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自律神経失調症という言葉とどのように立て直す??

●一体、自律神経失調症とは??

普段、鍼灸治療をしていて、患者さんから"自律神経失調症なんです"と言われる方がよくおられます。

この自律神経失調症という言葉には違和感がある。動悸、目眩、多汗、息苦しさ、腹痛、下痢、などの不調があり、検査上異常が無いと、この自律神経失調症という違和感のある言葉が使われる。

でも本当に自律神経が失調していたら人は死にます。呼吸も止まるし、心臓も止まる。でも、実際はそうではない。ではこれは一体どういうことなのでしょうか?

生きている間、呼吸や心臓は意識して動かさなくても、休むこと無く動き続けます。これは自律神経の働きですが、なぜ自律神経に変調がきたすのでしょうか?飛行機を例えに説明します。

●飛行機の操縦桿は誰が握る?

飛行機は自動運転の装置があります。離陸して安定軌道に乗ると、飛行機は自動運転に切り替えられます。

この自動運転システムはちょうど自律神経として考え下さい。何事もなければ、パイロットは操縦桿を握る必要がありません。自律神経でいうと呼吸やホルモン、心臓などにトラブルがなく働いています。

もしこの飛行機にエンジントラブルが発生しました。エンジン出力が足りず、機体が安定しないと自動運転から手動運転に切り替えて、機体の安定を図ります。

このとき、エンジンは消化の力を含む体力全般と考えると、飛行機の不安定さを、手動運転に切り替え飛行機をどこかの空港に緊急着陸させようとします。緊急事態なので、緊張し、手に汗を握って無事に着陸する為に操縦することでしょう。

実は自律神経も同じ仕組みがあり、身体が危機対応するのに、心拍や呼吸をあげて、回避すべく自分の意識で心拍数を上げたり呼吸を変えたりすることができるようになっています。

身体に異変を感じた、外敵に襲われたなどの非常事態と判断したあなたが自律神経から操縦権を奪って舵を握って危機回避しようとしているのが本当の自律神経失調症です。

自律神経からあなたが自律を奪うから、動悸をしたり、汗をかいたり、呼吸が苦しくなったりします。

●手動運転に切り替える理由

あなたが自律神経の働きの自動運転から、操縦桿を手動に切り替えたのは、身体に危機を感じたからですが、その危機は一体何でしょうか?

もし誰かに命を狙われていたら、自律神経から操縦桿を奪い、心拍数を最大にあげ、血圧上昇し、頭や身体をフル回転して逃げるでしょう。これは動物の本能で、人にも危機回避のためのシステムとして備わっています。

しかし、リアルな危機でもないのに、不安を感じる時はどういう時なのでしょうか?

理由の1つは、先程の例えで、エンジンに例えた、不摂生や不養生、元々の体質による消化能力の低下です。

消化能力が低下すると、気力も体力も思考力も低下します。血圧も低下気味で身体はだるくなります。この時、身体の危険監視機能が働き血圧を上げて思考力、意識レベルを保とうとします。

理由のもう1つは、人間の予測する危機回避機能です。以前、身体でとても辛い症状を経験したりすると、遭遇した危機の記憶に伴う恐怖心から、恐怖を逃れるための思考が過剰に働いた結果、可能性の低いことまで予想をし、過剰に防衛装置を動かしてしまいます。これによって、四六時中手動運転になるという事が起きます。

手動運転は集中力を要しますので、四六時中手動運転していれば、疲労蓄積も早くなり、さらに体力を落とします。そして落ちた体力で思考すれば余計に思考が混乱していくというネガティブなスパイラルが成立してしまいます。

●再び自動運転に戻すには(手動から自律神経の働きに戻すには?)


再び自動運転である自律神経が働くのに戻すにはどうすればよいのでしょうか?

飛行機なら飛行状態が安定していれば自動運転になります。これには、自分自身の身体(機体)への信頼感が鍵です。自分自身の身体を信じることができれば、安心して身体に操縦を任せることが出来ますし、一時的な不調も身体からの警告メッセージと捉えることができます。

自分自身の身体が信じられないから、焦って手動運転をしてしまいます。自律神経失調症という状態から脱出するには、身体機能の安定させることが必須です。

その身体機能を回復、安定するためには東洋医学では鍼灸治療と養生になります。

鍼灸治療は回復させるきっかけで、日々な養生が回復の後押しと安定させることに繋がります。

身体の不調にいたるまでのプロセスを理解しないままに、自己判断で対症療法を続けていると、1つ良くなれば1つまた別の所が悪くなることを繰り返す体調不良に振り回されてます。そもそも現症を抑えるだけの薬では自分自身への信頼感は得られません。

体調不良に振り回されないようにするには、養生の次に自己観察が必要となります。自己観察は運動、食事、排泄などの日常生活での養生をしながら、自身の身体の変化に気を配ることで観察力が養われていきます。

自律神経失調症という病気はありません。その本質は自分自身の中にあることを認識して、自分自身の体に対する信頼を高め、自分を肯定できるようになるが大切です。

その過程の中で、鍼灸治療やレーザー治療は良い方向に向かっていく為のきっかけとして大切な役割があります。

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