【短編朗読】長い旅路
太陽が海へ落ちると
待っていたかのように星達が輝き始めた
その輝きは長い旅路を表すかのように
私に語りかける
星空が水面に映り、まるで宇宙の中にいるような錯覚になる
仕事に行き詰まり行先もなく車を走らせたがやはりここにたどり着いた
車のボンネットに座りながら上を見上げる
この宇宙からしたら私の悩みなんてこの砂粒一つにも満たないだろう
そんなことを考えているとこんがらがっていた頭がスッとしてきた
明日なんて、未来なんて、来なければいいと思っていた
しかし、まだ道の先があると思えば悪くない
それが舗装されているか獣道かわからないがきっと未来という何かに繋がっているのだろう
よしっと自分に言い聞かせながら腰を上げると車に乗り込みエンジンをかけた
前を見ると車のライトが道の先を真っ直ぐと照らしていた