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【はじめてのZINEづくり】4年間書きためたnoteを一冊にまとめた制作記録。

tacicaのギター&ボーカル猪狩さんの弾き語りライブメモをnoteに書きためて丸4年。せっかく書いたのだからかたちにしてみたい!と思い、このたび一冊のZINEにまとめました。

はじめてつくるZINE。原稿を整える、デザインする、仕様を決める、印刷会社を選ぶ、販売するオンラインショップを開設する……などなど、やることはたくさんあります。普段の仕事に近いものではあるけれど、今回はすべての作業を一人でやったため、想像を遥かに超える労力と時間がかかりました。

およそ3ヶ月にわたる、ロング&ワインディングロード。

試行錯誤の制作過程をまとめてみましたので、noteに書いた記事をZINEにしたい!という方のご参考になれば幸いです。


①仕様を決める

原稿を整えるためには、まず仕様を決める必要があります。B6サイズくらいが良さそうと直感で思ったものの、意外にも文章量が多いことに気づき、A5サイズにしました。

初期段階の構想

次に、縦書きか、横書きか。縦書きの本に憧れるけど、英語の曲名も少なくないことから横書きに決定。

■ A5サイズ
横書き

②原稿と体裁を整える

とりあえず、noteからWordへ。コピペをくりかえす。コピペするだけでなく、体裁もある程度整えながら作業をする。

当初はIllustratorやInDesignでレイアウトしようと思っていたものの、あまりのページ数の多さに素人の手に負えるものではないと判断し、Wordでレイアウトすることにしました。タブを駆使したり行間を調整しまくって、理想のレイアウトに近づける。文字サイズにメリハリをつけて読みやすさを高めるなどなど、ここの作業もかなりの時間がかかりました。

タブをめっちゃ使いまくった

原稿の内容については、手をつけ始めるとゼロから書き始めたくなってしまうので、加筆修正はほどほどに。

それからnoteで公開した記事をまとめるだけではナンなので、ZINE書き下ろしのコンテンツも考える。4年間のnoteをまとめたものだから、一年の区切りごとにコラムを挿入しようとか、楽曲リストを作ろうとか、一番歌った曲を数えてランキングにしてみようとか、アイデアがふくらんでいく。情報をどう調理するか考えるのも楽しい。

■ Microsoft 365 Wordで、タブや行間を駆使してレイアウト
■ 書き下ろしコンテンツも考え始める

③レイアウトを整える

仕様を決めるのと同じくらい、本文の文字サイズも大事。これを最初に決めておかないとページ数にも影響するため、早々に決める必要があります。実寸で出力してみて、A5サイズに対して、本文を9ptに設定。一番大きな見出しは14pt。大きすぎても野暮ったいし、小さすぎても読みづらい。世に出ている書籍はこういったところも緻密に設計されているんだと気づかされます。ブックデザイン、すごい。

原稿の整理と、レイアウトの調整をほぼ同時に行っていきました。本来であれば前者はライターの仕事、後者はデザイナーの仕事ですが、ZINEはすべてが自作自演。そりゃ時間もかかるわけです。

この夏は、いくつもの週末を自宅にこもって作業。

こんな感じのレイアウト

ある程度、原稿とレイアウトが整ってきたら、次は校正です。

校正はやはり紙に出力したほうが圧倒的に効率が良いので、コンビニのネットプリントを利用。普段、会社では無意識で出力しているけど自腹で出力すると千円以上かかったので、無駄に出力するのはヨクナイって再認識。

仕事風景

■ 本文の文字サイズは9pt、見出しは14pt
■ 原稿整理とレイアウト調整は同時に
■ 校正は出力して確認

④表紙デザインを作る

原稿整理やレイアウト調整とはまた別次元で時間のかかった、表紙のデザイン

表紙はどうしようかと考えていたところ、なんと、PansonWorksさんの小鹿のイラストをご厚意により使用させていただけるというミラクルが起こりました。本当にありがとうございます!!!

