イラク滞在記4.18 子供の好奇心を煽れ
今日は菜穂子さんとランディとで、パヤム小学校へWSに赴いた。菜穂子さんが実際に行っているWSを見させてもらうことに。
めちゃめちゃ勉強になった。
スクールに着き軽くライブラリーを準備掃除したあと、小学生たちが登校してきた!菜穂子さんとランディさんとで子どもたちに挨拶をしていく。
このパヤム小学校は、周りの小学校とは少し異なり、クルド人自治区には珍しい、アラビアの学校だ。アラブの国から避難された方や、アラブ人の子どもが登校してきており、学校から遠いところに住んでいる児童もいると言う。
なので、この学校ではアラビア語が使われている。(今まで色々なクルド語を覚えたのに、、)
唯一覚えたアラビア語「シュクラン」(ありがとう)の一本刀で子どもたちに声をかけていく。正直、初対面の日本人に「ありがとう」と言われるのって相当怖いよなって、後になって気付く。
先生が来る前の3年生(8〜9歳)の教室にお邪魔し、菜穂子さんとランディとでName with actionを行う。
みんな我々のアクションには興味を持って真似してくれて、とてもテンションが高いので、ワークを行いやすい。このクラスでは、前に出てName with actionをしてくれる子は半分くらいいたが、残り半分はシャイボーイ&ガールだった。
なので「やりたいけど手を挙げるのは、、」みたいな子に視線で合図を送り、我々から「やってみない?」と声を掛けた。
するとやってくれるではないか!
このように興味はあるけど、自分からは、、みたいな子を逃さないようにしたい。
その後、ライブラリーに戻り、WSの準備をする。
クラス1(3年生)
一番初めに来た子どもたちは、先ほどクラスでName with actionをした生徒たちで、十分空気が温まっていたので、もう一度全員でName with actionをした後、皆でツリー(樹木)になるワークを行った。
想像以上にみんな各々がオリジナルの木のポーズになっていて素晴らしかった。こういうワークになると、やっぱりみんなと同じ形になる傾向がある分、皆が異なるポーズをすることは、ワークを行う上で大切だ。
その後、そよ風や、ストーム、きこり、などなど、ツリーに影響を与えるシチュエーションを与え、児童たちはそれぞれ、リアクションをしてくれた。
その後、ストームと木こりにやられて倒れたツリーたちに、「一年後はどうなるかな?」と菜穂子さんが働きかけた時、引率のパヤムの先生が「また種から成長するよ」とすこしヒントを与えてしまった
それが惜しかったとルックバックで菜穂子さんに伝えられた。
出来る限りヒントは与えない。子どもたちの想像力を狭めない。そのことを胸に刻む。
クラス2(5年生)
その後にやってきたグレード5の子どもたちは、グレード3の児童と異なり、みんな大人びているが故に、ワークを進めるのが難しかった。
ひとつName with actionをとっても、みんな恥ずかしい態度をとり、当然ではあるが、男女の関係もグレード3の児童よりも意識し合っている印象を受けた。そのためみんなで円を作る時は男女の境目に先生を入れるなど、配慮を行った。
もしかしたら、男女の壁が高いイスラム文化圏では男女分かれて、異性の目がない空間でWSをした方が、より伸び伸びとワークを行えるのではないかと感じた。
彼らとは、パーカッションという一緒に手拍子でリズムをとるワークを行った。
菜穂子さんに教えてもらったのは、いかに子どもたちの好奇心を煽るかということだった。たとえばリズムをとるワークをするにしても、する前に「これは難しいから出来ないんじゃないかな~」と一言加えるだけで、児童はそれを達成しようと奮闘する。
このクラスでも、ワークの頭から斜に構えている児童がいたが、皆がリズムをとる練習をすると、一緒に練習する姿が垣間見え、そういう瞬間をいかに創るか、が大事に思えた。
クラス3(3年生)
本日最後の時間は、グレード3の子どもたちとのワークだった。
おなじみのName with actionを行った後、菜穂子さんが日本語で「白クマちゃんのホットケーキ」という絵本の読み聞かせを行った。読む前に、「よく絵本を見て、よく読み聞かせを聴いて、想像して」とアナウンスをしてから読み聞かせを行った。
菜穂子さんは文を読んだ後、必ずそのページを数十秒、児童に見せる時間を作る。想像力を書き立てる時間を作るのだ。みんな分からない言語の読み聞かせでも、集中して何が起きているかを想像していたのがとても面白い。
その後、表紙のパンケーキの絵から食べ物を取り出し口に運ぶマイムをすると、その意味を児童みんなが把握し、子どもたちの口に手を持っていくと、みんな口を空け、「何食べたの?」と聞くとみんな各々の回答(ケバブ、ピザ、カップケーキetc)を挙げ、もう既に演劇してんじゃん!っと心の中で唸ってしまった。
そのあと、菜穂子さんが、「ケバブって料理を知らないから、身体を使ってケバブを説明して」と伝えたら、それぞれが、ケバブになったり、横に添えられてある野菜になったりと、素晴らしい表現をしてくれた。
こうして今日のワークショップは終了した。とても勉強になった。
〇ファシリテータが表現の例を沢山出す。
〇想像力を利用する場面で、不要なヒントは与えない。
〇好奇心を煽ることによって、子どもたちを奮い立たせる。
〇意外な発想をした子を褒め、子どもたちの殻を破らせていく。
〇コントロールするために抑圧しない。「静かに!」と伝えても、子どもたちは我慢できないから、ワークを使ってメリハリをつけて、上手く誘導する。
などなど、今日学べたことは計り知れない。
その後、先生たちのミーティングとパーティーにお呼ばれし、参加させて頂きました。
そんなこんなで、今日は終了。めっちゃ濃い一日でした。。。