ゲームメイクとは(Part1)
今回は僕自身が考えるゲームメイクについて書いていきます。
先日質問箱でいただいた質問に対する回答が下記です。
(注意)マリア→エリア
この通り、僕自身の中でゲームメイクということを4つに分類することができます。
■エリアマネジメント
■タイムマネジメント
■フィットネスマネジメント
■レフリーマネジメント
今回はこの中のエリアマネジメントについて書いていきます。次回残りの3つに触れていきます。
この4つが試合中僕自身が意識している部分なのですが、重要度合いの比率としては上から5:2:2:1の割合です。試合によっては4:2:2:2になることもあります。この数字からもわかるように一番は、やはりエリアマネジメントが僕の中ではキーポイントとなっています。
現在の大学生の試合を分析すると、他大学のSOの1試合あたりのキックの回数は10~15本、多くて20本というところですが、僕自身の試合は平均30本という結果になりました。数字から見ても、「岸岡=キック」というイメージがつくことは当然と言えます。
ここからも言えるように、僕自身はエリアマネジメントという部分にかなりこだわりを持っています。そこについて深く掘り下げていきます。
■エリアマネジメント
まずマネジメントとは何でしょうか?
マネジメント(management)は、英単語をそのまま訳せば「管理」や「経営」という意味を持ちます。今では、組織の管理や運営を示す言葉として広く使用されています。
この定義からもわかるようにエリアマネジメントとはエリア(地域)を管理することを指しています。初めに注意してもらいたい点は、エリアマネジメント=地域獲得(エリアをとること)ではないということ。あくまでエリアを管理している状態のことです。もちろん、すべてのphaseでエリア獲得(敵陣でのプレー)ができればよいですが、必ずしもそうとは限らず、自陣でプレーする場面も多くあります。ですが、いかに自陣でプレーすることを管理できるか、コントロールできるかが僕の中でのエリアマネジメントだと思っています。僕のイメージではエリアを牛耳る、制するという風に考えています。
また、エリアマネジメント=キックというイメージを持たれている人も多いと思います。ですが、実際はエリアマネジメントを行いたいという目標、目的に対して、キックはその目標達成の手段でしかないのです。
ラグビーで陥りがちな捉え方のミスとして、目的=手段となってしまうケースが多くあります。こうなってしまうと、今の改善策を正しく判断できなくなるため、注意が必要です。
実際に試合80分を通して、何をどう考えエリアマネジメントを行うかを考えていきます。一番大切なことは、敵陣でプレーすること。言い換えるといかに自陣でプレーしている時間を短くできるかということです。では、どのようにこの目標を達成するのかというところが大切になってきます。目標達成のために考えられる方法としては2つ。キックとボール保持です。どちらの方が良いのかは選択者によります。
〇エリアマネジメントにおいてキックを使うメリット/デメリット
・相手FWを後退させることができる。/比較的個人の能力(キッカー)、天候(風)に大きく左右される。
・キックオプションを布石とできる。/キッカーが一人だとプレッシャーを受けやすい。
・ATサインプレーを使わなくてもい。/キックに関するルール理解がチームとして必要。
〇エリアマネジメントにおいてボール保持を行うメリット/デメリット
・フィットネス勝負に持ち込める。(相手DFにプレッシャーを与えることができる。)/パス回数が増えるのでその分ミスの可能性も増える。
・風下の難しい戦い方の解決策になりうる。/エリアを回復するのに時間がかかってしまう。
すぐさま考えられるメリット、デメリットを挙げてみました。
ではこのどちらを選択することが最善の判断なのでしょうか?
僕なりの判断基準を設けることにします。
・自チームのDFはどのレベルなのか? ・自チーム、敵チームにキッカーは何人いるのか? ・ロングキックを蹴ることのできるBK3がいるのか? ・SOの利き足はどちらか? ・FWの力量の差は? ・それぞれのチームのDFシステム ・時間帯 ・点差 ・天候 ・芝の状態 ・会場 ・レフリー、アシスタント ・その試合がどういうものなのか?
などが考えられました。判断気準が多いと思いますか?それとも少ないと思いますか?この感じ方は人それぞれではあります。もちろん、すべての項目を考慮しているわけではありません。ですが、なるべく多くの要素を考えた中で判断を行うとその判断の成功率は飛躍的に上がります。
〇エリアマネジメント=キックとなる理由
よく、SO(BK)として「FWを前にだしてやれ」、「相手FWを下げろ」という指令を監督、コーチから耳にします。なぜこのことが重要なのかというと、人間の体の原理にあります。よく考えてみてください。前に進むことと、後ろに下がることどちらが大変でしょうか?いわずともわかるように後者の方が何倍も大変なのです。ですので、先ほどの2つの手段の中では、キックという手段を使う場面がほとんどだということも言えます。
〇なぜゲームメイクのなかでエリアマネジメントがこれほどまでに重要なのか?
その答えは、ラグビーの得点方法にあります。
このラグビーというスポーツにおいて得点可能な範囲は約50mです。なので、自陣にいると失点率が上がり、敵陣にいると得点率が上がるのです。このラグビーというスポーツの原理原則からエリアマネジメントは非常に大切になってくると言えます。たとえば、崖際に追い込まれもう後ろに下がると谷に落ちてしまうという状況に陥った場合あなたはどうしますか?これは極端な例ですが、人間の心理から、ゴールラインを背にするとおのずとプレッシャーを感じることは当然です。自陣でプレーをすることは自分で自分の首を絞めている状況を作り出していると言っても過言ではないでしょう。
ここまで読んで下さった方にエリアマネジメントの必要性は感じていただけたかと思います。実際にどういう方法(主にキック)を用いてエリアを獲得、回復するのかをいずれ解説していきたいと思います。
次回はこのゲームメイクにおいて大切にしていることについての残り3つについて触れていきます。
いつも読んでいただきありがとうございます。 一人でも多くの方に読んでいただき、ラグビーをより楽しんでいただけるようこれから頑張っていきます。 コメントお待ちしています!! よければスキもお願いします。