さて、どんなデザインにすべきか。

他のZINEや、文庫の装丁自宅の本棚にある素敵な本をいろいろ見まくってデザインを探る。かっこいいデザインに憧れるけど素人が手を出しちゃいけないやつなので、まずは“普通に”見えるようにすることを目指す。それだけでも難しい。

フォントを何にするか。ウエイト(太さ)はどうするか。イラストと文字のバランスはどうするのか……などなど試行錯誤する。ここにもかなりの時間を要しました。

表紙デザイン検討中の図

また入稿データ自体も、背表紙の幅とか塗り足しの設定、イラレからPDFヘの書き出しなどなど、そういった調整もドギマギしながらおこなった。普段はデザイナーさんにお任せするところ。自分一人の責任となるとミスの無いように…とより注意深く作業しました。

⑤ネット印刷会社を探す

検索するとたくさん出てきますが、検討の末、book-honというサービスを利用することにしました。

決め手は、加工の種類と価格。ネット印刷は、主に判型部数(と納品までの日数)によって価格が変動しますが、オプションで追加できる加工は印刷会社によって異なります。どんな仕様にしたいかによって、印刷会社を決めるとよいと思います。僕は自宅にあったさまざまな本を見まくって、表まわりの加工をどうするか考えました。

で、今回つくったZINEの仕様(一部)は下記のとおり。

印刷会社:book-hon
サイズ:A5サイズ(表紙カラー・本文両面モノクロ)
製本:無線綴じ(左綴じ)
表紙:PPマット加工
本文ページ数:182ページ
見返し加工:色上質特厚口

ちなみに「見返し加工」とは、表紙と本文の間に一枚用紙が追加され、表2(表3)と接着されて表紙の強度を高めるもの。たいてい色紙であることが多く、アクセントにもなります。これがあると、グッと“本”っぽくなる。

この黄緑色の用紙が「見返し加工」

なお、入稿データの形式も印刷会社によって異なります。トンボが要る・要らないとか、PDFの形式だとか、よくよく印刷会社の規定を確認する必要があります。こういったことを調べて理解するのにも地味に時間がかかる。

色校正ではないけれど、オプションで「サンプル印刷」を選べることができたのもbook-honで良かったところ。少ない部数とはいえ、完成形を確認せずに数十部数を刷るのは気が引けるってものです。

その後ナンヤカンヤあって、入稿から半月ほどで発注部数が印刷され、どーーんと届きました!

Cover Illustration ©️PansonWorks

⑥オンラインショップを開設

さて、できあがったZINEをどこで販売するのか。

STORES、BASE、メルカリショップなどなど、いろんなサービスがあるなか選んだのはBOOTH

決め手は、売り手も買い手も「匿名配送」が可能「あんしんBOOTHパック」というサービスがあること。

調べた限りでは、ここしかなかった。売り手を匿名にすることはいくつかのサービスでも可能だけど、買い手の情報は見えてしまう。今回販売するZINEが好きなバンドのファン向けということもあり、不必要な個人情報は知りたくなかったので欠かせないポイントでした。

⑦販売価格を決める

これが、実に難しい。印刷代梱包代などの実費のほか、オンラインショップの手数料配送料がある。悩みに悩んで考えていくうちに、価格設定というより価値設定だ、と思いました。

そうしたことを経て開設したBOOTHのショップがこちらです。

⑧販売告知のnoteを書く

記事の見出し画像や、載せる写真をどうするのか問題。普段ならそこそこの労力で済ませてしまうけど、今回はちょっとこだわって物撮りして、レイアウトしました。内容がわかるように。商品がわかるように。

で、ちょっとドキドキしながらツイート。

すぐにうれしいリアクションをいただけたりして、小躍りしながら喜びました。

以上、はじめてのZINEづくりの制作記録でした。

このnoteに書いた以外にも大変だったことはたくさんありますが、やっぱり現物のモノをつくるのは楽しい。tacica猪狩さんも、音楽配信が当たり前になっている今、あえてフィジカルのCDをリリースするのは「つくりたくて、つくっているから」と語っていたように、このZINEもまさにつくりたくてつくった結果です。

たくさんの人に届いたらいいな〜という想いはもちろんありますが、かたちにしたことに意味があるな〜とも思います。

皆さんもぜひ書きためたnoteを、ZINEにまとめてみてください。Webの手軽さや便利さもいいけれど、紙、よいと思います。

というわけで、販売中の初ZINE、どうぞよろしくお願いします!

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