こないだ会った時も綺麗すぎて緊張しちゃった・・・」

「そんな緊張するほどじゃないだろう」

「いや、緊張する・・・あとなんか怖い」

葵は左右の両肘を持ち、震える仕草をした

「背筋が伸びるというかなんというか」

「あーなんかわかる気がする・・・」

「小説家やってるからかなぁ・・・オーラがすごい・・」

「そうかな・・・」

実感がわかない凛は宙を見つめながら首をかしげる

「葵の父親だって凄いだろう、60代であの身体は・・・」

「まあ、今も現役だからなぁ」

「葵のお父さんって感じだよねぇ」

葵の父親は柔道八段でその世界では知らない人はいない人物だった

学生時代は"風神"と言われ様々な大会を荒らしまわっていたそうだ

「陽菜のところは兄貴がすごいじゃん、パイロットでしょ?」

「うん、でも最近全然会えないし・・今どこにいるかも・・・」

「忙しいよな・・私も小さい頃に何回か会ったことあるぐらいだし・・凛は?」

「んー私もそんなに・・・でも一緒に遊んだことは覚えてるかな」

「凛の初恋だもんねー」

「うるさいな、もう過去のことだから」

陽菜の兄蒼汰は質実剛健という言葉があてはまる逞しくも心優しい人間だった

葵と陽菜は小学生からの仲で10歳上の蒼汰が引率役としてよく3人で遊びに行っていた

「え?そうなの?初耳なんだけど」

「葵知らなかったの?」

「知らなくていい、淡い思い出だ」

「えー聞きたい!聞きたい!!」

「うるさいなー、いい、話したくない」

「凛様ーお願いしますよー是非、私めにもその淡い思い出とやらを」

「絶対馬鹿にしてるだろ」

「してない!してない!!だから、ね?おねがい!!」

「んーわかったよ・・・」

凛はまた顔を赤らめながらもゆっくりと話し始めた

「子供の頃、7歳ぐらいだったかな・・花火大会に行ったんだ」

「陽菜と私と蒼汰さんと」

「その時はめちゃくちゃ混んでてな、いつのまにか私は迷子になってしまったんだ」

「泣きながら2人を探したんだがなかなか見つからなくて、しまいには転んで足を挫いてしまうしどうすることもできなかった」

「どのくらいたったかな・・後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたんだ」

「後ろを向いたら蒼汰さんが汗だくになりながら走って来てくれるところだった」

「ほんとに嬉しかった、もう家にも帰れないと思っていたからな」

「そこからは蒼太さんにおんぶしてもらって家に帰った」

「それからは・・・疲れてたんだろうな、すぐに私は寝てしまったらしい」

「でも蒼太さんの背中は覚えてる、大きくて、頼もしい背中・・・私はその時・・・」

凛はふと葵の方を見るとにやにやとしながら凛を見つめていた

「ん?葵なんだその顔は」

「私はその時?」

「え?」

「私はその時?」

「あ、いやなんだ、もういいだろ?この話は終わりだ」

「えー!いいところなのに!」

「ふふっ・・可愛い」

陽菜は小競り合いをしている二人を見て微笑んだ

「ほら、食べ終わったか?そろそろ帰るぞ!」

「もう、こんな時間かぁ・・残念」

「3人で話してると早いよねぇ」

マスターに挨拶をすると3人は店を出た

夕日が山へ沈みながら今日という日の終わりを告げていた

「夏休み楽しみだなぁ・・・」

「葵?何か重要なこと忘れてないか?」

「重要なこと?」

「これは忘れてますねぇ」

「え、なに?」

「夏休み前に楽しい楽しいイベントがあるだろ?」

「え、イベント?そんなんあったっけ・・・あ!!」

「そう、期末テストだ」

「そんなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

葵の今日一番の叫び声が山々へと響いた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?