「3/19第4号」

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 3月も中旬を過ぎ、少しずつ春の陽気を感じることも増えてきた今日この頃でありますが、如何お過ごしでしょうか。そういえば社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の合格発表が過ぎましたが、登録は済ませましたでしょうか。登録証が来るまでは名乗れないなんていうのは、この時期の風物詩だなと想いを馳せるところです。
 そんなこんなで2023年度も僅かとなり、2024年度が顔を覗かせているそんな印象もありますが、今週も宜しくお願いいたします。

1.「ソーシャルワークは専門職か?」

 最近心に余裕がないのか、こういった文言を見ると「ソーシャルワーカーを批判して煽っているのか」と思わず勘ぐる節がある。労働条件が劣悪処遇のなか、クライエントと必死になって泥水をすすっていると自認している立場としては、複雑な気持ちである。
 私の気持ちはさておき、最近読んだ本によると、アブラハム・フレックスナーの影響が強く働いていたとの指摘がある。現代においても、フレックスナーの亡霊が散見されることから、未だ「ソーシャルワークは専門職か?」と問われなくもないといえる。
 実は、私が社会福祉士一般養成課程にて学び始めた頃、「なんで専門職専門職というのだろうか」と疑問を持っていた。今この立場になって考えると、なるほど確かにそういいたくもなる、と考えるものであった。この議論についてはソーシャルワーカーを生業としている中堅やベテランにも見受けられる。中には「私以外ソーシャルワーカーとはいえない」ということを言い出すものまでいるしまつである。ソーシャルワーカー自身もまた、その評価や価値もまた揺らいでいる印象を持つが、これと同じようなことは、社会福祉学の社会福祉理論にもいえる。今更述べるまでもないが、社会福祉学とソーシャルワークは2定点構造となっており、それぞれ相互作用がおきていると言える。
 社会福祉学に立つ実践者や研究者に私が願うことは、むしろ平安と希望を見出せるような励みとなる文献を、世に送り出すことである。
 些か尻切れトンボではあるも、この話題については、また別の機会にて述べるとする。

2.社会福祉士及び精神保健福祉士の合格点と合格率

 3月は合格発表と登録とだけでなく、人によっては就職及び転職活動をするなど、多忙な毎日を駆け抜けている方も多いといえる。さて、タイムラインを眺めていると、合格率と合格点についての言及が見受けられるようになった。その内容も、合格点が大幅に上がったことは、旧カリキュラムの最後だから易化したと考えるものや、質を問うものもある。これに対して、私なりの私見を述べるとする。

社会福祉士
回/合格点/合格率
31/89/29.9、32/88/29.3、33/93/29.3、34/105/31.1、35/90/44.2、36/90/58.1
精神保健福祉士
回/合格点(内専門科目)/合格率
21/87(41)/62.7、22/90(40)/62.1、23/94(44)/64.2、24/101(47)/65.6、25/95(49)/71.1、26/95(44)/70.4

 ここ最近の合格率と合格点である。共通して言えることは、合格率や合格点が年々上昇していることが分かる。第35回社会福祉士国家試験では、合格点を6割の90と固定して合格率を引き上げている。これは第34回社会福祉士国家試験において、合格率3割を維持する為に合格点7割相当であり105点まで引き上げ、これについて関係団体から非難が相次いだことがあり、これを踏まえるような状況となった。
 現行カリキュラム最終にあたる、第36回社会福祉士、第26回精神保健福祉士国家試験はどうなるだろうか。受験者数は減少しているものの、社会福祉士は合格率58.1、合格点は90となり、精神保健福祉士では合格率70.4、合格点は95(44)であった。
 現行カリキュラムによる国家試験はおおよそ12年間である。私は社会福祉士や精神保健福祉士国家試験の勉強で過去問を8年程度やりつづけ、資格取得してからも国家試験を解き続けた。合計12年分の国家試験を解き続けた結果見えてきたことは、出題内容は概ね変化はしていないが、文字数や複数選択、事例問題が充実していること、近年は基礎問題を問う「良問題」が出題されている印象である。問題が変わらないのなら、受験者に要因があるといえる。12年分の国家試験を考えると、概ね「型」のようなものが見え始めており、言うならば「合格セオリー(Theory:理論)」のようなものが、試験対策講座や合格セミナーで分析され受験生へ提供されていると言える。実際に試験対策講座や合格セミナーを多く見かけるようになった。これにより国家試験は対策されてきたのである。この対策の結果が、今回の合格率ではないかと考察できるものである。
 いずれにしても、どの回にしても、社会福祉士や精神保健福祉士に変わりはない、といえる。それよりも新カリキュラムの出題内容や出題形式等、気にしなければならない事柄は実に多いと言える。

3.次回に向けて

 さて、色々と書き散らしたので、これくらいで筆を置こうと思う。
 今回こそ「書き散らした」と言って良いと言える。「ソーシャルワークは専門職か?」という問いを改めてみると、冷笑主義(ニヒリズム)的なものと、考えるばかりである。また、社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験の合格率について、タイムライン上で様々意見が見受けられたことから、改めて記事にした。
 まだまだ、書き続けるとする。

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