聖徳をまとう_二/故郷にて(4)
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太子町に飲食店は少ない。叡福寺で私をピックアップした横谷姉弟はそのまま車を隣町の羽曳野市まで走らせた。車中、香苗は運転席に座る弟を紹介してくれた。
「どうも。肇です。いつも姉がお世話になっています。秀太さんとは、昔、地元のお祭りで会ったことがあるんですよ」
ルームミラー越しに折り目正しく目礼する肇に、後部座席に座る私は会釈で応じた。秀眉の下で姉によく似た細い目が清爽な笑みをたたえている。ツーブロックに整えられたアッシュカラーのマッシュパーマが窓から入る夕風に